第109回 2014年6月赤テーマレポート:お寺に集い、お寺で語る 「お寺カフェ」中部支部

お寺に集い、お寺で語る 「お寺カフェ」
■日時: 2014年6月21日(土) 13:00〜17:30
■場所: 長善寺
■参加者: 19名 (会員16名 一般3名)
■担当者: 杉原 廣二、小笠原 紹子、梁瀬 悠介(FAJ中部支部)
■テーマ: お寺に集い、お寺で語る 「お寺カフェ」

■担当者からのメッセージ:
 今回は中部支部で初めての試みとして、いつもの集会室を飛び出して、お寺で定例会を開催いたします。日本の各地にはコンビニの4倍の16万2千余の寺社があるそうです。そこで、集いの「場」としてお寺を活用するとどうなるのか実験をしたいと思います。
「場」という観点からの対話を楽しみ、そこから生まれる
「お寺ってどういう場?」
「ファシリテーションの場とは?」を問い、
そしてその場で起こる自らの心の動きにも注目できたら最高です。
対話の場を彩る、お菓子や飲み物の持ち寄りも、大歓迎です!
動きやすい服装でご参加下さい。
みなさんのお越しを心よりお待ちしています。

■当日の進行:
1. オープニング
中部支部あいさつ:角谷さん
副住職あいさつ&お寺の説明
今日の流れの説明:梁瀬さん

2. オープニング2
アイスブレイク...用意されたお寺関連の写真の中から、一枚を選び取り、その写真とからめた自己紹介
ワーク...4人グループで場へのオモイやカンジを創作漢字1文字で表す。その後発表。
:杉さん

3. 対話1...「間を意識すること」(創作漢字も披露)。
「みなさんにとって場とは?」というテーマについて、15分間4人ずつに分かれて話し合う。その後、1人ホスト役としてそのグループにとどまり、その人が動きたい場所に座布団等をもって移動してもとどまってもよしとし、残りのメンバーはシャッフルし15分間話し合う。再び、自分が初めにいたグループに戻って15分間話し合ってもらう。

対話2...参加者からテーマを数人募り、出されたテーマから自分が話したいと思えるテーマごとに分かれて対話。途中、対話に参加しなくても、他のグループを行ってもよし。指定した時間になったら、テーマを出した人は発表。
:おが

4. 1日の振り返り
全員で円形になって着座。できれば全員から感想をいただきたい、と伝え、話したくなった人は挙手し、その場で発表。
:梁瀬さん

5. アンケート記入

■アンケート(詳細は末尾に記載)

1. 本日の満足度について(10段階評価...その理由)
回答・・・16名
10点・・・3名
9点・・・1名
8.5点・・・2名
8点・・・5名
5点・・・1名(ご自身のスケジュールの都合により、途中退場)

■集いの「場」としてお寺を活用するとどうなるのか、を今回は実験として取り組んだ。

開催した結果、こうなるのでは、こうしてほしい、という仮説や結果を考えずに望んだ。プロセスの中、どんなことが起きるの?に担当者としては注目していた。
そのため、参加者の行動、感覚、心理にどう変化があったか?の3つ側面から振り返ってみた。

まず、参加者の行動という側面については、本堂だけでなくお寺を全面的に開放していただき、会議室でないという制約を外したときに、どこまで目にみえる行動として参加者が会場内に広がるか、という点があった。本堂の中にとどまる必要はなく、移動してもいい、と伝えた結果、縁側にあたる場所や他の部屋へ行き、話し合っていたチームがあった。参加者から「声が届くところにいた方がいいですか?」との質問もあり、あまり遠くに行くとファシリテーターの声が届かず、担当者が困るのでは?との参加者側の配慮もあったからか、奥の方までは行かなかった。全体の人数が想定より少なかったことも影響していたかもしれないとの担当者の声もあった。

次に、参加者の感覚という側面については、途中、参加者の声から、「鳥の声が聞こえる。」「風を感じる。」といった閉ざされた会議室ではおそらくきくことのない発言があった。また、「お寺は時間感覚がなくて良かった!」とのアンケートの回答にもあるように、お寺と言う場の独特の効果からか時間がゆっくり流れる感覚があり、時計の時間がゆっくりすぎていく感じがしたとの声もあった。

さらに、参加者の心理という側面については、特に場を変えたことにフォーカスをあてたアンケート項目は設けなかったが、回答には
「場所が変わったためか、深い内容まで掘り下げられた。」
「お寺は居心地の良い場とあらためて感じた。」
「開放的雰囲気で言いたいことが言えるような会でした。場づくりの参考になりました。」
「お寺でこういった対話の場をつくるというのがすごく面白いと思いました。進行の仕方もすごくゆるやかな感じだったので、寺という場の雰囲気をくずすことなく、リラックスしてすごすことができました。」
「日本人のDNAの中にお寺と言うものが入っていて、気持ちの落ちつきにつながっているように思いました。もっとこの会議室とは違う場の力を、うまく使えたらいいな、と思っています。」といった場所を変えたことに対する変化を感じたというアンケート結果があった。
また、お寺という非日常の場で今回の定例会を行うことで、自然と心を開くといったことが起きると思っていたが、それ以上に深く考え、開示してもらえたと思う。会議室だったらあのレベルまで深められるのかなと思えたとの声もあった。

実験の結果、お寺での開催により、外気や空間的な広さ、リラックスできたことで、感覚的により研ぎすまされたものになり、深い内容まで掘り下げられた、という結果が得られた。行動としては、子どもがお寺に来ると走り回る光景はよくみかけるが、今回はそれがみられなかったため、静的な行動をよしとする参加者の傾向を感じた。

■担当者の感想

「お昼ごはん、食べてないんじゃない?」とのとある参加者のうれしい気遣いから、直前に本堂の縁側でみたらしを食べる、ところから始まりを迎えた今回の定例会。(すばるさん、ごちそうさまでした!)
お寺で何かやること。場所としてのお寺とゆかりの無い人を繋げる、という観点から、また寺院関係者のご協力のもと開催日程が決定した。
何をするか?について、副住職との顔合わせも含め、アイデア出しをする時間ももった。企画当初、お寺での開催への想いとして、檀家さんやお坊さんを巻き込んだりしては?という担当者からの意見もあったが、あくまでFAJの定例会という機会での開催のため、想定されるメンバーのニーズをもとに、広報にかける時間や労力もふまえ、今回のテーマやプログラムに落ちついた。
2月の定例会に端を発し、担当者も2人から3人へと増え、定例会担当としては初顔合わせに近いメンバーが集ったことも、場を変えたことへの成果だったのかもしれない。3人でワイワイと意見を交わしながら作り上げていった過程は、時に宗教というと誘導的な側面も与える可能性もある敏感な部分をどう扱うかの議論を交えつつも、楽しい時間となった。できるだけ誘導的な内容を避け、内発的な行動をアウトプットしていくものとした。3人寄れば文殊の智恵ともいうように、担当者、参加者がほどよく集い、定例会の始まりの時間を迎えた時点で成功点に達していたとも言える。

プログラム構成としては、FAJの定例会という場での開催のため中部支部の会員が40〜50代のビジネスパーソンや学校関係者を中心とした構成であることから、テーマを「場」という観点からの対話を楽しみ、そこから沸き上がるものにフォーカスするものにした。
その導入として、自己紹介をしたグループ内で創作漢字というアウトプットを行うことを通じ、参加者同士が共同していくプロセスがあった。また、本堂内には、お寺カフェの手書きのイラストや、本日のお役則(役割と規則をくみあわせた造語)として「傾聴」「参画」「安全・安心」との文字がお地蔵様の絵とともに模造紙にかいたものをあらかじめ用意した。壁面への掲示は不可といわれていたため、椅子を重ねたところに掲示をした。参加者の目にふれやすく掲示しておくことで、「あそこにあるように何を言ってもいい、安全・安心な場なんですよね。」と再確認する発言もあった。

市販のカードを使ったものや既成のプログラムではなく、担当者の1人がこれまでに撮りためていた玄人はだしの写真を使った自己紹介、自分のいる場を感じ取り、オリジナルの漢字をつくる、というグループメンバーも内容もおそらく一期一会に近いワークを通して、お寺という場と参加者同士の緊張感がほぐれ、参加者は次第に場にフォーカスするようになっていった。

結果、「テーマが漠然としていたため、どうなるかと思っていましたが、終わってみたら満足度の高い定例会でした。」とのアンケートへの回答にもありましたが、参加者が真摯に考えてくれたものになった。テーマに分かれて話した結果を発表する際にも、その人自身の心の話が発表に出て来ていたり、自分の中の気づいていなかった衝動やもやもやをアウトプットしていく内容となった。


■アンケート結果

<質問項目>
1. 本日の満足度について(10段階評価...その理由)
2. 今回の定例会を通して、あなたが得た気づきについて
3. 内容や運営へのフィードバックをお願いします
4. 質問やご要望

<回答内容>
1. 本日の満足度について(10段階評価...その理由)

10...以下、貴重な気づきがあり、持ち帰れること、話し合いのプロセスも居心地のよいものがあった。
10...外が見られる自然環境で言いたいことを気がねなく話せて良かった。
10...不満なんてないほど、充実の時間でした!
おかしと飲みものも用意してくださり、ありがとうございました!!
10...たくさん対話する時間があったので。(場所や人を変えて何度も話せたのが良かったです。)
10...充実した時間を過ごせたので!行って良かったです!
9 ...場についての考察が深まっていくのが非常に興味深くおもしろかったです。
8.5...場所が変わったためか、深い内容まで掘り下げられた。
8.5...とても熱い議論ができて良かったです。おてらという場でできたことがとても良かったです。
8 ...場の設定について、改めて考える良いきっかけとなったので。
お寺は時間感覚がなくて良かった!
8 ...開放的雰囲気で言いたいことが言えるような会でした。場づくりの参考になりました。
8 ...場が重要であることを認識しました。
お寺の雰囲気とFAJの定例会がマッチしていました。
8 ...楽しかったが、今後に期待して。
6→8...話し合いというより内省という感じ・・・?最後の発表まで聞いて、満足度上がりました。
5 ...気温といい、風や天気といい、とても気持ちがよかった。お寺にいる安心感があった。(担当者:ご自身のスケジュールの都合により、途中退場されました)
満足度への回答なし...普段と違う場になっていた。リラックスした中で、結構深く話ができた。
満足度への回答なし...初めての参加で不安があったが、とても良い雰囲気で楽しめた。

2. 今回の定例会を通して、あなたが得た気づきについて
・結局は自分の意志→それがなければ伝わらない。
いい場と悪い場と言うが、決めているのは自分自身。至らなかった部分、次につなげられるかどうか→悪い場だったが、良い場だった。
・場の設定方法は状況に応じて
・違いを認めるには相互の歩みよりが必要
・相手が受け入れやすいように伝える
・目新しい企画をしていただき、新鮮な気持ちになることができました。
・場の作り方が心理面に影響し、心の持ちようが良い方に転ずることが考えられる。
・場を作ること(今回、定例会をお寺でやる)がチームに対して大きな影響を与えること。
・お寺は居心地の良い場とあらためて感じた。
・安全な場作り→しんらい関係という言葉が出てきた。→あらためて、こ(信頼関係)の大切さ(重要性)がわかった。
・"場"という1つのテーマから派生して、すごく深いところまで話せたり、テーマが多様に広がっていくのが面白いと思いました。色んな価値観や、経験をもった人と対話することで、自分では気づけないことに気づきました。対話の場の面白さと大事さを実感しました。また、実際にお寺という、普段とちがう場で対話することで、すごくリラックスでき、場の大事さを改めて実感しました。
・お寺にいると、落ちつく、という人が多く、それは、一人一人の子供のころの思い出などとつながり、お寺にいることで、安心・安全を感じるということだった。
・場所の大切さについて再び考える事ができました。
・「場」に必要な要素について学んだ。「所」「時間」「目的」「ふり返り」「次に活かす」
・ルール→プロセス。本気になれる目標→結果。キャッチボール。上げてみれば当たり前なんですが良い気付きでした。
・より建設的な場をつくるために互いの違いを認めることが大切!
・分かり合うためには本気度が大切!
・環境の違いによる話し易さ。
・「信頼関係を築く」「本音で話す」=本人の本気度というのは良い気付きでした。
・「場」は人間関係であり、環境であり、生活の基盤であるということを再確認、今いる自分の場に対して、もっとやれることがあるなと思いました。 
・日常から少し離れた場をセッティングすることによって、思った以上に新鮮な気持ち、ワクワクした気持ちになることが分かりました。環境のもたらす力を感じました。
・OSTセッションで、もっと視点を広げるような問いかけや、言葉を掘り下げていくような働きかけを自分が出来ていたら良かったなあと思いました。各グループ発表で、小椋さんとありささんの発表が素晴らしく、"みせ方"について考えるきっかけになりました。

3. 内容や運営へのフィードバックをお願いします
・じっくり話せて良い場を提供頂き、ありがとうございました。お寺ってリラックスできていいですね。
・準備が大変だったと想いますが、ほんとうに充実した半日でした。ありがとうございました。
・良かったと思います。来年も続けてみてください。
・お茶やお菓子の準備が有難かったです。
・場(お寺という環境)はとてもいいので、また会場として使用してもらえればと思います。
・春か秋、きもちの良い時に、又、このような場所を変えた、会議の体験をしたい。
・お寺でこういった対話の場をつくるというのがすごく面白いと思いました。進行の仕方もすごくゆるやかな感じだったので、寺という場の雰囲気をくずすことなく、リラックスしてすごすことができました。対話のテーマも"場"以外にとくに指ていがなく、自分たちでテーマを出し合い、関心のある話題について話せたのがよかったです。すぎさんの写真、すごくキレイでいやされました!
・今までにないお寺という場の設定、ありがとうございました。日本人のDNAの中にお寺というものが入っていて、気持ちの落ちつきにつながっているように思いました。もっとこの会議室とは違う場の力を、うまく使えたらいいな、と思っています。
・テーマが漠然としていたので、どうなるかと思っていましたが、終わってみたら満足度の高い定例会でした。
・場をつくってくれた運営スタッフさんに感謝します。
・とてもリラックスして参加できました。ありがとうございました。
・お寺という場はおちつきやすくて本当に気持ちがよかったです。
・今日は素敵な場をつくって下さり、ありがとうございました。近すぎず離れすぎずの絶妙な距離感のファシリテーションで居心地が良かったです!!
・「タイムスケジュール」とか、「アイスブレイク」ではなく、お寺に合わせた名称があると良かったなあと思いました。タイムスケジュール」「アイスブレイク」←ちょっと言葉の響きがお寺の雰囲気からういてました。(場作りの視点)「
・ファシリテーターの口調、音量、声質が、お寺の雰囲気と調和していました。特におがさん!参加者がざわざわしていたり、時間がおしていたり、ファシとしては落ち着かないところがあったとは思いますが、それを参加者に見せない在り方が素敵でした。ぜひ見習いたいです。これ(←参加者がザワザワしていたこと)に関しては、『ファシが右手こぶしを突き上げたら、参加者も話をやめ右手こぶしを突きあげる』といったグランドルールをつくっておくなど、参加者をひきつける工夫があったらもっと良かったかもしれません。
・ワールドカフェからOSTという2段階構造のプログラムがとっても良かったです。
ただ、OSTはテーマを出した人はずっとその場にいないといけないというのは、自分にとっては少し責任が重く感じました。
・思ったより風が強かったので、おもしがあったら良かったですね。
・マイホワイトボードGOODでした〜。
・早退&遅刻で申し訳ありませんでした。申込も当日参加という形で、大変ご迷惑をおかけしました。
落ち着いた雰囲気のファシさん達だったので、とっても居心地が良かったです!
杉さんのときどき挟むギャグに心いやされました。
いつもと違う場所での定例会、またあったら行きたいです。

4. 質問やご要望
・仏教はなじみが深いが、イスラム教は全然わからない。キリスト教やイスラム教などの場でも行ってみてはいかがでしょうか。
・来年度もあれば参加したいです。
・ダイアログではなく、意思決定するハードなネタをお寺でやってみたかったです。そのネタが、お寺という空間で、結論がどう変わるか・・・。
・今回のような場でやることはとても良いと思います。もっといろんな場で議論をしたいと思いました。
・お昼ゴハン、食べられる場所があるか、事前に知らせてもらうと良かったかと思います。
・とくにありません!