東京フォーラム2007 分科会2−4

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     ファシリテーションフォーラム2007
共感・共有の新ツール「クロスロード」で行こう
〜今話題沸騰のリスクコミュニケーションツールを試す〜
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■日時 :2007年5月26日(土) 9:30〜12:30
■場所 :ATC B2会議室
■参加者:25名 (運営サポート:神田、塩根)   
■テーマ:共感・共有の新ツール「クロスロード」で行こう
〜今話題沸騰のリスクコミュニケーションツールを試す〜
■担当 :西 修 さん
アドバイザー 吉川肇子氏(慶應義塾大学 准教授)
柿本雅道氏、浜尚美氏(神戸クロスロード研究会)

■概要:クロスロードのツールとしての魅力と可能性を体感する
    クロスロードの長所を生かしてFAJ的な応用に挑戦する

■内容
◇レイアウト:奇数人数で一つのチームを構成

◇開始オリエンテーション
 アイスブレイク(各チーム内で自己紹介)
  ・住んでいるところ
  ・現在の仕事など
  ・このテーマを選んだ動機

◇ミニレクチャー(吉川氏)
・クロスロードの生い立ちと現在の活用方法

『クロスロード』
 阪神・淡路大震災での貴重な体験を伝えるため
 膨大なインタビュービデオを元に作られたYes/No形式のシンプルなゲームで
す。
 現在は震災の神戸編以外にも多くの設問が作られてきており、
 決断を迫られるジレンマを疑似体験するリスクコミュニケーションツールとして
 注目を集めています。

◇体験クロスロード(3問)
・あなたは援助物資担当課長
援助物資の古着が大量に余ってしまった。でも、庁舎内には保管する場所はない。
倉庫を借りるのも費用がかかる。
いっそ焼いてしまう?
YES(焼く) NO(焼かない)

・参加者は全員「自分ならどうするか?」を決めて、手持ちのYES・NOカードを
だす。
・一斉にカードを表に返し、多数派の意見であった人は、青い座布団をゲット
・少数派でも、意見がただ一人だった場合は「金の座布団」を一枚とる

◇震災時実体験のコメント (柿本氏、西氏)

◇振り返り クロスロードの強みと弱み、または質問
・グループでディスカッションと結果発表
YES/NOなのでルールがシンプルでわかりやすい。
重いテーマにも意見が出しやすい 
場合によっては、ただのゲームに終わってしまうおそれがある。
金座布団のルールはなぜできたのか?

◇金座布団やゲームについてのコメント(吉川氏)

・解決しない問題からスタートしているので白黒ハッキリつけられるものではない。
考えるきっかけにはなる。
・ゲーム形式をとったことにより,重いテーマに取り組みやすい。
・少数意見を尊重するのがもともとの発想だが、金ザブ狙いと言いながら、実は自分
の意見を言うひとがいる
・心理学者としてはゲームとして勝負に徹してもらえばいいと思っている。そうする
と、他の人がどう考えるのかを真剣に考えることになる


【休憩】

◇FAJ的応用を考える。
自分のファシリテーター(ファシリテーション)の体験の中から「困った・迷った・
失敗した」を出し合いクロスロードの設問をつくる
・ジレンマを起こさせる状況を想定させる。

〜できた問題の発表〜

●あなたは会議のファシリテーター
契約時間が2時間あったのにかなり早く会議が終わってしまった。全員同じ意見だっ
たのだが、このまま会議をやめてしまう。
YES(やめる) NO(つづける)

●あなたは会社の上司
新人研修で「必ず結論を出す」指導をしていたグループワークで、終了しないグルー
プがあるまま就業時間が過ぎた。残業禁止が前提だが、残ってやりたがっている
残して続きをやらせますか?
YES(残す) NO(帰す)

●あなたは会議のファシリテーター
会議で、社長のお気に入りの部下が本来の目的外の議題を提出したときに参加者の一
部が賛同しました。
本来の目的に戻しますか?
YES(戻す) NO(戻さない)

●あなたはまち系の経験豊かなファシリテーター
今日は、市民が参加した都市計画の会議。ファシリテーターは今日がデビューの後
輩。あなたは事前に「今日は口出ししないから、まかせる」と後輩に言ってありま
す。ところが、参加者の一人が演説をはじめ、後輩は困っているようすです。
あなたはだまって見ている?
YES(だまってみている) NO(介入する)

●あなたは会社員
社長直轄の売れていない新商品販売倍増プロジェクトがスタートします。参加メン
バーは上司から命令された参加意欲のないほとんどが「イエスマン」です。チーム
リーダー(ファシリテーター)を引き受けて成功したらあなたの出世は間違いありま
せん。給料も倍増です。
あなたはチームリーダー(ファシリテーター)を引き受けますか?
YES(引き受ける) NO(引き受けない)

◇できた問題をやってみる。

◇結果発表(個人戦、グループ戦でお菓子の獲得数)

◇グループでの振り返り
・少数意見が孤立しない。
・問題をつくる作業が結構楽しかったし,共通体験を蓄積するのに有効。
・災害について真剣に考えるきっかけになった。

・良い問題をつくって(クロスロードを)広めよう。
・子供と,他人の事を考えるきっかけ作りに使う。
・お座敷で本物の座布団を使ってやってみたい。

◇吉川氏からのコメント
・今日は学会を抜け出してきた価値があった。クロスロードの新たな可能性を感じる
ことができた。
・オリジナルは最小限のルールしか決めていない。それぞれの場にあったルールを工
夫してもらったらよい。
・新たな活用方法に挑戦されたときはインターネット上に開設している『クロスロー
ド新聞』に是非投稿してください。


■感想
YES/NOのカードを出すとき,100%の自信を持って出すことはできませんで
したが,出した後の意見交換では,選択に迷いながらカードを出していることはみん
な同じでした。人の意見を聞くことの大切さを改めて実感しました。また,意見を言
える機会が必ずあるので,積極的に参加をしたという満足感もありました。(神田)

少数になってしまった人も、自分の意見を言いやすくなる効果が金座布団にはありま
した。ゲームに徹してやることで、意見を述べる場では2つの効果出ていたように感
じました。ひとつはディベートの勉強になるということ、もうひとつは間違っていそ
うな意見だったとして、ゲームを重視したのだ!ということを盾にできるという利点
です。だれも傷つかないという利点が最大のところじゃないないかなぁ...って感じま
した(塩根)