第126回青テーマ「聴く力・感じる力を高めよう 〜ブラインドコーチと学ぶコミュニケーションのコツ〜」中部支部

第126回FAJ中部 2016年1月定例会 報告

◆日時:2016年1月16日(土) 13:00〜17:30(12:30より受付開始)
◆場所:東桜会館集会室
◆担当:チームアリス
こいちゃん、ようちゃん、ゆうちゃん(JBCA)
ひろこ、すみやん(FAJ中部支部)
◆告知文
人の話をじっくり聞くために、あえて目を閉じることがありますよね。どうしてそうするのでしょうか?
視覚をさえぎる何か理由があるのでしょうか?
日本視覚障害者コーチ協会(Japan Blind Coach Association: JBCA)では、視覚障害者の感性を強みに主に電話によるコーチングセッションを行っています。
人の声には、言葉としての意味以外に様々な情報が含まれています。
今回、JBCAとのジョイント企画として、擬似的なブラインド状態でいくつかの実験的なワークを行います。
その体験から、何を感じ、どんな気付きがあるか、ブラインドコーチと一緒に楽しみながら学びたいと思います。
◆参加条件:
・FAJ会員に限ります。本テーマのみ、一般の方の参加、見学はご遠慮申し上げます。
・体調に不安の無い方。長時間、アイマスクを着用します。
※アイマスクをお持ちの方は、ご持参ください。お持ちでない場合は、こちらで準備したものをお使いいただけます。
◆募集定員:15名
◆当日参加者:12名+担当チーム5名

◆目的・目標(ゴール)
・視覚以外の情報が持つ、豊かさを感じ、コミュニケーションの幅を広げる。
・視覚障害についての理解と、普段から置かれている情報飢餓の状態がもたらすメリットを体験する。
・普段のコミュニケーションに役立つコツを何かつかむ。

◆お約束(安心、安全を確保するために)
・秘密厳守
ここで聞いたプライバシーに関わる話は、本人の承諾なしに、よそで話さない
・相手を思いやる
普段と異なる不自由な状態になっていることを前提にする
批判、批評でなく、相手の成長につながる発言をする
・発言はシンプルに
一人が延々と話さない

◆プログラム概要
0. 視覚障害とは
1. ウェルカムワーク
2. ウォームアップワーク
3. ティータイム
4. 絵画鑑賞
5. ふり返り

◆アンケート結果
1. 本日のゴールに到達したと思いますか?(5点:4名、4点:6名、3点:1名)
2. お約束は守られていたと思いますか?(5点:7名、4点、4名)
3. 進行・時間配分はいかがでしたか?(5点:4名、4点:3名、3点:2名、2点:2名)
4. 今後、活用できそうなスキルやアイデアはありましたか?(5点:6名、4点:3名、3点:2名)
5. 全体を通して、いかがでしたか?(5点:6名、4点:3名、3点:2名)
(5段階評価で、単位は人)

アンケート5段階質問のグラフ

◆参加者のフリーコメント
1. 目くばせや表情をよみとること、時間配分はとても大切だとあらためて感じた。
2. 事前のレクチャーとワークの後にふりかえりを(短時間でよいので)入れて下さるとわかりやすいかも。ふりかえりは、どんなことを話しあってほしいかを1つ2つ提示するとねらいがわかって安心します。
3. 担当の方々の試みには、本当に頭が下がり、感謝しています。貴重な経験と気づきがありました。ありがとうございました。
4. 目が見えない状態の方が、見た目で人を判断しにくくなって、接しやすい部分もあるように感じた。体験から、実生活等につなげる何かがあってもよかったかも。
5. 目が見えないことへの恐怖や不安を体験した。又、感覚のチャネルを変えることでの自分の変化、相手の立場に立って考える大切さを痛感しました。
6. 改めて言葉の大切さに気付いた。
7. 来年も開催して、別の人にも参加の機会をふやしたらどうでしょう。
8. とても難しかった。
9. 「聴く」ことの大切さを実感していたつもりですが、全く違う切り口で身を持って「体験」できたことがとても貴重で大変良かったです。
10. "少し足りない(欠けたり)は、豊かな事。しかし、それを生かすのは開いた心。まず心を開きあう→聴く力を上げる→想像力を深める→表現力を養う→刺激しあう→共感。企画準備と実施、ありがとうございました。"

◆担当者の感想
日本ファシリテーション協会で、まさかのワークショップ! みなさん、ご参加ありがとうございました。
日常、視覚障害者に出会うことが、あまりないかもしれません。
視覚障害って、どんな感じだろう?と、体験していただいて、そして私たちを理解しようとしていただいて、ありがとうございました。まずは、知っていただくことから始まるんだなぁと感じました。
みなさんが、ブラインド状態になっていただいたことから、感じたのは、コミニュケーションの大切さと、さらに言葉以外で、 感じることや、感覚が大切だと再確認した気がします。自分自身も、これから、もっと磨いていきたいと思います。
ブラインド状態では、視覚以外の感覚を使って、情報を得るのですが、人との会話によって、視点が変わったり、情報に広がりができて、イメージを膨らませることが大事になってきます。
そして、人とのつながりや、信頼も、とても大切だと確信しました。
大切なお時間を、いただいてご一緒に学ばせていただいたこと、ほんとうに心から感謝しています。
また、どこかでみなさんにお会いできたらハッピーです♪
ありがとうございました。 (ゆうちゃん)

 初めてワークショップの開催側に立ち、私自身の学びも多かったです。
参加者の方、三者三様の気づきを持っていただけたようで、やってよかったと思います。
アンケートを見て、プログラムの目的は概ね達成できたと思いましたが、自分の力不足からくる色々な不備があったことが一番の反省点です。
視覚障害者の生活の紹介は「おまけ」のつもりだったのですが、参加者の皆さんが真剣に聞いてくれているようで、「サポー ト方法の紹介」ができたことを嬉しく思います。
3種類のアイマスクを用意しましたが、どれが好みで、使ってみてどうだったか聞いておきたかったです。
何年かぶりに人前で話ができたので、自信がつきましたが、時間配分のコツを学んでいきたいと思います。
各ワークはそれぞれに深めたり、順番を変えることで効果や気づきに違いがありそうな予感があります。ワーク自体の伸びしろも感じていますので、今後洗練させていきたいと思います。 (ようちゃん)

 事前の準備から、当日の各ワークまで、チームメンバーのそれぞれの強みやカラーを生かしあって、役割分担しながらできたと思っています。
JBCAでもワークショップが始まる前には、独特の緊張感がありますが、今回のワークショップも始まる前には緊張感が高いようでした。午前の運営委員会の話し合いを少し傍聴させていただき、FAJとJBCAは似ている部分が多いように感じられて、マイペースでスタートを切ることができました。普段、ワークショップの始まる前に、参加者のお迎え係を置いて、お喋りしてリラック スしてもらいますが、今回は初めての会場で設営の手伝いができなかったので、お迎え係をしても良かったと思いました。
個別のワークでは、特にティータイムワークやお散歩ワークで、人との距離の近さや、サポートしあう喜びを伝えられたのではないかと感じています。
しかし、全体の時間管理や、絵画鑑賞ワークでは、意図通りに進まなかったところも多々あり、他人の世界観までたどり着かな かった事などに対して、改善案や違うアプローチのアイデアが浮かんできています。
実は、準備段階でワークの内容が変わっていく中で、自分のカラーが少し揺らいだところがありましたが、また、このチーム で、みんなのカラーと自分のカラーをしっかり組み合せて、新たなトライをしていきたいと思います。 (こいちゃん)

 定例会を終えて、会場の広さ、参加者数、お菓子の量など、バランスの良いワーク枠だったと感じています。
2度のリハーサルや、何度かミーティングを重ねていくうちに、どんどんチームワークも良くなり、新しいアイデアが湧きやすくなったのか、本番直前にも拘らずメッセージカードを用意することもできました。
ご一緒させて頂いたJBCAのコーチの皆さんのプロ意識にもとても刺激を受けました。
当日は、簡単なことから徐々に難易度を上げていく構成で、参加者の皆さんの緊張感が伝わる始まりでしたが、お散歩ワークの辺りから緊張感もほぐれ、
アイマスクを着け動くことで、必然的にお互いの必要を感じ、思いやり、助け合いながらワークが進む参加者の皆さんの姿を見て感動しました。また、皆さんの楽しそうな笑顔を見て私も嬉しくなりました。
ふり返りで課題も沢山挙がっていて、安心安全な場作りに対しても、もっとサポートできることがあったのでは、と思っています。
こちらの意図とは違って、正解か不正解かにこだわる部分が多々見られたので、プロセスの中で、そう思う自分、とらわれている自分を知るお手伝いを、ワークでできたらいいと思いました。
うっすらながら、みんな違って皆いいと感じることができたので、次回またチャンスを頂けるのなら、違いを受け入れるようなワークもできたらいいと思いました。
人を笑顔に出来るワークってすばらしい!商品化したい!と思わずにはいられませんでした。
とても良い体験と、話足りない位の振返りに未来を感じ、素敵なプログラムに誘って頂いた、チームアリスのスタッフと、参加して頂いた皆様に感謝しています。ありがとうございます! (ひろこ)

 JBCAとFAJで何かコラボをしようと気勢を上げたのが丁度1年前でした。
定例会テーマとして採択されましたが、開催月が遅くなったので、ギヤをじっくりモードに変えて準備を進めてきました。
互いを知り合う時間を十分に取ったり、皆で同じ本を読んだりする中で、構想がどんどん変化していきました。ベースにはJBCAのセッションや、DIDの体験があったのですが、借り物にならないよう、内容を吟味して、皆のアイデアや感じ方を掛け合わせて進みました。メンバーが増え、リハーサルが回るようになり、また新しい情報がもたらされ、作り上げるプロセスが加速し、どんどん楽しくなっていきました。そこには、視覚をさえぎることによって出現する五感の高まり、豊かなコミュニケーションと自由さを感じました。参加者の皆さんにもこの感じを味わって欲しいと思って、当日のワークに臨みましたが、どこまで感じ取っていただけたでしょうか。
アンケートや、チームによるふり返りにより、多くの意見が集まりましたので、これを活かして次の企画を考えたいと思います。
最後に、チームアリスのメンバーの皆さん、準備段階のサポートを頂いた方々、中部支部以外でも話を聞いてくださったり、応援やアドバイスをいただいた皆さんにお礼を申し上げます。ありがとうございました。 (すみやん)