第2回 コーチングとファシリテーション、どっちが簡単?事務局

●個人か組織か?  コーチングとファシリテーションに、大きな違いが二つあります。一つは、よく言われるように、コーチングが個人への働きかけなのに対して、ファシリテーションは組織(チーム)への働きかけです。  組織は個人の集まりということを考えれば、ファシリテーションは個人と組織の両方への働きかけと言うこともできます。そういう意味では、ファシリテーションはコーチングを包含しているのかもしれません。  さらに、コンフリクトの処理やチームの合意形成といった、組織特有の問題をあつかわなければなりません。ファシリテーションの方がコーチングよりも難しく、幅広いスキルが求められそうです。 ●当事者か中立か?  両者には、もう一つ大きな違いがあります。上司が部下をコーチするなど、実践場面ではコーチは当事者として相手をコーチします。ところが、ファシリテーターは、チームからは中立的な立場でファシリテーションを行います。この違いはとても大きいように思います。  恥ずかしながら、筆者はファシリテーターを名乗りながらも、家庭では「人の意見を聞かず何でも勝手に決める夫(父親)」との烙印をおされています。筆者の人格に問題があるのは否定しませんが、いざ自分が当事者になると、なかなかファシリテーションなんてできないのです。医者が自分の病気を診断しないのと一緒ですね。 ●結局、どっち?  同じように、コーチングを学んだ方が、忙しい職場に戻って部下をコーチングをするのは、並大抵のことではないと思います。もともと、そういう素養をもった、人格者でないと難しいのかもしれません。また、そうであるからこそ、コーチングは属人的な要素が強く、スキルも体系化しにくいのだと思います。  その点では、中立的な立場で振舞うファシリテーションの方が、コーチングよりも易しいのではないのではないでしょうか。先ほどと逆の結論ですね。 コーチングとファシリテーション、結局どっちが難しいのでしょうか?