相互作用が起こりにくいと言われる行政と市民の話し合いの場のファシリテーションは難易度が高い。3年にわたり南相馬市小高区の帰還促進と地域コミュニティ再生のために開催された市民と行政による生活再建検討委員会で実践したファシリテーションの効果を、空間のデザイン、プログラムデザイン、プロセスの視点で事例発表します。また、地元市民として復興支援グループと出会い、ファシリテーションに興味を持ち学び始めた委員が、委員として参加しながらどのようにサポート役に変化していったかを当事者として発表します。
【背景】ファシリテーターは忙しすぎる。一つの原因は、ファシリテーションが過剰品質になり、参加者の「お客様意識」を醸成する悪循環に陥っているからである。それを避ける一つの方法は、参加者に「指示」するのではなく、意識させずに自然と人が動く「仕掛け」を施すことである。
【データ収集】デザイン工学(仕掛学)や行動経済学(ナッジ)での概念を応用し、実際に3種類の仕掛けを施した場を用意して、参加者がどのような振る舞いを自然と行ったか、実験結果とその効用を報告する。
【考察】それとともに、望ましいファシリテーターにとっての仕掛けのあり方について考察する。
【目的】チェックシートにより参加者の理解度を可視化することで、運営者のプログラムの見直しを図ると共に、参加者の学習意欲を継続させる。
【背景】2015年発足の和歌山サロンは年2回の外部MFによる例会と、サロン発足前の2013年から4月~10月にかけて毎週土曜日1時間の「朝のファシリテーション勉強会」(以下、朝会)を開催している。朝会参加者は10人~20人、20~40代でファシリテーションは和歌山サロンでのみ学んでいる初心者が大半を占める。
【課題】これまでの受講者数のべは1500人以上で毎年新たな参加者を迎えるものの、定着率が低い。1時間(朝食付き)の時間制限のため実践や振り返りの時間を十分に取れず、"浅い"学びになりがちである、断続的に受講する人が多く、知識が断片化する。ベテラン不在のためファシリテーションを学ぶ意義を実感できないことや、参加者のモチベーション低下が見られる。
テーマ型サロンである我々の"テーマ"は「TOC×ファシリテーション」である。
その根底にあるのは、TOCもファシリテーションもどちらも、よりよい場にするためにはとても大事なものであり、掛け合わせることによって、より大きな効果が得られるという"掛け算"の考え方。しかし、本当の意味での掛け合わせによるシナジーが、前提の違う様々な人々が集うサロン活動の中で得られていたのだろうか?探求できていたのだろうか?という問いが我々の中に生まれた。
そこでプロジェクト活動から5年目を迎える節目のこの時に、今一度「TOC×ファシリテーション」というテーマを探求することに立ち返り、テーマ型サロンという枠組みにおいて、ファシリテーションとテーマを"掛け合わせる"とはどういうことなのかを我々なりに言語化する。