東京フォーラム2007 分科会2−8

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  ファシリテーションフォーラム2007
対立を楽しむ議論の進め方分科会記録
〜TOC対立解消図を活用した
 ファシリテーション〜
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■日時 :2007年5月27日(日) 9:30〜12:30■場所 :ATCホール B8会議室
■参加者:24名(会員16名、一般8名)
■担当 :西原さん、村上(秀)さん、河田さん、阿久津さん、森さん
■概要
 議論の中でおこる対立を五角形の図にあらわし、解決策を探るTOC対立解消図を使ったファシリテーション方法を紹介、参加者の抱える(悩み)をテーマに実体験する。


■内容
◆レクチャー1(15分)
○TOC(制約理論)の概要
・沿革
70年代にゴールドラット博士がスケジューリング手法を開発。
80年代前半:スケジューラーソフト(OPT)を開発、販売。
OPTの背後のコンセプトを小説として発表−TheGoalは二百万部以上の大ベストセラーに博士がソフトウェアに疑問を感じ、TheGoalで改善した方が効果がありと考え、TheGoal で説明した手法の教育に専念。以後、制約理論に基づく原価管理手法、Thinking Process(TP)開発。
・TOC(制約条件の理論)の3つの原則
1.組織には達成すべきゴールがある。(目的)2.組織は、ごく少数のことにより制約されている。(ボトルネック)3.部分の合計は全体と一致しない。(ロジックツリーでは補足出来ない。)
・人は変化に抵抗する<抵抗の6階層> 
変化に抵抗する6段階(問題を認めない、ソリューションの方向性、問題解決への抵抗、
→納得・合意形成の6段階(問題、ソリューションに合意をする。)
・TOC思考プロセス 5つの図
→今回は「対立解消図」を使う。
◆ワーク1(15分)
・参加者に、自分の悩みを1人1枚書いてもらう。本当の悩みでない場合は、申告してもらう。参加者全員(1人3票)に投票し、高得票の悩みをワークの題材に選ぶ。
高得票の悩みは、「上司がファシリテーションを理解してくれない」、「マンションに住みたくない」、「いい仕事をしたいが、時間の制約がある」、「HPを更新したいが同僚が協力してくれない」、「正社員になるべきかどうか」を題材にした。
・チーム分けのルールは、自分で投票した「悩み」のチームに入る。全部で5チーム。
◆レクチャー2(15分)
○対立解消図の説明と例示
・TOC思考プロセス5つの図があり、今回は「対立解消図」を使う。
何を変えるのか。何に変えるのか。どのように変えるのか。で使用する図を使い分ける。
・「問題」とは何か?「問題」とは一般的には「好まざる事象」である。自然科学では、問題とは「対立」であり、対立が、根本原因を招くと考える。
・例:中座爆発火災に伴い延焼した法善寺横町について、道路の道幅で市役所(4m)と住民(2.7m)が対立した。
対立解消図では、1.対立(事実)を成立させる仮定を明らかにする。2.対立を成立させる仮定を疑う。3.WIN−WINの解決策を見つける。
◆ワーク2(90分程度)
1.各チームの「悩み」で何が対立・ジレンマを整理する。(発散)
(視点:なぜ、その事を我慢しているのか、悪影響を受けている物は何か。行わざるを得ない行動は何か。引き起こされているのか。)などの質問により、対立を明らかにする。
2.対立のストーリー化を参考に対立解消図を作成する。(集束)
3.対立解消図論理のチェック
Fは、声に出して読み、ロジックがあっているかメンバーに問いかける。
4.対立の解消(仮定の洗い出し)(発散)
5.対立の解消(解決策立案)(集束)

■感想 (笹山)
○総括 「問題」が対立より生じているという考え方は新鮮であり、かつ実践に使える。
1.対立解消図を作成し、因果関係や前提条件を問い直す、繰り返し問い続ければ、有用な道具です。何事もトレーニングですね。
2.声に出して、論理に矛盾が無いか確認するのは、スキルとしては初めて知りました。
確かに声に出し、引っかかる所や、スムーズに語れないとどこかに論理の飛躍があるのでしょうね。

○ワークを通じて
「HPを更新したいが、同僚が協力してくれない。」の悩みの解決チームに参加しました。
1.対立の明らかにするため、悩んでいる方に、なぜ我慢しているのか等の質問をしていくと、ドンドン、その方の置かれている状況が明らかになってきました。
 しかし、
5つのます ←「B理由」←「D 行動」
「A共通の理由」
        ←「C理由」←「D`行動」
を埋めて行くのが難しかった。
2.対立の解消(仮定の洗い出し)
 更に、上の図のBとDを繋ぐ仮定、AとBを繋ぐ仮定、DとD`の対立関係を示す納得出来る仮定も試行錯誤的にやっていき、行き詰まりましたので、かなり焦りました。西原さんのアドバイスをもらい少し、霧の晴れ間が見え、発表の時間となりました。
残念ながら、3.最後の対立の解消(解決策立案)には至りませんでした。
○活用方法:「問題」=「対立」を軸に考えると、活用範囲は今回の分科会の様に幅が非常に広いです。
○その他:時間がもう少し欲しかったです。