第18回 沈黙のマネジメント(その1)事務局

  No answer is also an answer.という諺があるように、沈黙には沈黙なりの意味があります。そこを正しく見極めて対処しないと、苦労してつくりあげた場が台無しになってしまいます。特に私たち日本人はあからさまに意思表示をするのが苦手で、話し合いではどうしても沈黙しがちになります。そういう時のための「沈黙のマネジメント」について今回は考えてみましょう。 ●世界標準では沈黙は同意である  まずは、簡単な方からはじめます。イエス・ノーで答えられるクローズドクエスチョンに対する沈黙です。典型的なのが「皆さん、今の結論でよろしいですね?」「次の論点に進んでもよろしいですか?」といった、コンテンツやプロセスの確認に対する沈黙です。   この場合、沈黙には二つの意味があります。一つは言うまでもなく「同意」です。ご存知のように、グローバルスタンダード(少なくとも欧米の文化圏)では、沈黙イコール異論がないということで、同意を意味することになっています。  ですので、一番の対処法は、グランドルールとして、沈黙は同意であることを事前に確認しておくことです。その上で、非言語メッセージ、いわゆる場の空気を的確に読み取るようにしましょう。間合いを十分にとり、メンバー全員と目線をしっかりあわせ、ほぼ同意であると思って間違いないと分かれば、「沈黙は同意と受け取ってよろしいですね?」と再確認するようにするとよいでしょう。 ●日本標準では沈黙は不同意?  ところが困ったことに、日本の会議では、このグランドルールが通らず、沈黙が不同意である場合が少なくありません。あからさまに異論を述べると波風が立つ、本当に異論を呈したいのだが言いにくい、異論を言うべきか言わざるべきか迷っている・・・といったいかにも日本的な状況です。  この時も場の空気を読み取ることがキーになります。目線、態度、しぐさなど、必ず非言語メッセージのどこかでそれを発しているはずです。何か妙な兆候が感じられれば「おやおや、何か異論がありそうですね? 違いますか○○さん」と誘い水をかけてみると、「いや特にここで言うほどのことはないのですが、あえて言うとすれば・・・」と本音の切れ端が表れてくるものです。  ここで難しいのは、どのタイミングで指名をするかです。早すぎても遅すぎても「いえ、今は結構です」と逃げられてしまいます。本人は言おうか言うまいか迷っているので、発言しやすいムードをつくりながら十分(5秒程度)に間合いをとった上で、まずは目や態度で発言を促し、それでもダメなときに指名をするようにしましょう。 ●分からないことは素直に訊ねよう!  また賛否がよく分からなければ、沈黙は同意ですか? 不同意ですか?と素直に聞くのも一つの手かもしれません。ちなみに私は、「目でアンケート」という方法もよくやります。答えにくいようですので、「私の目をみて目でメッセージを伝えてください」とお願いするのです。そうすれば、同意か不同意かは自ずと分かるはずです。   次回は、意見やアイデアを尋ねるオープンクエスチョンに対する沈黙について考えてみましょう。