東京フォーラム2007 分科会1−1

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     ファシリテーションフォーラム2007
     対立を力に 身体&対立解消 
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■日時 :2007年5月26日(土) 13:30〜17:00
■場所 :ATCホール B2会議室
■参加者 :26名
■担当 :川端美智子さん、中川摩耶さん、中冨

■テーマ
対立を力に 身体&対立解消 〜異なる利害を解決する〜

■概要
異なる利害、対立関係を攻撃的にならずに解決する方法には?
対立を解消するための意見の表明と話し合いの重要性を
チームで協力しあいながら楽しいゲームを通じて体感覚で実感する。

■内容
 ●はじめに:グランドルールとアイスブレイク (30分)
・チーム分け→5つのテーブルに自由に着席してもらう
・お約束:グランドルールの説明
→1)考えすぎない、まずはやってみる、参加すること 2)自分を持ち出し、自分のために役立てること 3)自分も人も尊重し安全と信頼の場をつくること 4)時間を守ること 5)答えは自分の中にある、気づきを大事に"お土産"は自分で創り出すこと 6)自分も他人もよく観察、フィードバックを大切にすること
・ゴール:ワークでの獲得イメージ
→1)自分の中で"気づき"を発見する 2)自分の経験を整理しスキルアップする 3)今日の学びを、明日の仕事や活動に繋げる
・アイスブレイク:自己紹介
→各自A4用紙1枚を4ツ折にして「1.名前」「2.どこから来たか?」「3.分科会参加の目的は?」「4.自分をクルマのパーツに例えると?」を書き自己紹介する

 ●解説1:話し合いの作法 (10分)
・ファシリテーション&ファシリテーターとは
・ファシリテーションで話し合いが変わる
・ファシリテーターの資質と話し合いの10のステップと役割

 ●解説2:意見の違いなんてコワくない (20分)
・合意(対立を乗り越える)ためのプロセスの要点
→(1)自分の意見を大切にする(2)自分の意見を表明する(3)納得するまで話し合う(※今日のルールとして、じゃんけん、あみだ、多数決等禁止)(4)自分の意見に執着しない(5)少数意見は質を上げるものとして尊重する。

・なぜ対立は発生するのか、どうすれば対立は解消できるのか
→対立は価値観の違いから生まれる。対立は決して恐いものではない、対立や矛盾を恐れてはいけない。まずが自分の中の対立や矛盾と向き合いことからはじめよう。自分で考え、全員で考え、そして新しいものを創るという意識が必要。
・対立を解消するために
→自分の"枠組み"に気づき、その"枠組み"を変える=リフレーミングすることが重要
→視点を変える、リフレーミングを体験するため「絵本ZOOM」を使って、視点を変える、視点が変わることの重要性を全員で視覚的に学ぶ
・対立解消のステップ
→(1)信頼関係をつくる(2)互いの要求を見極める(3)対立ポイントを再定義する(4)要求を整理する(5)双方の言い分を満たす結論を話し合う
・対立解消のいろいろ
→(1)話し合う(2)互いのことを聴く(3)分け合う(4)交代する(5)妥協する(6)平和の申出(7)ごめんねを言う(8)信頼を築く(9)一緒にやる(10)問題を解決(11)保留する(12)次に移る(13)助けを求める

 ●ワーク1:対立解消、合意形成のプロセスを体験してみよう パート1(30分)
・5つのチームにA4用紙1枚を配布し『3分間で、全員で、きれいな円で、埋めつくす!』ことを実行してもらう。必ず自分の意見を表明し、話し合いによりチームでひとつのやり方で合意してから実行すること。話し合いの時間は15分間
→さまざまなカラーペンを使い色合い豊かに綺麗に描いたチーム
→千円の紙幣、五百円や百円をA4用紙に並べたチーム
→思い思いの図形の円を、全員が一斉に描いたチーム などなど
・振返りでは、個人の意見がチームとして、どう話し合われたか、そして合意形成に至ったかについて学ぶ。また「全員で」「きれいな円で」「埋めつくす」とは?互いの意見の表明とチームとしての定義のすり合わせが、どのように行われたかについても振り返った。

 ●ワーク2:合意形成のプロセスを体験してみよう パート2(100分)
・ここまでの5チームを、3チームに再編成。まずは新しい3チームでメンバー同士の自己紹介とチーム名を決定してもらう
・ワークでは、3つのチームに、それぞれ「指示書」(各チームの利害が異なり、実行しようとすれば対立する内容であるが、各チームとも自らの指示しかわからない。指示内容は異なることすらわからない)を手渡す。チームは競い合って忠実に指示を貫徹すること。但し、他のチームに自チームの指示内容を見せてはいけない。指示は互いに貫徹すること。最も優秀な1チームには賞品を進呈。指示を実行するまでの話し合いと及び作戦タイムは20分。
→Aチーム:すべてのイスを窓のそばに並べる。15分以内に行うこと
→Bチーム:すべてのイスをドアのそばに並べる。15分以内に行うこと
→Cチーム:すべてのイスを丸く並べる。15分以内に行うこと
・振り返り
→いま何が起きたのか?どのような対立があったのか?あるいはなかったのか?自分の意見は出せたのか?対立解消と合意形成ははかられたのか?納得したか?
→ファシリテーターの進行のもとに、それぞれが振り返り、それぞれが「対立」や「矛盾」と向かい合い、感じたことや気づきをぶつけあった。

■感想(中冨)
・最後のワーク2は、いわば「イス盗りゲーム」。開始前は壮絶な"イスの奪い合い"を期待していたのですが、結果はチーム同士が交渉人を通じて「要求を通す」という予想外の展開に。
・振り返りでは、当然に、このチーム同士の「交渉」による対立解消のあり方について多くの話し合いや振り返りが行われ、「対立や矛盾を押し殺した方法」「一方的で圧迫感があった」「相手の主張が見えず不安で恐かった」などの気づきが多く出されました。
・対立する!異なる利害や価値観を恐がらずに乗り越えるためには、何よりも自分の意見を、リスクを覚悟で表明し相手、そして対立の状況と向かい合うことの重要性を痛感しました。参加者のひとりが言った「頭で考えるよりも、体で、そして心から、求めることが大事かも・・・」というひと言が印象的でした。
・最終のワーク2が、いわば『対立「交渉」ゲーム』といった予想外の展開となったことを受けて、そのリベンジとして、予定外のワーク3が行われ、予定時間をフルに使って文字通りの『対立「解消」ゲーム』に参加者が汗し、ワークを楽しんだことを付け加えておきます。