第7回 困ったチャンへの対処法は?事務局

 中には、「こんなファシリテーターじゃやってられないよ」「こんなことも知らないでファシリテーターをやっているのかい」と、ファシリテーターにくってかかる人もいます。他にも、「壊れたテープレコーダー」「腕組みをして冷笑する人」「知ったかぶりの評論家」「権威威圧型」など、数え上げればキリがありません。こういう人を、自在に操れる「お釈迦様系ファシリテーター」になりたいものです。 ●なぜ、問題行動を起こすのか?  では、なぜこのような問題行動を起こすのでしょうか? こういう人でも、よく見ていると、いつもいつも問題行動を起こすわけではないようです。特定の状況になれば、問題行動がおきるようで、それを引き起こす環境があります。無視されたとか、納得していないのに議論が先に進んでいるとか。  そういう環境におかれると、問題行動が呼び起こされます。それは、何か目的があっておきるものであり、意識するしないにかかわらず、目的なしにはおきません。問題行動によって、その人が得られる何かがああるのです。自分を認めて欲しいという「自尊心」なんかが、その典型です。 ●どうやって対処すればよいのか?  こう考えていくと、問題行動への対処法は二つあることが分かります。一つは、問題行動を引き起こすような状況をできるだけなくすことです。グランドルールをつくる、公平に発言させる、合意事項を確認する、発言をしっかりと承認するなどが、それに当たります。  もう一つは、問題行動によって、その人が得られる何かを、社会(チーム)に悪影響を与えない別の方法で、与えてあげることです。例えば、その人が「自己肯定感」をえたいのなら、チームの前で大げさに褒めてあげるとよいでしょう。話をしっかりと聞いてほしいのなら、文章で提出してもらうとか、個人的に話を聞く時間をとるとかすれば、進行の妨げにはなりません。 ●チームの力で対処する  それと忘れてはいけないのが、「なぜその人の行動が問題なのか」ということです。「ファシリテーターが考える進行の邪魔になるから」というのであれば、単なるファシリテーターのわがままになってしまいます。そうではなく、「チーム活動に悪影響を与える」から問題なはずです。偏った議論になってしまうとか、進行の効率が悪くなるとか、コンテンツやプロセスへの悪影響です。  ですので、問題行動を起こす人への対処も、ファシリテーター一人が負う必要はありません。問題行動を起こす人が出た時に「○○さんの発言(行い)に対して、皆さんはどう思いますか?」と問いかけ、チーム全体の力でそれを抑え込むこともできるはずです。特に、チーム活動の根幹となる民主主義のルールを侵す人は、民主主義で対抗するしかなく、ファシリテーター一人で抱え込まず、チームの力を結集して正しい行動へと促してあげるようにすると効果が高いです。