第2回 関西フォーラム 報告

第2回 関西フォーラム報告!!

第2回関西フォーラム大盛況のうちに終了!

大変遅くなりましたが、当日のライブレポートをお送りします。ファシリテーション漬けの長い一日も、終わってみればあっという間でした。参加者とスタッフが一体となった会場は最後まで熱気と興奮に包まれ、この感動を来年にもつなげようと大いに盛り上がりました。今回参加できなかった方も、ぜひ来年はお越しください。

■日 時  : 2005 年 9 月 10 日 ( 土 ) 10:00 〜  18:15 〜交流会

■場 所  :大阪産業創造館

■参加者  : 193 名

■プログラム : 第 1 部 基調講演

近畿大学 理工学部 教授 久 隆浩 氏

『 21 世紀型社会とファシリテーション』

第 2 部 分科会 1 〜6

『ファシリテーション・ショーケース』

第 3 部 全体会

パネルディスカッション

■第1部 基調講演 近畿大学 理工学部 教授 久 隆浩 氏

『 21 世紀型社会とファシリテーション』

21世紀はコミュニケーションの時代。だからこそ、ファシリテーションが必要に。

 街づくりの現場で、ファシリテーションを道具として使ってきた久先生のお話は、資格試験を求める声やファシリテーションスキルが一人歩きを始めている現在の状況に対して、疑問を呈するところからスタートしました。中世から現代にかけての社会システムの変遷を紐解きながら、21世紀はコミュニケーションによる新たな社会秩序の形成が必要となっていることを力説。20世紀型社会の限界が明らかとなった今、ますますファシリテーションが必要になっており協働的、創造的、自律分散協調型(ネットワーク型組織)をキーワードにファシリテーションを普及して欲しいとのメッセージが心に響きました。

●「気づき」を大切に「場」を活用しよう

また、ファシリテーションでは当事者の「気づき」が最も大切であることを強調され、行動、探求を深めるワークショップを取り入れることで、参加者が相互作用を繰り返すうちに形が生まれ、予想しなかった答えが見つかることも多々あることを具体的な事例も含めながら説明されました。参加者の多様性が考え方の枠組みを多様にし、さらなる気づきが促されていきます。得意分野や持っている技術や資源が違う参加者同士だからこそ、ネットワークをもつことで補完しあえるのです。ファシリテーターにとって、そのような「場」をつくり、活性化させ、参加者の主体性と多様性を引き出すことこそが最も重要な役割であるというメッセージは、後半の分科会で当事者性をもって参加し、「場」のもつ雰囲気を感じ、それぞれの中に自分なりの「気づき」を得て欲しいという実行委員一同の願いにも通じるものでした。

●ファシリテーターは支援する存在である

 ファシリテーターは、他者へ働きかけ、他者の意図を理解し、その行為の質の維持・改善を支援しエンパワーメントを推進します。支援する際に要請される条件としては、�自分の意図を前面に出さない、�相手への押し付けにならない、�相手の自助努力を損なわないということがあげられます。みんながクリエーターになり、いつかファシリテーターが必要とされなくなる時代、それが私たちの求める社会ではないかと言う提言は、ファシリテーションにしがみつきそれがすべてを解決してくれるという考え方への警鐘でもあると感じました。ファシリテーションを真に問題解決の手段として日常に活用されている先生ならではの、示唆にとんだメッセージはファシリテーションに関心をもって参加したすべての人に大きな「気づき」と当事者性を芽生えさせるものとなりました。

■第2部分科会 『ファシリテーション・ショーケース』《分科会》報告

座長 西 修 (企画運営メンバー 空井・宮田・舟橋)

 第一分科会は、ファシリテーション初心者を対象に、「「日頃の話し合いで抱えている悩み、困ったこと」をテーマに、対話を中心としたワークショップを行いました。各グループ毎に観察者を設け、話し合いを進める中で「よかった発言・態度」「こうすればよかったかな」等についてグループにフィードバックをしてもらいました。対立が起こりにくい場面では、意図的に揺さぶりをかけるなどの工夫もあり、参加者からは「議論のプロセスが理解できた」「言葉で場が変わることを実感できた」などの感想が聞かれました。

【第二分科会「ファシリテーションで人に潜む「異文化」を体験する!」】

座長 加留部 貴行(企画運営メンバー 岩崎・古岩井)

 言葉の違いによる価値観や考え方のずれを明らかにし、それをどう乗り越えるのか?というテーマで集まった参加者たちは、「BGM、お茶、あめちゃん、ワンワード、地図を作ろう、お国言葉でこんにちは、隣人の証言、人間マトリックス、ラインナップ、島形式、トレード、カタカナ用語日本語化選手権」といったユニークなワークショップを次々に体験。それぞれに場創りのパターンやねらいの解説、ファシリテーターの姿勢などを学びました。言葉の共有に時間をかけたことで参加者の納得感が高まったようでした。参加者からは「価値観や文化の違いを乗り越えるためには、「場」をどう創るかが大事なのだ」「ファシリテーターの人間的な魅力も重要な要素となる」などの気づきを得たという感想が聞かれました。

【第三分科会「ファシリテーションをどうやって身につけるか?」】

座長 堀 公俊  (企画運営メンバー 明石・神田)

「ザ・ファシリテーターへの道を探ろう」という副題にあるように、ファシリテーションスキルを習得したいと言う人にはうってつけの分科会とあって、最も多くの45名が参加。ファシリテーターに必要なスキルについて、与えられた 7 つの項目に「自分の優先順位」をつけた後、グループとしての優先順位を出すべくメンバーで話し合い、最終的にグループとしての順位を決定するという合意形成の基礎となる価値観ワークを実践。

それぞれのグループで合意形成に向けてさまざまな議論が繰り広げられました。発表された優先順位はグループによって異なり、合意形成の難しさと多様な価値観をまとめあげるプロセスを実感した参加者たちでした。

【第四分科会「ファシリテーションを普及させるには?」】

座長 鷲見 典暁 (企画運営メンバー 竹ノ内・川端)

裏テーマは、「ファシリテーションで飯が食えるのか」というもの。ファシリテーションが認知されるにつれ、プロのファシリテーターとして稼ぎたいという人もいるはず。そんな人たちと「お金」と「志」について議論をしたかったというメンバーの仕掛けは十分。自己紹介にたっぷり40分の時間を使い、各人の背景を共有。その後、「ファシリテーションで起業する」ことを目的に各グループで事業計画を作成し、投資家と起業家にわかれ

プレゼンテーションを実施。起業家となった人はハッピを着込み、のれんをかけて投資家を呼び込むという、さながら縁日のようなスタイルでプレゼンをするという手法に会場は多いに盛り上がりました。ファシリテーションの普及のために何をするかを考えさせられたという参加者もあり、楽しい中にもファシリテーションの本質に立ち戻る深い議論がなされたようです。

【第五分科会「ファシリテーションはどんな場面で役立つの?」】

座長 芳本 賢治 (企画運営メンバー 和己・目加田・村上)

 ポストイットを使って意見をグルーピングしていく、「カードファシリテーション」は、議論を構造化するために効果的な手法の一つ。自分の意見をどんどんカードに書き込み、模造紙に張り込み、それを議論しながらグルーピング。カードファシリテーションの特徴は単なるカテゴライズにとどまらず、矢印や記号を使ってその関係性を明らかにし、 " 対話による合意形成で " 方向付けを導き出すというもの。キーワードを見つけ出しラベリングすることで議論が整理されていくプロセスに、参加者からは「情報共有の場面で非常に有効だと思った」「複数のカードを包含するキーワードの多様性に意外性があった」と大好評。明日から即使える手法として満足度も高かったようでした。 

【第六分科会「ファシリテーションは本当に必要なのか?」】

座長 加藤 彰 (企画運営メンバー 大野・鈴木)

「ファシリテーションを疑う!」というある意味乱暴で刺激的なテーマに参加者も最初は少々戸惑い気味。そんな「場」の雰囲気を和らげるためにまずはアイスブレイクからスタート。スタッフの場創りの成果か、自由に話ができる雰囲気の中で厳しくも率直な意見が続出。

「多様な否定的な意見を聞くことができてよかった」「今までの枠を超えて、疑問点、注意点について考えることができた」という意見が聞かれました。

当たり前を疑うというテーマ設定には、ブームや便利だからということではなく、「ファシリテーション・ファシリテーターとは何か、何のために必要とされているのか」、という本質の部分について改めてみんなで考えようという意図が含まれていたようですが、参加者にはしっかりと伝わったようです。

おまけ:交流会写真です。