第106回:2014年3月15日 赤テーマ「ファシリテーターの質問力(問いかけ)」〜プロセスへの問いかけを考える〜中部支部

2014年3月定例会 赤テーマ 報告

■日時: 2014年3月15日(土) 13:30〜17:30
■場所: 東生涯センター 視聴覚室
■参加者: 17名(15名+スタッフ2名)  (会員7名 一般2名)
■担当者: 杉原 廣二、安達 洋 (FAJ中部支部)
■テーマ: 「ファシリテーターの質問力(問いかけ)」〜プロセスへの問いかけを考える〜
■ゴール: 多様性を確保しながらプロセスへの問いかけを体感する。
■本日のお約束:
・よく観察しよう
・実験を楽しもう
・モヤモヤも大事にしよう

■担当者からのメッセージ:
ファシリテーターにとって、会議や話し合いの場で、"どんなタイミングで、何を質問するのか"は、とても重要なことだと思います。
中部支部会員の仲間「IFラボ」のメンバーで「質問力」をテーマにした定例会を開いて3回目になります。
今回は「ファシリテーターの質問力(問いかけ)」にテーマを絞り、いくつか仮説を立ててみなさんとワイワイ実験できたらと考えています。
IFラボのメンバー間で読書会を開き、そこで得た知見も参考にしています。
発散をしつくすための問いかけ、対立が起きた時の問いかけをどうしたらいいのか、さらにファシリテーターとしての"在り方"、"たたずまい"はどうあればいいのか、ロールプレイングなどを通じて体験しようと思います。
たくさんの"気づき"、"学び"、そして"モヤモヤ"をみんなで持ち帰りましょう!!
企画スタッフ一同、皆様のご参加を是非お待ちしております!

 ※参考文献 「会議のリーダーが知っておくべき10の原則」 マーヴィン・ワイスボード サンドラ・ジャノフ

■当日の進行
1.イントロダクション
アイスブレイク 自己紹介 簡単なチェックイン。
・呼んでほしい名前
・何処から来たのか
・今日のテーマへの期待
2.フェイスブックダイアログ
・Aさん、Bさんを決める。
1) AさんがBさんを誘う、Bさんは理由をつけて断る。1分間
2) BさんがAさんを誘う、Aさんは「いいね」と言ってから対応する。それに対してBさんも
「いいね」と言ってからまた誘う。1分間
3) 二人で、1)と2)の違いについて振り返る。
4) ミニ解説・・・相手を認める事から出発する事の重要性の理解。

3.MF挨拶、趣旨説明
・IFラボの簡単な説明と勧誘
・プロセスとコンテンツの説明
・Fはプロセスへの働きかけをする

休憩

4.ワーク1・・・発散
「名古屋で冬季オリンピックを開催する。その賛成・反対の意見を出し尽くすことを目的として、ファシリテーションを実施する」
Fチーム 3名。
全員で作戦会議後、役割決定。
役割 F(必要ならFG兼務)1名。観察者2名。
M(参加者)チーム 4名〜5名。

【ファシリテーターチーム】
場の設定、プロセスを考える。
意見を出し尽くすための問いかけを考える。
ファシリテーターとオブザーバーを決める。
【メンバーチーム】
賛成者、反対者同数になるように役割を決め、それぞれの意見を沢山出せるように準備する。

ファシリテーターチームのオブザーバーが時系列に観察し記録を取る。(オブザーブシートを作成)

5.振り返り
【ファシリテータ−に質問】 1分間
上手くいったところはどんなことですか?
ファシリテータ−としてどのような問いかけを意識しましたか?
苦労したのはどんな点ですか?
今後、改善しようと思ったことは何ですか?

【メンバーに質問】 1分間
プロセスへの問いかけで上手くいったのはどんなところですか?
ファシリテータがどのような工夫や努力をしてくれたと感じましたか?
ファシリテータに望みたいことはどのようなことですか?

【オブザーバーの観察】 7分間
時系列で見たオブザーバーの観察結果に基づき振返りを行う

6.気付きの共有
・席の組み替え F 時計回り M 反時計回り

休憩

7.ワーク2 発散・収束
「名古屋冬季オリンピック2033の開催に対する意見交換をして、チームの見解をまとめる」
Fチーム 3名。
全員で作戦会議後、役割決定。
役割 F(必要ならFG兼務)1名。観察者2名。
M(参加者)チーム 4名〜5名。

【ファシリテーターチーム】
場の設定、プロセスを考える
意見を出し尽くすための問いかけを考える。
ファシリテーターとオブザーバーを決める。

・この際に、MFからサブグルーピングとコモングラウンドの説明をし、それを話し合いの中で活かしてもらうようにお願いする。

【メンバーチーム】
賛成者、反対者同数になるように役割を決め、それぞれの意見を沢山出せるように準備する

ファシリテーターチームのオブザーバーが時系列に観察し、 記録を取る。
【ファシリテータ−に質問】 1分間
上手くいったところはどんなことですか?
ファシリテータ−としてどのような問いかけを意識しましたか?
苦労したのはどんな点ですか?
今後、改善しようと思ったことは何ですか?

【メンバーに質問】 1分間
プロセスへの問いかけで上手くいったのはどんなところですか?
ファシリテータ−がどのような工夫や努力をしてくれたと感じましたか?
ファシリテータ−に望みたいことはどのようなことですか?
【オブザーバーの観察】 7分間
時系列で見たオブザーバーの観察結果に基づき振返りを行う。(オブザーブシートを作成)

8.気付きの共有 ワーク1とワーク2で違いがあったか。

9.意図開き
サブグループとコモングランドの説明。
・分化と統合
・サブグループ
・コモングラウンド 
・サブグループダイアログを使う。
・賛成意見同士でダイアログする。反対意見者はそれを観察する。
・次に反対意見同士でダイアログする。賛成意見者はそれを観察する。
・コモングラウンドを見つける。
・「統合をもたらす主張」に耳を傾けさせる。
・「両者を認める」考え方を取り入れたコメント。
・「統合をもたらす主張」が出ない場合は、どうしたいか場に聞く。

【アンケート】
・本日の満足度について (1〜5点で聞きました)
回答・・・15名
5点・・・6名
4点・・・6名
3点・・・3名

・本日の内容について
□全面的に活用できる・・・5名
□活用できる・・・9名
□どちらとも言えない・・・1名
□活用できない・・・0名
□まったく活用できない・・・0名

・内容の理解について
□とても理解しやすかった・・・2名
□理解しやすかった・・・7名
□どちらとも言えない・・・5名
□やや理解しにくかった・・・1名
□理解しにくかった・・・0名

・内容のお役立ち度について
□とても役に立つ・・・4名
□役にたつ・・・10名
□どちらとも言えない・・・1名
□あまり役に立たない・・・0名
□役に立たない・・・0名

今回のテーマを通して、あなたが得た気付きは何ですか?
・2回目のワークが有益だった。
・サブグループとコモングラウンドのところはもっと深く学びたい。
・ファシリテーションの基礎は大事です。
・サブグループの作り方について。
・内容が理解できなかったが、本は購入したので改めて勉強しようと思った。
・場に乗っかり型にとらわれない。
・「観察」が大事だとは思っていたが、参加者に「観察」の時間を作る考えはなかった。
・Fとして沈黙を待てる、流れにまかせる。勇気と他の方法を考えておく準備とその場で対応できる場数を踏む、スキルを身につけるのが大事と思いました。
・サブグループとコモングラウンドについて学ぶことができよかった。
・コモングラウンドを見つける質問力をつけていきたいと感じた。
・「そもそも論」「ネガティブな人」の意識に刺激を与えるサブグループダイアログは使えるかと。
・プロセスへの問いかけの大切さの一方、プロセス設計した自分にしばられることのジレンマ。
・合意を取り付けるには「コモングラウンド」が有効になりそうだ!と実感できました。
・型にとらわれず手放す。何もせずに居る。 Standing There サブグループは使えるかも。
・型にとらわれずに場の流れに任せられるように、経験を積んで頭を柔らかく話に入れるようになるというFの一つの形が見えました。
・「スキル」?会議の冒頭で「結論が出ないときはどうしますか?」と先に場に聞く。 ?そもそも論の近いサブグループを作って、ミニ会議を重ねて、そもそもをテーマにした議論で問題解決に臨むのも手。
・サブグループを作り、コモングラウンドを見つけることについて、とても考えさせられました。その中でファシリテーターによって場の流れが大きく変わる事に気づきました。
・場の作り方、時間管理、問いかけ を臨機応変に対応させるには、今以上に全てのスキルを向上させる必要がある。

その他全般的な ご意見・ご感想
・ファシリテーターの即興力というのも質問力の中に入るのかな、と思います。そちらも考えてみたいです。
・クリアファイルに紙を入れてホワイトボードにするのはよかった。
・お疲れ様でした!次も出ます!
・ありがとうございました。もっと頑張って勉強します。
・Fにチャレンジする気力をなくしていたが、又、チャレンジする気力が出た。
・とても参考になりました。「モヤモヤが残る」と言われていましたが、自分は「スッキリ」でした。プログラムにいろいろな意図が織り込まれていたのが勉強になりました。IFラボ参加したいです。
・できるだけ今後も参加させていただきます。準備等本当にありがとうございます。
・ありがとうございました。
・サブグループとコモングラウンドのあたりをもう少し時間をかけて説明していただけるとありがたかったです。
・質問というか「投げかけor投げかけない」の中身を体験するものもやりたい。
・MFの方々の話し方がやさしくてよかったです。参考になるテーマをありがとうございました。
・「15分話せばたいがいの人がすっきりする」という経験談がなっとくです。
・とても良いワークだったと思います。次回も楽しみにしています。
・「質問力」は非常におもしろい。
・「ブレスト」の4原則を再確認!

担当者の感想
・「IFラボ」(Inquiry Force Laboratory)はFAJ中部の仲間で行っている、ゆる〜い感じの分科会です。
定例会はゴールではなくみんなで学び合おうというのが会の主旨です。
今回のワークは、IFラボ読書会で読み込んだ中の一冊、「会議のリーダーが知っておくべき10の原則」からの知見をヒントに組み立てました。
ファシリテーターの質問力とはプロセスへの問いかけであり、さらには、ファシリテーターの「たたずまい」、「在り方」までも含まれるのではないかという仮説をたて、参加者と一緒に楽しく実験をしました。
対立が起こった際の解決として、「サブグループダイアログ」、そしてそこから見いだされる「コモングラウンド」を体験することができました。
定例会を終えて、参加者のみなさんがもっと「モヤモヤ」を感じられるのかと思っていたのですが、アンケートを読んでみると、意外にスッキリと腹落ちされているようです。
たくさんのフィードバックをいただき、また新たにIFラボに参加したいという方もいて、定例会担当者の喜びというか醍醐味を感じています。次につながる定例会になりました。
「質問力」というテーマはとても奥が深いですので引き続き学び合っていきたいと思います。


「会議のリーダーが知っておくべき10の原則」の原題、「Don't Just Do Something , Stand There !」