研究発表一覧

研究発表

※エントリー順

1)ベイズ統計学を応用したファシリテーターの挫折プロセスの「見える化」

発表者

岡田 栄作

プロフィール

所属:浜松医科大学 健康社会医学講座.健康に良い街づくりや地域包括ケアの構築、医療関連情報の見える化などを大学で研究。根拠に基づいた政策や医療・看護福祉の実践を統計学をベースに支える取組を行っている。

発表概要

目的

ファシリテーターは場の変化に伴い、いろいろな試行(トライアル)をする。試行によって場が好転することもあれば、暗転することもある。私はある日ファシリテーターとして場に立ったが、試みようとしたことがすべてうまくいかず、最終的にはファシリテーターであることを放棄し、茫然とその場に立ち尽くしたことがあった。私が起こしたことは運が悪かったのか?実力不足ゆえの必然挫折なのか?プロセスを振り返る必要があった。私はあの時どうすればよかったのか?場がどのように変化するかは一定の確率で推移するという仮定の下、私が体験したファシリテーターの挫折プロセスをモデル化し、ファシリテーターが試みた試行や心の変遷を見える化する新しい振り返りモデルを提唱する。

仮説

ベイズ統計学を応用して、ファシリテーターの心理的プロセスの変遷を見える化することができるかどうか。見える化した挫折プロセスはどのような軌跡を描くのかどうか検証してみることにした。

2)U理論でファシリテーターとしてのあり方を共創造

発表者

浮田 茂幸

プロフィール

2014年度関西支部運営委員。2014年度関西支部合宿委員。通称:きた(@関西)。

発表概要

目的

「活動を通じて、多様な人々が協調しあう自律分散型社会の健全な発展と、協働の精神の増進に寄与していく」趣旨で設立されたFAJにおいて、健全とは言い難い様々な適応を要する課題が生まれ、根治されずに蓄積されつつあると感じています。ファシリテーターの集まりである私たちがFAJ自体であり、関西支部合宿に集まる全国のファシリテーターと一緒にUの谷をくぐり、出現する未来から、今からのFAJに必要なファシリテーターのあり方を共創造し、それを実践していくことで、今よりほんの少し健全なFAJに変化していくきっかけとしたい。

仮説

U理論に沿ったプログラムで、出現する未来から生み出したファシリテーターのあり方なら、現在の課題を解消する糸口がつかめる。
FAJ全体で生じている課題は、さまざまな小さな組織でも生じており、各個人の中でも生じており(フラクタル構造)、各人のファシリテーターのあり方が変容することで、各組織、そしてFAJ全体に変容が波のように広がっていくはず。

3)イキなファシリテーションの研究−「あなたがうまく行かないのは、マインドの問題では?」と言われないために

発表者

小椋 浩一

プロフィール

名古屋の某電機メーカーにて、人材組織活性化活動の一環としてファシリテーションを導入。効果は絶大で、多くの部門ファシリテーターの活躍により従業員満足度が毎年向上、「働きがいのある会社」ランキング入りを達成。

発表概要

目的

ファシリテーションには、良いファシリテーションとそうでないモノが厳然として存在する。しかし、それはスキルの習熟度だけではないようだと感じている。いやむしろ、スキルの習熟度は低かったとしても、マインドの素晴らしいファシリテーターには、皆の共感と協力が集まるのだ。では、そのマインドとは何か?それをつかむべく、様々な取り組みを行った。

仮説

良いファシリテーションとは何か? 成果を上げられたファシリテーターとそうでないファシリテーターの差は、スキルというよりマインドの面にその大きな原因があるのではないか。

4)”アクティブ・ラーニング”をより促進させるコンテンツ、プロセスや評価手法の在り方

発表者

上井 靖

プロフィール

現在、名古屋の公立中学校校長。元来理科教師。教職員や一般の方への道徳、人権教育、組織活性化などのワークショップを対話や未来思考を中心に手がけている。FAJ理事、ファシ活委員。

発表概要

目的

2020年の学習指導料の改訂に向けて、文科省は「”アクティブ・ラーニング”をキーワードとして、学びの質の大転換、授業のスタイルの大転換、教師はファシリテーターの役割が必要となる」と言っている。私は、この5年間、FAJ内外で、体験と対話による”白熱授業”ワークショップを展開してきた。その知見から、文科省がうたっている「アクティブ・ラーニング」の方法と評価について、現場での一般化に向けての課題を明らかにしたい。

仮説

・学習者が、”疑問、葛藤、ジレンマ”を感じる「場」「コンテンツ」「問い」がデザインされれば、学習者自ら知的好奇心を高め、能動的に学習することができる。
・このデザインされた一連のプロセスを通じて、他者からのフィードバックも含め、学習者自身が内省する場を設定し、生まれた気づきを言語化、アウトプットできれば、自分をさらに成長させるための評価となりうる。

5)ファシリテーターはメディエーター(調停者)たり得るのか

発表者

福嶋 崇

プロフィール

1981年生まれ。株式会社ライフコンサル大分業務統括部次長。九州大学にてコンフリクト・マネジメントの理論や調停技法研究に従事した後、保険営業や人材育成研修を行っています。修士(法学)

発表概要

目的

私たちファシリテーターの間で、近時「対立」への関心が高まっているように思われます。話し合いの中でも、それを開始する時点において、構造上も当事者の主張の面でもすでに対立が表出しているものに調停があります。この10年、調停の世界でも、プロセスにおける対話を重視する、その名も「ファシリタティブ(自主交渉援助型)」と呼ばれる調停技法が注目されていました。調停の世界で語られる技法や態度とファシリテーターが用いる技法や態度は近いものなのか、あるいは相入れないものなのか。もっと過激に言えば、ファシリテーターは調停者たり得るのか。また逆に、調停者はファシリテーターから学ぶべきものはないのか。これらの疑問に対する回答に近づくことが、今回の研究の目的です。

仮説

調停はファシリテーションでユーザーフレンドリーになる

6)地域団体等を巻き込んだファシリテーションの普及試行と会員が実践体験を行う場の構築

発表者

向山 聡/荒谷司聖/井上 基之

プロフィール

2013年度ファシ活をきっかけに「地域活動へのファシリテーションの普及」と「FAJ会員の実践経験の場作り」を進めてきたチームです。更なる関係作り、活動の場作りを進めています。

発表概要

目的

地域にファシリテーションを普及させていく鍵として、自治体等の関係者と良好な関係を作って展開を深めていくことが有効であると考えられる。また、「実践体験をしたい」というFAJ会員に場を提供していく環境作りにも効果が見込まれる。実際にワークショップや勉強会などを行っていくことで、地域の関係者等のニーズを充足し、関係を構築していくことができるか、また、会員の体験の場を作っていくことができるかという検証を行った。

仮説

仮説0)社会福祉協議会は、地域でのファシリテーション普及へ協力できるパートナーであり、良い関係を構築することでFAJ会員の実践の場作りにも有効である。 仮説1)誰でも発言できる場があれば、意識に差がある施設職員とボランティアでも交流が進む。 仮説2)テーブルファシリテーターなどの支援があれば、成果型の交流会も可能である。 仮説3)地域での展開を加速するには、社協職員などにファシ機能を移植していくことが効果的である

7)ファシリテーションの訓練方法として演劇を考える

発表者

おきなお子/小崎照卓

プロフィール

(1)おきなお子 演劇ファシリテーター/法政大学 多摩地域交流センター コーディネーター/街劇団えんがわカンパニー主宰:パフォーマンス・エスノグラフィーとして街の記憶を演劇で共有する作品を多数創作。
(2)小崎照卓(以上、ファシリテーション演劇プロジェクトメンバー)

発表概要

目的

演劇は、ファシリテーションと別に独立した表現方法であるが、関係性や感情を取り扱うこと、また、古くからワークショップを発展させてきた歴史を持ち、要素としてはファシリテーションとの関わりが深いと考える。そして、演劇の質を向上するための様々な要素が、ファシリテーション能力、特に『スキル』と違って磨き方が難しい『自分の在り方』を含めた対人関係スキルの研鑽につながるとの考えから、演劇こそがファシリテーションの上達に最も有効な訓練方法であることを証明したい。

仮説

ファシリテーターの対人関係スキルの訓練方法として、演劇は非常に有効なものである。

8)議論が促進される空間づくりとは?

発表者

柴田 千晶/東憲治/伊藤浩/加藤博敏/亀井誠史/鈴木克典/高谷朱美/永野直樹/増平貴之

プロフィール

2014年度東京支部運営委員会箱チームメンバーです。限られた予算で年間250件を超える定例会や打合せの会場予約を行うなか、より話し合いが促進する「空間づくり」とそれを支える「ツール」を考えています。

発表概要

目的

話し合いの空間づくりのアイデアには様々あるが、どのようなものが効果的か、検証するため。

仮説

1)話し合いの空間のつくり(机椅子などのレイアウト)は、議論を促進する、あるいは停滞させる、阻害させるなどの影響を与えると考えられる。具体的には、議論の内容やプロセスのフェーズにより、相性のよい空間のつくりがあると考えられる。2)しかしながら、不利な条件(停滞させる、阻害させるような空間のつくり)の場合でも、他の要素(サポートツール)を付加することで、議論が促進されるようになるのではないか?

9)ファシリテーション実践と普及を実現する効果的アプローチ -もうデキナイとは言わせない!?-

発表者

小野澤 興平、増平 貴之

プロフィール

小野澤:Web企業にて開発促進活動や社内講師を担当。IAF-Japan理事、IAF-CPF、元FAJ東京副支部長 増平:大手電機メーカー勤務の営業マン。FAJWeb委員長・セミナー委員・ニューズレター委員・元東京支部長

発表概要

目的

ファシリテーションの実践・活用・普及がうまくいかなかったり、諦めている状況はよく見聞きされることである。 様々なFAJ活動に年間267日(!)どっぷりと従事してきた「ますら〜」と、FAJ経験を糧に、職場での実践・活用・普及に徹底して取り組んだ「コウヘイ」。これらの実践過程から、「自分自身の実践を増やすこと」「周りに実践の輪を広めていくこと」の2点において効果的と考えられるアプローチを提示することで、ファシリテーションの実践者を増やしたい。

仮説

【1】実践を阻害する何らかのハードルがあるのではないか。(ハードルの自己認識と現実、環境、脅威など)
【2】FAJの機会提供がまだ足りないのではないか。(現状をふまえた、実践促進にあるべき姿)
【3】ファシリテーションの有効性を現場にもっとわかりやすく伝える術があるのではないか。(企業内での実践と普及からの浸透事例、汎用策)

10)ファシリテーションのジレンマ

発表者

加留部貴行/徳田太郎

プロフィール

ファシリテーションみらいセンター

発表概要

目的

FAJはファシリテーションの普及を目的とした団体であるが、ファシリテーションでどこまで組織が運営できるかの実験の場でもある。設立当初からその良さを活かした独自の運営をしてきたが、設立から10年以上を経過し、綻びもあちこちで見られるようになった。それは、FAJだからなのか、ファシリテーションそのものが必然的に持っている副作用なのか、後者であるならそれを打ち消すにはどうすればよいかをこの機会に考えてみたい。

仮説

ファシリテーションで組織運営を続けているといろんな副作用がでる。→原因:過度のプロセス重視、リーダーシップ不足、非効率な合意形成・・・それは(1)ファシリテーションが<不足>しているせいか、(2)ファシリテーションの<反作用>なのか、(3)ファシリテーションの<限界>なのかを比較検討してみたい。

11)F力測定で本当にファシリテーションの力量が分かるのか?

発表者

堀 公俊

プロフィール

関西支部

発表概要

目的

毎年シンポジウムでやっているF力測定だが、「こんな項目を測ることが、ファシリテーション力を測ったことになるのか?」という疑念がある。昨年8月の関西支部定例会において、2014シンポジウムで使った5つのF力を全員で一斉に測る実験をした。そのときのテータを元に、各々の測定項目同士の相関関係や当人のファシリテーションの力量と密接に関係があるかを分析した結果を報告する。

仮説

2014年シンポジウムの5つのF力測定はファシリテーターの力量を把握するのに使える。

12)災害時(発災から2週間まで)における災害ボランティアセンターに関連する連絡会議を促進する方法とは?

発表者

鈴木 まり子/尾上 昌毅

プロフィール

鈴木まり子:FAJフェロー、災害復興支援室メンバー。尾上昌毅:災害復興支援室、東京支部副支部長

発表概要

目的

災害時における県本部と各市町との連絡会議、災害ボランティアセンターに関連する会議において、ファシリテーターの役割を担う者が、ファシリテーションの基本的なスキル(オリエンテーション、タイムキープ、問いかけなど)と考え方を身に着けていることで、効果的な支援活動が展開できる。そこで、発災時に短時間で活用できるファシリテーションツールを開発する。

仮説

連絡会議の進行役(主に社会福祉協議会職員)が、ファシリテーションのスキルを短時間で活用できるツールを発災時に使用することで、効果的な会議を進行できる。

13)FAJがネットワーク組織を維持するために必要なこと 〜私たち「ふりかえら〜」の活動を振り返って〜

発表者

田頭 篤/浅羽雄介/今岡まゆみ/中西百合/野口和裕/松木治子/村岡千種

プロフィール

ふりかえら〜:「ふりかえりを振り返る」というテーマをFAJ各拠点の例会で開催しているチームです。例会で開催しつつ、「振り返り」そのものについても研究をしています。

発表概要

目的

私たち「ふりかえら〜」は、「ふりかえりを振り返る」というネタを各拠点の定例会・例会に話題提供しているチームです。北は北海道支部から南は九州支部まで、別々の活動拠点を持つ会員が繋がっています。FAJの活動は、地理的な制約もあって、どうしても拠点毎の活動になりがちです。しかしながら、「ふりかえら〜」のように、各地の会員が繋がった活動がもっとあると、全国規模であるFAJのよさを更に発揮できるのではないかと思いました。 そこで、自分達「ふりかえら〜」を研究材料とし、全国規模のチームを組成・維持するために必要なエッセンスを改めて探求してみることにします。

仮説

全国規模のチームを組成・維持するために必要なエッセンスとは?【組成】全国に散らばっている会員をある程度知っている人が、組成の引き金をひくことが、もっとも重要である。 【維持】半年に最低1回は、例会への話題提供や、シンポジウムの研究発表など、ゴールとなりうるイベントを用意することがもっとも重要である。

14)「エニアグラムをファシリテーションに活用する」

発表者

中島美暁/永野直樹 他

プロフィール

2014年1月9月に行なった定例会をきっかけに「エニアグラムDEファシリテーション学習会」を主宰。

発表概要

目的

エニアグラムの人間理解の知恵をいかにファシリテーションに活用するかを研究する。

仮説

ファシリテーターとして、対処しずらい相手や場に遭遇したとき、エニアグラムを知っていると「自分自身の特質」(価値観の違い)や「囚われ」(不得意な反応)を感じとり、瞬時に自分自身を変え、その相手や場に合ったファシリテーションを行うことができるはずである。 そのようなことから、エニアグラムを知ることがファシリテーターとしての研鑽に有効であると考える。

15)さまざまな場面で使えるアートファシリテーションの可能性を探る

発表者

福井 修己

プロフィール

エフプレイラボ代表、CPI理事、アートファシリテーター。武蔵野美術大学卒。メーカーで開発、デザイン業務従事後、デザイン思考、ビジュアルコミュニケーション、創造思考等での企業研修講師、大学講師などを経て現在に至る。

発表概要

目的

さまざまな場面(コミュニケーション、合意形成やビジョン創り)において、もっと全脳(右脳左脳両方<イメージ力や五感の活用>)を用いることで、良い結果を引き出す。

仮説

ファシリテーションにアート(心に感じたことを言語だけではない多様な表現)は有効か?

16)大教室での参加型授業の試み

発表者

中野民夫

プロフィール

ワークショップ企画プロデューサー。同志社大学政策学部・大学院総合政策科学研究科ソーシャル・イノベーションコース教授。

発表概要

目的

200人規模の大教室でも、ファシリテーションのスキルを応用し、対話を重視した参加型授業を実現することで、生き生きと学び合いの場ができることを実証する。通常の大教室では、相変わらずの一方的な講義が多く、後ろの方では私語や居眠りや携帯・スマホを触ったりが常態化している。先生も学生もそういうものだという諦めがち。知識の伝達ならネットでできる時代に、わざわざ生身の人間が集まる大学の場を、対話と学び合いの場にする試み。

仮説

参加型授業は、講義型の授業に比して、学習意欲・コミュニケーション能力・主体性を顕著に育む。少人数グループでお互いに話したり聴いたりする時間を「話量」という単位で計る。その総和が大きい程、相互作用による学びが大きいと仮定する。

17)役割りが決まらなくても、主体的に各自がファシリテーション力を発揮すると目的に向かってチームが動き出す手法とは?

発表者

中山隆文/増平貴之/辻 真弘/中澤 義光/柴田千晶/久木野勉/村上邦彦

プロフィール

京都出身。2013年7月FAJ入会。2013年度東京支部イベ副実行委員、2014年度東京支部イベ委員、2014〜15年度WEB委員

発表概要

目的

チームが目的にむかう構築理論は様々な考えがあるが、時間がない、役割も決まっていない、強いリーダーもファシリテーターもいない状況でも、ゲーミフィケーションの考えを取り入れることで、チームメンバー全員が状況に応じてリーダー的、ファシリテーター的に動き、目的に向かってチームが構築されるか検証する。

仮説

チームが構築する最初のステップで、楽しむ(環境の演出化)、競争する(達成イメージの明確化)、目的を明確にする(ゴールイメージの明確化)と、やってみる(Do)からスタートしても、チームメンバー全員が自立的に動き、達成感、一体感を生み出しチームが構築される。

18)大学でファシリテーションを教えることの効用

発表者

石川一喜

プロフィール

拓殖大学教員。「国際開発教育ファシリテーター養成コース」を2004年より企画運営。今年度からは学内の学生を対象とした「グローバルファシリテーター塾」も担当。『教育ファシリテーターになろう!』著者。

発表概要

目的

昨今、大学においてもグローバル人材の育成が盛んに叫ばれているが、その本質的なところでファシリテーション(スキル)へのニーズ、重要性があることを確認する。また、その役割として大学という教育現場のあり方を考える。

仮説

現代社会が教育現場に対して求めるニーズがファシリテーションにあるはずなのに、実際にはファシリテーション/ファシリテーターという言葉が現場に浸透していない。現場がファシリテーションの意義や効用を実感することができれば、学びの質が変容していく(「学ぶって楽しい!」へ)。

19)構造化のスキルの構造を構造化してみる

発表者

平山 猛/加留部貴行

プロフィール

平山 猛:FAJ監事、(株)トライローグ代表取締役、加留部貴行:FAJフェロー、九州大学大学院客員准教授

発表概要

目的

構造化のスキルはグラフィックだけではなく、要因分析を行って原因を明らかにしたり、フレームワークを使って課題を整理したりすることで合意形成につながると考えている。しかしながら、我々は数あるフレームワークや分析・整理の手法を本当にうまく使いこなし切れているであろうか?ファシリテーターがもっとフレームワークや手法をうまく使いこなせるようになれば、おのずと合意形成に導きやすくなるのではないかと考えている。

仮説

どんな場面で、何のために構造化が必要か?構造化のスキルを分解することで、その時々に最適なフレームワークや手法が何かという選択ができるようになるのではないか。

20)多様なファシリテーション力が試されるフレームワーク:セブンクロス

発表者

加藤 彰

プロフィール

関西支部。本業は株式会社日本総合研究所、主にヘルスケア産業分野におけるコンサルティングや次世代リーダー育成に関わっている。FAJフェロー。

発表概要

目的

ファシリテーションの腕磨きには良質な演習が必須要素のひとつである。発表者は研修講師を務めることが多いため、常に効果的な演習はないものかと頭を悩ませている。本研究では、意外に簡単なフレームワークが、ファシリテーション力の多彩な側面を含んでおり、しかも演習者が取り組みやすいものであることを示したい。

仮説

セブンクロスというフレームワークを用いた議論は、ファシリテーション力を構成する様々な要素を駆使して進めねばならないものであり、演習用として非常に優れているのではないか。

21)プロジェクト・メイド・コミュニティ〜地域を再生する新しい地域コミュニ ティのつくり方

発表者

田坂 逸朗

プロフィール

ファシリテーター/マーケティング・プロデューサー。広告代理店勤務を経て、現職。福岡大学非常勤講師。広島修道大学講師。ひろしま未来協創センターにおいて、文科省「地(知)の拠点大学による地方創生推進事業に参画。多くの業態開発、自治体マーケティング、市民啓発事業に従事。特に現在、自治体総合計画立案、産学官連携、起業支援、男女共同参画推進支援分野に注力。

発表概要

目的

我が国のみならず先進国のあらゆる国で「地域コミュニティの減 退」が進行している。そのため現在、新たなコミュニティづくり(ソフトウェア のまちづくり)に多くの心血が注がれている。そこにひとつの提案を行いたい。「プロジェクト」に共に汗をかいた(同じ釜の飯を喰った)仲間がコミュニティ の強化につながることがあるとするなら、これを恣意的にしかける「プロジェク ト・メイド・コミュニティ」のまちづくりに関する研究を発表したい。東日本大震災復興支援財団「福島こども力プロジェクト」「瀬戸内しまのわ2014」「中心市街地活性化黒崎事業」においては、新たな担い手の出現を目論見、ベテランと新たな人材との共同作業を試みた。この経験は大きく、このテーマに関する研究こそ、まちづくりに寄与するものであると確信している。これを論文にまとめ、発表したい。

仮説

「社会関係資本」の重要性を提唱したロバート・パットナムの研究をひもとくまでもなく、多くの国、多くの地域で、地域運営組織、地縁コミュニティはますます減退し崩壊しつつある。ファシリテーターを務めたいくつものプロジェクトにおいて、まちづくりの担い手新旧の融合が起きる「苗床」としての対話の場に、その担い手たちが触れたとき、新たな地域コミュニティと呼べるものの誕生とみなせる瞬間がたびたびあった。あるいは、そこにあったファシリテーションを、新旧の担い手がプロジェクト(期間限定事業)において対話するときの、特定の機序を備えたものと見なすとき、それはすなわち、減退しつつある地域コミュニティの再生に寄与できるはずである。この仮説を検証したい。

22)「学びの場の質の向上 〜2014年度関西支部のチャレンジ」

発表者

岡田 純子(おかじゅん)/2014年度関西支部長、奥西 豊(ゆたやん)/2014&2015年度関西副支部長、
小池 秀裕(コイケ)/2015年度関西支部長、久保 隆(くぼ)/2014年度関西支部担当理事

プロフィール

2014年度および2015年度の関西支部運営メンバー

発表概要

目的

この数年、関西支部では定例会の参加者が長期低落傾向にあった。そこで2014年度関西支部運営チームでは「会員数というよりも、長期低落傾向にある定例会の参加者数を、定例会の参加率をアップさせることで、V字回復させる」ことを目標にして、(1)定例会の質(魅力)を飛躍的に向上させる (2)参加者のFのレベルがアップできる定例会をつくっていく (3)新たな支部の担い手を開拓・育成していく という3つの方策に取り組んだ。この成果(と課題)を広くFAJ内で共有することで、各地のFAJ定例会のさらなる活性化や、内外を問わず「学びの場」の質の向上に役立つものと考える。

仮説

コンテンツを充実させることで定例会の参加者数が増える

23)高校生の国際交流・人材育成プログラムにおける未来を出現させるためのファシリテーション

発表者

平井 雅/高良 法和/平良 亜紗美

プロフィール

1965年生まれ。1995年沖縄移住後、観光、IT、国際交流、人材育成、地域開発などの分野の各種プロジェクトに携わった。試行錯誤の中からファシリテーションに出会い、その活用を通して成果を上げてきた。

発表概要

目的

沖縄で毎年8月に開催されている高校生の国際交流・人材育成プログラム(環境問題等をテーマとする3週間のプログラムにアジア14カ国60名近い高校生が参加する)の初年度の試行において、ファシリテーションの様々な理論や技術を組み合わせて活用することで、高校生の学びと交流を深めることが可能になった経験を踏まえ、,(1)どのようなファシリテーションの理論や技術、プロセスデザインが有効なのか、(2)その成果は再現可能なのか、(3)何が参加者の創造性の出現を加速させるのか、を探った。

仮説

3週間のプログラムのデザインを、第1週=「混乱」「整合」「チームビルディング」期、第2週=「深掘り」「自己開示と多面フィードバック」「プロトタイピング」期、第3週=「シャッフル&再スタート」「未来を描く創作」「成果発表」期という3段階に分けてファシリテートすることで、毎回参加者が入れ替わっても同様の成果を上げることができるとともに、高校生たちの創造性を引き出すことが可能になる。 参考URL:http://aydpo.com/?lang=ja"

24)自治体組織におけるファシリテーション導入による開かれた町政の実現

発表者

金平 嘉則

プロフィール

2011年5月より沼田町長(北海道)現在2期目。北海道沼田町生まれ。1979年沼田町役場に奉職。社会教育主事となる。2009年誘われるがままFAJ定例会合宿へ参加し、ファシリテーションなるものを知る。ファシリテーションを職員と町民の交流を深める事業等に活用中である。

発表概要

目的

町行政にファシリテーションを取り入れ、町民を巻込んだまちづくり、町職員、町民が自律的に取り組むまちづくりを実現する。

仮説

町行政にファシリテーションを導入するプロセスは、 ・職員の啓発・育成・実践 ・町民の巻込み・育成・実践 というステップである。特に職員の啓発・育成には十分時間をかける必要がある

25)ファシリテーションの本質を問う 〜いつまで実践活用しないファシリテーションを学び続けるのか?〜

発表者

百野 あけみ

プロフィール

組織開発ファシリテーター/プロセスコンサルタント。Face to Face代表,i-business代表、日本経営協会 専任講師。銀行系Sierでのシステムエンジニアから、トヨタ自動車、Pwcコンサルタントを経て後独立。FAJ入会は2009年。2010年全国フォーラム実行委員、2012年、2013年度中部支部運営委員、2014年、2015年度ファシ活委員。2014年度円卓2に参画。

発表概要

目的

FAJの会員になって7年目を迎えた。入会以来、FAJ内での活動を始め、自身の職場、地域での活動や自主運営の組織など、あらゆる場で成果にコミットしたファシリテーションを実践活用を実施してきた。私にとってファシリテーションとは、成果を達成するためのツールの1つであり、手段に過ぎないが、FAJの会員の中にはファシリテーションをそのものを学ぶことが目的になっている人も多いと感じる。ファシリテーションの本質とは何なのか、なんのためにファシリテーションを学ぶのかをこの機会に考えてみたい。

仮説

ファシリテーションを実践活用し、成果を上げる人とそうでない人には、根本的な思考パターンに違いがあるのではないか。

26)氷見市役所フューチャーセンター庁舎の挑戦 〜成熟した市民社会を引き寄せる ファシリテーション行政と協働コーディネート〜

発表者

本川 祐治郎/谷内 博文

プロフィール

本川 祐治郎:1967年富山県生。早稲田大学卒業後、秘書+中間支援+家業経営での3つのセクター経験を活かし、プロファシリテーターとして起業。 2013年4月氷見市長当選。『市民と行政がともに政策を創る』理想に邁進中。
谷内 博文:地方創生と自治への未来対話推進課

発表概要

目的

【語り合おう氷見 〜市民と行政が共につくる未来へ〜】を掲げて、2013年4月に プロファシリテーターから転身した本川祐治郎市長は就任以来2年間、「市民こそがまちの“使い手の専門家”である」との仮説(本研究の動機)のもと「市庁舎 廃止・移転」や「道の駅 廃止・再活用」、「市民会館 廃止・利活用」、「朝日山公園整備」「駅舎周辺整備」「アーバンデザインセンター立ち上げ」「都市ブランディング」の立案等 可能な限りすべての地域づくりプロジェクトにおいて、事業<プロセス>の早期市民公開と多様な<市民参加>の実施、<プログラム>におけるファシリテーションの導入を試みて参りました。 また、市庁舎そのものを【市民の多様な専門を活かし自律的な問題解決を図るフューチャーセンター】と明確に位置づけ、ファシリテーションの専門部署も新設(地方創生と自治への未来対話推進課)。様々な外部ファシリテーターの方と連携しながら、協働を実現するコーディネーターとして行政職員も多彩な実践を積んで参りました。 「ファシリテーションで行政を変える」その挑戦の記録を FAJ会員の皆さまと共有することにより、真に成熟した市民社会の実現とFAJ会員の皆さまの活躍の場づくりに(研究の目的)お役立ち出来ればと存じます。

仮説

行政をフューチャーセンター化し、全ての地域づくり事業において、市民参加ファシリテーションを原則導入することにより、 1「“まちの使い手の専門家”としての意見とそこで実現したい感情の反映により、きめ細やかで付加価値の高い政策づくり」が出来るはず、 2「市民が当事者ごととしてモチベーション高く事業実施・施設完成後も運営参加・自立問題解決」出来るはず との仮説を立てました。加えて、 3「市民総意での意思決定」「365日政策づくり」という成熟した民主主義社会への仕組み構築への挑戦と毎々のノウハウ蓄積に努めています。