第4回 ファシリテーターの中立性って何だろう?事務局

  中立には二つ意味があると思います。一つは、議論の中身(コンテンツ)に対する中立です。「意見の中立」と言ってもよいかもしれません。  例えば、右寄りの人と左寄りの人が議論していれば、ファシリテーターは真ん中のスタンスで議論をコントロールしなければなりません。これは、右寄りの人だけで議論している場合でも変わらず、左の意見があることも紹介して、議論の選択肢として加えた上で、右寄りの議論をさせなければいけません。  つまり中立とは、メンバーの中での狭い意味での中立ではなく、議論されている事柄全般に対して中立のポジションをとるということだと思います。そのためには、論点の幅を知っておき、偏った議論に陥らないよう、常に俯瞰的な視点から議論をリードしていかなければならないでしょう。 ●プロセスに対する中立   中立の二つ目の意味は、議論のプロセスに対する中立です。言い換えると、「立場の中立」であり、「公平」といった方が適当かもしれません。  例えば、ある夫婦が大喧嘩をして離婚騒動にまで発展したとしましょう。それぞれの友人に中立的な立場からの仲裁を頼んだのですが、お互いに納得がいきません。結局、裁判所でケリをつけてもらい、しぶしぶ納得したのでした。では、友人と裁判官とでは一体何が違うのでしょうか?   裁判官は万人に共有化された基準で、両社の言い分を裁いたのです。だから夫婦は納得したのです。つまり公平とは、決められた基準にどれだけ忠実にことを運ぶかにかかっているのではないでしょうか。  基準とは、大きく二つあります。法律、慣習、規則、モラル、常識など、世間一般で通用する規範(ルール)がその一つです。民主主義なんかはその際たるものですね。もう一つは、組織がそれぞれ持っている内部的な基準です。目的(ミッション)、原則、行動指針、会議のルール、組織文化などがあります。またチームが合意した事柄も、次の事柄を判断する基準として使えます。   このように、厳格なくらいに原則に忠実に運営していくことこそが公平であり、信頼されるファシリテーターの条件なのではないでしょうか。