FAJ会員向け冊子から・・・

FAJでは会員向けに「NewsLetter」という冊子を発行しています。ここでは、その冊子に掲載した記事「フォーラム大特集!!」をみなさまにもおすそ分けいたします。フォーラム開催までの道のり、どうぞお楽しみ下さい。


ファシリテーションフォーラム2009開催!

5/23,24の両日に渡り、ファシリテーションフォーラム2009を無事開催することができました。約800名の方々がチケットを購入し、約700名の方々が来場、約100名のスタッフで支えたフォーラムでした。

さて、今回のフォーラムは実行委員たちの様々な「挑戦」「想い」が隠されています。その時々のエピソードを可能な限り紹介していこうと思います。読者の皆さまも、このNLの紙面をとおして、フォーラム実行委員を体験してみてください。では、はじまり、はじまり・・・。

それは、1年前のゴールデンウィークから始まっていた・・・

箱はどこに?

2008年のゴールデンウィーク。福岡で開かれるフォーラムを目前に、翌年東京での会場を決めるべく、NAL隊長の下「フォーラム箱探しツアー」が行われていた。福岡でのフォーラムで「来年はここでやります」とカッコ良く宣言したい。そのためには是非、いま決めておきたいという気持ちからGW返上で集まったはずであったが・・・。フォーラムを開くための、無責任とも思える各方面からの要件を眺めながら、途方に暮れるメンバー。総会が開催可能な広い会議場、複数の分科会をこなせる会議室群、羽田空港・東京駅からの利便性、そして・・・安い料金。地価の高い都心を離れ、幕張・大宮・川崎に至るまでの広範囲に渡り探索が続いた。「そんな場所を、ここ東京で探すのは不可能なのではないか?」「動き出すのが遅すぎたのでは?」様々な疑念を胸に、とにかく歩く。そんな中、東京国際交流館に白羽の矢がたったのは、本当に偶然の出会いであった。下見をしたメンバーは確信する。「ここしかない!」

後に判明する、"壁にテープが貼れない"、"動線が厳しい"、"音が響く"、"搬入経路がデコボコ"などなど、「ファシリテーションのイベント」において会場の使い勝手を決めるファクターは他にもまだまだあるということに、メンバーたちは気づく由もなかった。

コンセプトワーク

「全国らしさとは?」「東京らしさとは?」「FAJの想いは?」「実行委員の想いは?」はコンセプトを作るに当たって実行委員長が投げた「問い」だ。「問い」毎に作られた島。そこに貼り付けた模造紙に想いを描いていくという変則ワールドカフェで熟成させる。「東京らしさが無いところが、東京らしさじゃないの?」「来た人には楽しんでもらいたい!」「せっかくだから全国のFAJ会員を繋げようよ」 など、メンバーから次々に想いが溢れ出る。 ほぼ2ヶ月に渡り想いを出し切り、実行委員の間には清清しい達成感が流れた。その達成感と共に、メンバーの間に培われてきていたモノ、それこそが「多様な 人・組織・ファシリテーション と出会い、響きあう」であった。コンセプトは自ずから紡ぎだされていたのだ。

今回実施したワークは、6月に東京支部で実施したワールドカフェを利用した定例会と、東京支部運営委員会内の有志で試した『mind42.com』を利用して想いを紡いでいく方法に、着想を得た。普段の活動が、確実に次へ活かせることを実感した瞬間でもあった。

ロッピー

1日の来場者数500人・・・。定例会で100人をさばいているが、一気に5倍の数ともなると・・・。申込・受付チームは改めて頭を抱える。議論の中から浮かび上がってきたのは、「当日受付で人を滞留させない」「限られた実行委員の労力は、自分達がやるべきことに充てる」という2点。受付での名簿による確認作業は行わずチケット確認だけにしたことや、申込・決済を外部委託にすること、性悪説ではなく性善説にたつこと、といった方針の下、条件をクリアしたロッピー(ローソンチケット)に決定した。

「ちょっとロッピー使いにくいんじゃないか?」 ロッピーでのチケット販売開始後まもなく寄せられた声。「Lコードを使うと簡単」などが分かると、実行委員は最寄のローソンに走っていった。そこで手順に従って写真をとり、Webにアップ。「店によって端末が違う」の声にも、ローソンへ走った・・・。アンケートの結果では、ロッピーの使い方をめぐって、3割程度の方から「使いにくい」とのコメントをもらった。

今回ロッピーで決済した参加費。この参加費そのものについて、「参加費とはいったい何の対価なのか?」「参加費ではなく協賛金なのでは?」といった別の視点にも気づいた実行委員であった。

他団体との響きあい

名義だけではない後援の姿がそこにあった。その先に目指すものは、各々違うものを持っている。ただ一点、ファシリテーションという部分でつながり、そのつながりは、準備段階から響きあい始める。後援団体のひとつ、NPO法人ハートフルコミュニケーションでは、FAJのイベントに参加する事そのものがプロジェクト。普段の仲間内では味わえない他流試合ならではの多くの気づきを持ち帰った。JVCAのセッションをコーディネートしてくれた、うら凛こと浦山さんは「アウェイに放り出されるような気持ち」とメインファシリテーターの気持ちを自身の反省を込めて振り返った。他にも、我々の気づかないところで、その人ならではの響きあいが起きていたことだろう。

この「他流試合」こそが、新たな地平を切り拓き、前進する原動力になるのだろう。

新型インフルエンザ

昔の怪獣映画を思い出していた。大国の核実験をきっかけとして生まれた巨大なそいつは何故か島国日本を目指す。目撃情報からは、しかし、確実に上陸が迫っている。今回のそいつは、メキシコで生まれ、やはり日本上陸を狙っていた。何処から上陸するのか?日本中に緊張が走る。「神戸だ!」。そして、瞬く間に大阪に拡がる。フォーラムを1週間後に控え、理事会では3時間にも及ぶ議論。「やるのか、やらないのか?」「準備して来た実行委員の気持ちは?」「総会はどうする?」「自治体から自粛要請が出たら・・・」。一方で、実行委員の間では、微塵の手も抜くことなく、粛々と準備が進められて行く。前例のない事態を収拾に導いたのは、ある理事の一言だった。「もし、自粛要請が出てる中で、決行したとしても、家族はそんなイベントに私を送り出してはくれないだろう」一同、大きく頷く。腹は決まった。あとは「自粛要請」が出ないことを祈るのみ。

不謹慎だが、これほどリアルで緊迫した会議は初めてだった。基礎講座の演習にしてしまったらどうだろう?

回遊大作戦

「ディズニーランドで様々なアトラクションを楽しめるのと同じように、フォーラムでも様々なセッションを楽しめるようにしたい!」「みんなが会議室に入っちゃうと動きがなくなって淋しいんだよねぇ」。ここから、"あちこちでセッションが実施されており、その間を人々が行き交っている場"、回遊大作戦への挑戦が始まった・・・。会議室外でのセッション。「箱無しセッション」と称し最終的には、フリースペースセッションとしていくつかのセッションを実施するに至る。どうすれば回遊してくれるのか?会議室に出入りする人がいれば、動きがでる。そこから生まれた「見学ツアー」。そして、事前予約。"参加者は事前に予約して、安心したいに違いない"という想いと、"参加者には会場内を回遊して欲しい"という想いがぶつかり合った。事前予約無し、全て事前予約、事前予約1つだけ。それぞれの対応策の間を、実行委員メンバー全員が揺れ動いた。一時は運営が簡単な"全て事前予約する"に議論が傾く。そして迎えた3月11日の打ち合わせ。「やはり当初の想いはやり遂げよう。その上で運営方法には知恵を出そう!」 そうして、「事前予約は1つだけ」が確定した。

つぶやきがつながったドラムサークル

フォーラムのフィナーレ。ドラムサークルの響きを、何名かの実行委員は「ついにここまで来た」と、ひときわ感慨深げに感じていた。話は、1年以上前に遡る・・・。2008年2月2日、九州支部でのドラムサークルをテーマとした定例会。その場には、のちにファシリテーションフォーラム2009の実行委員となるメンバーがいた。そこで、こんなつぶやきがあった。「東京のフォーラムまで続いていくといいよね」。場所と時を移し、2008年7月26日、東京支部でのOSTをテーマにした定例会。あるグループでは手拍子だけによるドラムサークルが自然と行われていた。そこでは、こんなつぶやきがあった。「来年のフォーラムでできるといいよね」。つぶやきは、つぶやきを拾った実行委員へと受け継がれ、2008年12月20日の東京支部での盛大なドラムサークル定例会を経て、フォーラムのフィナーレへとつながった。「ついにここまで来た。」。ドラムサークルの中央では、ドラムサークルファシリテーターの森田と、実行委員長の田頭が、ドラムの音に合わせ、肩を組んで響きあっていた。

これ以外にも様々な挑戦・想いがありました。紀伊國屋書店、イベント保険、グループウェア導入、リモート開催、Skype等のITを駆使した打ち合わせ・・・。成し遂げたものからも、成し遂げられなかったものからも、本当に多くの示唆・気づきを得ることができました。この紙面でちょっとでもそれを感じて頂ければ幸いです。最後に、ある実行委員の振り返りの言葉を引用して終わりたいと思います。

"多くの参加者が、たまたま隣に立っていた人と、楽しそうに振り返っている姿を見て、また、私自身も初対面の方と心を開いて振り返ることができたときに言い知れぬ感動が湧き上がってきました。そして、そのときに、ようやく本当の意味で、「多様な人・組織・ファシリテーションと出会い、響きあう」というコンセプトが理解できたような気がしました。"

ニューズレター委員も挑戦しましたよ!なんと、フォーラム2日目にニューズレター号外を会場で配布。A4サイズ裏表の1枚もので、前泡やフォーラム初日の様子を伝えました。関わって頂いた方々、ありがとうございました!