第106回:2014年3月15日 青テーマ「インプロ×ファシリテーター」〜身体で表現することによって、予定調和を超え、日常をゆさぶる〜中部支部

2014年3月定例会 青テーマ 報告

■日時: 2014年3月15日(土) 13:00〜17:30
■場所: 東桜会館 集会室
■参加者: 23名(うち非会員4名+ゲストとアシスタント)
■担当者: 喜多さん、フジてぃ (FAJ中部支部)
■ゲスト: 高尾隆准教授(東京学芸大学)
■アシスタント: 豊田夏実さん(東京学芸大学大学院教育学研究科)
■テーマ: 「インプロ×ファシリテーター」〜身体で表現することによって、予定調和を超え、日常をゆさぶる〜

インプロとは、即興演劇の事。英語では「improvisation」と表記します。英単語の成り立ちから、「Im=否定、pro=前、visation=見る」、「前を見ない」→「計画しないで進む」→「脚本のない演劇」という意味であることを解説いただき、高尾先生の講義パートが開始。冒頭では、役者のトレーニングとして使われていることや、高尾先生ご自身が、英国の劇作家、キース・ジョンストンに学ばれた事などが紹介されました。

インプロ指導の依頼が、演劇とは関係のないところから来るようになったのは6〜7年前。アニメーターを育成する中で、単にキャラクターを動かすだけではなく、何を文脈に乗せるのか、といった観点でインプロ指導が活用され始め、その効果が、アニメーターが作る作品だけではなく、職場でのコミュニケーション改善にも効果が表れ始めたことにより、企業、学校などの研修で取り入れられ始めたそうです。定例会に参加したファシリテーターが活動している各々のフィールドとインプロに、どのような接点があるのか、定例会では注目されました。

定例会の中で実施したワークは以下の通りです。

魔法の箱 私は木です 指名しりとり 連想をまわす
関係ない2つの単語をつなげる(三第噺) プレゼントゲーム
ステータスパーティー イルカの調教

※実施したワークのうち、代表的なものについては、高尾先生の著書「インプロする組織」の中で、進め方を含めてとても詳しく解説されています。ご興味のあることは是非ご一読ください。

定例会は、各インプロ・ワークショップを体験するとともに、高尾先生から、その意図や意味に関する講義の組み合わせで進行していきました。その中で、「考えてしまう時間」=「考えていることが適切かどうか検閲してしまう」ことや、「自由に何かをしてよい」という状況よりも、「制約があった方が、よりクリエイティブになれる場合もある」といった、人間の脳の特性についての解説などもあり、インプロワークの体験後に、高尾先生から各ワークの意図を説明いただき、とても理解しやすい内容で展開されました。

特に、インプロの中で求められる「クリエイティビティ」が、「他の人を輝かせる為に発揮するもの」といった考え方や、即興演劇では「仲間が楽しかったかどうか」を大切にしている(Give your partner a good time)」という考え方に、ファシリテーターが心がける事との共通点を感じられたように思いました。面白いことや、気の利いたことを言えなくても、普通のことをテンポよくまわすだけでも、周囲の人が動きやすくなるという言葉は、ファシリテーターとして直ぐに心がけられる点として肚に落ちたように思います。


終わりに、「本日の学びと気づき、ファシリテーターとしてどう活かすか」をテーマにグふりかえりを行いました。ふりかえりであげられたコメントは以下の通りです。

・単語をつなげるワークでは、2つから3つに増やしたとき、難しいと思ったけれど、やってみるとできることが分かった。ファシリテーションの中で、流れを作る「技」になりそう。
・ステータスの上げ下げは、解説を聞くと普段から使っていることだなと思い肚に落ちた。相手も上げ下げを感じているはず。
・インプロワークをすると、脳が活性化される感じがした。
・「ルールを外していく」をファシリテーションに取り入れると、クリエイティビティの広がりに使えるかもしれない。
・相手をしっかり観察して、実態を理解してスモールステップを踏んで進めていくことが活かせそう。
・本当の自分はなく、人間関係の数だけ自分があるという解説がワークを通してすごく理解できた。
・人もイルカも行動原理は同じ。あきらめずに工夫をすることの大切さを感じた。
・アイスブレイクに活かせそうなワークが多数あった。
・ステータスの上げ下げなど、相手を見極めるのが難しいけれど、演技力で修正できそう。
・ファシリテーターとしての自分の演出に使えそう。
・場を操作しない、うまくやろうとしないという心持ちが大切だと感じた。

以上