東京フォーラム2007 分科会1−2

■日時 :2007年5月26日(土) 13:30〜17:10
■場所 :ATC C2会議室
■参加者:62名 (運営サポート:舟橋、信川、繁村)   

■テーマ:「ファシリテーションに生かす編集術ワークショップ」
■担当 :編集工学研究所 ISIS編集学校頭取 大川雅生氏

■概要:編集術のメソッドをワークショップをしながら体験。
    ファシリテーション・スキルに応用できるメソッドもあり。
    

■内容
 ◇準備:5〜6名で一つのチームを構成(各チームに女性が参加)

 ◇はじめに、「午前中の基調講演松岡氏の最初の話は?」の問いかけ
  さらに、「板書には、なにが書いてあったか」
   ・皆、思い出せず、首をかしげていた。
   ・頭の中に、どういう情報が残っているか
   ・皆でやれば、思い出せる → コラボレーションワーク

 ◇自己紹介
  ・各チームで、これまでの自己紹介で言ったことがない(未知の自分)こと、
   「自分をお菓子にたとえたら何?」で自己紹介 
   (シンキングタイム:1分、発表時間:一人2分)
  ・次に、各人からあがってきたお菓子の中からチーム名を決定。
   各チームの名前は:クリームパン、水ようかん、ソーダあめ、するめいか
           こんにゃく畑、イチゴ大福、大きなせんべい
          甘栗むけちゃった、薄味のカール、TOPPO、カントリーマーム 
 
 ◇ミニレクチャーと編集術ワーク(1)(2)
  ・情報の編集とは、つまるところ「変・換・代・替」
  ・「怒っている」をいいかえると?
     −立腹する、頭から湯気が出る、目がつり上がる、
      シカトする、メンチ切っている、むかつく、頭にくる
  ・編集術ワーク(1):各チームで「○○変える/換える/代える/替える」
   という述語をなるべくたくさん挙げる
     ※対象がはっきりすると出やすい。 ○○を○○かえる
  ・編集術ワーク(2):読み換え チームディスカッション
    −コップを読み換えてみよう

 ◇考察
  ・どうイメージしたら読み替えられたか? 
   →皆の意見:
    ・形のイメージから 動き、場面を変えてみた
    ・ことばのイメージ
    ・シチュエーションを変えてみた
    ・同類、分類 
    ・使い方 − 使われている場面 → ずらしてみる
    ・材質/音/色(→光を変える)/感触に焦点
    ・置き方を変える −縦・横
    ・中に入れる物を変える
    ・サイズを変える

 ◇編集術ワーク(3)とミニレクチャー
  ・編集術ワーク(3):その方法を使ってどのくらい出来るか、「蛙」を読み替えてみよう
       2分で30個以上・・・早く情報を動かす
       回答を考える時、ブラックボックス部分を意識
  ・レクチャー:(分子)/(分母)の分母を変えたと考えるとよい。
   (図)/(地)の地を変えたと考えてもよい

 ◇編集術ワーク(4)
  ・新聞記事からメインタイトル、サブタイトル、イラストを白塗りで潰したものを読み、
それぞれの言葉や絵を自分で考える編集術ワーク
  ・レクチャー: 使うだろうと思うことばに○をしたり、メモしたりする。
   → 言語化してドライブさせるとよい
   隠してみてはじめて頭が働く。喚起したい時、あえて伏せてみると良い。  

 ◇編集術ワーク(5)とミニレクチャーと編集術ワーク(6)
  ・編集術ワーク(5):「今年に入ってから買ったもの」をなるべく具体的に、
   4分で30個あげる。小さいポストイットに書いて貼りだす
   (ポストイット編集術)
   → 人によっては結構苦戦、10個ぐらいしか出なかった人も
  ・どうカーソルを動かして頭の中から出てきた(想起)か
   自分が「時間」「空間」「エピソード」の何が得意かを知っておく。
   また、今どの種類で想起しているか意識して、切り換えられるようになるべし
  ・編集術ワーク(6):今度は並べ替えてみよう − テーマを持って編集する
    −まず値段の高いもの順に (客観的基準で)
    −次に気に入っているもの順に (主観的基準で)
    −最後に、日本にとって大事な物3つか5つを選んで(第三者的の基準で 企画)
    どういう日本にするか、まず物語を作る

 ◇ミニレクチャーと編集術ワーク(7)
  ・三位一体型
   3つ出すと多様性があるように感じる。選べる気持ちになる。
  ・編集術ワーク(7)
   編集術ワーク(6)で出てきたものを大きく3つのグループに分け、
   しかもお菓子のチーム名に関連づけて、それぞれのお菓子らしさの特徴
   を生かして「新しい日本のイメージ」を「〜〜な国」で表現しみてみる。
  ・各チームより発表
   アウトプット例:
    -甘栗むけちゃった:フレンドリーなサムライの国    
      甘栗のように、外は硬いかもしれないが、中身は甘くて柔らかく、
      味わいのある国
    -塩味のToppo:しつけとしっかりとした教育・塩味の効いたしっかりした国
          お互いの気持ちを解く甘さ・思いやりや愛をしっかり活かす国
          そして、様々な人・ものをつなぐ、つなぎ、何かを生み出す国
      Toppoは3つの味のハーモニー、外側の「ぴりっと引き締まる塩味」
      中身の「とろり甘〜いチョコレート」、その内外をつなぐ「ポリッ、と 
     した食感のプレッツェル」
    -不二家のカントリーマーム :環境に配慮して、文化による人とのつながり
                  を大切にする国
      (1)環境、(2)文化、(3)人とのつながり
        *危険を孕んでいる、不二家がミソ
-いちご大福:重層構造で中まででおいしいぞ−
(1)外側の皮:守ってくれる(健康・安全)
(2)あんこ:おいしいところ(経済・産業の発展)
(3)いちご:一番大切(人とのつながり)

■感想
・ハード&スピーディーな内容にもかかわらず、皆さん嬉々としてワークに取り組んで
 らっしゃいました。
 短時間の中で新しい頭の使い方にも慣れてきたようで、最後のグループワークでも
 活発な議論が起こり、プレゼンでは「なるほど!」と思う、ストーリー性のある作品が
 生まれていました。
 脳みそは使い方を工夫すればどんどん新しい発想が生むことができる事を実感できた
 講義でした。                      (舟橋)
・普段何気なく読んでいる新聞を使って、これだけ「頭に汗をかく」ことができるとは
 思いませんでした。
 日常にありふれたものを効果的に活用できる知恵は、ファシリテーションにとって
 重要だと感じ、参考になりました。            (信川)
・視点をどう切り替えていけばよいのか、ヒントになりました。 
 つぎつぎと繰り出されるワークに「頭に汗かく」がほんとにぴったりでした。
 皆さん、いつもと違う頭の使い方を楽しんでいたようです。 (繁村)