第8回:2005年6月18日 全員がファシリテータ!?中部支部

第8回中部支部定例会 議事録


■ 日時 :2005年6月18日(土) 13:00 〜 17:40
■ 場所 :中部自転車協議会 9階会議室
■ 参加者:合計 26名 ( 50 音順)
   ・会員: 荒金さん 、足立さん、安藤さん、伊澤さん、壱橋さん、加藤さん、田川さん、戸松さん、長谷川さん、早川さん、林さん、東さん、廣瀬さん、古田さん、洞地さん、堀さん、松浦さん 、三浦さん、矢野さん&下谷夫婦
  ・ビジター: 安藤(悦子)さん、上田さん、打田さん、大山さん、松本さん 
  合 計 26名
  ・宿題参加:川上さん、木津さん、芳本さん、森野さん

■ 講師:八木浩一
■ テーマ: 「全員がファシリテータ!?」
■ ねらい
「ファシリテータは中立・公平を保って、参加者全員から意見を引き出し、 新たな価値を生み出す手助けをする」と言われますが、ビジネスの現場では、 完全に中立・公平な立場で会議に出席することはほとんどなく、利害関係者の 一人として、意見を言う立場も兼ねています。 このような場面では、誰かが話しているときは自分がファシリテータをやり、自分が話すときは他の人にファシリテータを任せればいいのではないか。 これをイメージして「全員がファシリテータになる会議」を中部ラボで実験しました。

■ 内容
13:10
【1−1】今回の定例会の目的と進め方
 
いつもは定例会の企画担当者を " 全体ファシリテータ " と呼ぶことが多いですが、これには " 参加者から引きだす " イメージがあります。勤め先で新人教育を担当していて " 教育のプロ " なので、プロとして自分が " 参加者に教える " と言う勤めを果たすために、 " 講師 " としてこの場に立つことにしました。これは国語教師の故大村はまさんが著書 " 教師 大村はま 96 歳の仕事 " などで「最近は教えない教師が増えたが、教えなければ教師ではない」と述べられているのに共感し、それを常に強く意識しているからです。今回の企画内容は、勤め先でも試したことがなく、実施結果を受けて、「型」を確立したいです。「型」と言うと、型にはまる、など良いイメージがありませんが、古武術研究家の甲野善紀さんは「型とは実践の模倣ではなく、変革を促すカリキュラム」と定義されるように、能力向上を確実に得るための手法と捉えています。

【1−2】進め方
 定例会の常連の方と初参加の方の比率を考慮して6人程度のグループに分けて行いました。初参加の方にもファシリテータのイメージを持ってもらってから、「全員がファシリテータ」の状態を体験してもらうために、最初に常連の方1名にファシリテータとなってもらい、ワークショップを行います。その後に、全員がファシリテータの意識を持ってワークショップを行い、違いを考えてもらいます。

13 : 30
【2】わたしのファシリテータ " 和名 " の紹介
 ( 20 分)
  みんなに受けの良い和名ではなく、自分自身にしっくりくる和名を考え、それを紹介する。
《参加者が考えたファシリテータの " 和名 " 》  (順不同)
  ・全員参加型問題解決       ・合意形成型問題解決
  ・合意形成請負人         ・活動(成長)活性化酵素
  ・会議的交通整理士        ・中立的議論整理士
  ・共に歩む人           ・表黒子
  ・総員参加を促す人        ・成功支援推進者
  ・みこし屋            ・ほぐし屋
  ・知的創造活動促進者       ・安楽活漢方薬
  ・昼行灯のような仕切屋      ・雲型定規
  ・黒幕              ・縁の下の力持ち 
  ・集団の意識引き上げ屋      ・グループの良心
  ・ファイヤーキーパー       ・道連れ
  ・雁の群れの先頭         ・産婆さん
  ・議場の指揮者          ・議場の杜氏
  ・会議発言促進役         ・解決産婆
  ・共に旅する人          ・影になる人
  ・ちょっと頼ってもいい人     ・効率良く落とし所へ導く案内人
  ・漫才師             ・会議の信号機
  ・家内安全            ・会議の地図
  ・花咲かせ人           ・見回り役
  ・協働創造触媒者
 《宿題参加の方が寄せてくれた " 和名 " 》  (順不同)
  ・横串              ・赤ちゃん
  ・打ち太刀            ・イースト菌(人間関係ふくらし粉)
  ・奔理出多            ・会合支援者
  ・必殺!場づくり推進請負人

13 : 50
【3−1】グループ別のワークショップ 1  ( 20 分)
  各グループで参加回数の最も多い人にファシリテータになってもらい、初参加の方にファシリテータが何をするかを見てもらう。
  「決定! ファシリテータ " 和名 " 」をテーマとし、ひとつの " 和名 " をグループで決定してもらう。
《各グループが決めたファシリテータの " 和名 " 》  (順不同)
  ・よりよいあり方実現のための触媒産婆
  ・成果(花)農家 
  ・昼行灯の助産婦さん
  ・参加者の自発性、自立性を促進する表黒子

【3−2】グループ別の振り返り  1  ( 20 分)
 ファシリテータの人に「何に心がけたか」、他の人に「どう感じたか」を語ってもらい、ファシリテータとは何をする人かを考える。

14 : 30
【休憩】  ( 15 分)

14 : 45
【4−1】前半の種明かし(ねらい)  ( 25 分)
  「みんなに受けの良い和名ではなく、自分自身にしっくりくる和名を考える」ことで、休日を潰してまで定例会に参加して「自分がどんな姿になりたい」のか、をはっきりと意識してもらい、学習効果を高めようとしました。

【4−2】講師の考えるファシリテータ像
 八木が考えた " 和名 " は「躊躇感解消人」です。 中野民夫さんが著書 " ワークショップ " の中で「共有 ⇒ 発散 ⇒ 混沌 ⇒ 収束」のプロセスを経ると書かれています。八木はこの中で最も重要なのは収束ではなく、混沌とするぐらい発散しきることと、と考えています。参加者が「こんなこと言ったらダメかな」と躊躇していると十分な発散ができません。その躊躇感を取り除くのがファシリテータの役目だと考えます。別の言い方をすると、ファシリテーションはアクセルを踏むことではなく、ブレーキを外すことです。これは、いまある障害・壁・殻・躊躇感・恐怖感を取り除くだけでなく、自分が新たな躊躇感を生まないことも重要です。

【4−3】気持ちのキャッチボール
 やり方:全員で輪を作って、一人がボールを投げる仕草をして、別の人がそのボールを受け取るしぐさをする。

 解説:実際にボールを投げなくても、受け取る人は投げた人がイメージした大きさ、速さでボールを受け取る動作をしました。これは相手をよく見て反応したからできたことです    。会話がすれ違うのは、相手をよく見ないで一方的に話をしてしまうからです。それが続くと話をためらうようになってしまいます。躊躇感の原因とならないように、相手をしっかり見てください。

15 : 10
【5−1】グループ別のワークショップ  2  ( 20 分)
  ファシリテータを任命せずに「全員がファシリテータ」の意識を持ってワークショップを行う。テーマは「建設的な会議にするために、メンバーの自分ができること」。

【5−2】グループ別の振り返り  2 ( 15 分)
  ワークショップ2で、自分自身は、何に気をつけていたか、他の人の言動で気づいたこと、どんな風にすればよかったのか、などを話し合う。

15 : 45
【6】全員での振り返り  ( 30 分)
  ファシリテータがいる場合、いない場合にどのような違いが各グループででたかを共有する。
《ファシリテータがいる場合》
・場になれていない人には良かった ・発言のタイミングが作りやすかった
・ファシリテータに依存した    ・ファシリテータに気をつかった
・ファシリテータを意識した    ・公平な感じがした(発言の機会など)
・タイムマネジメントができた   ・建設的な会議を続けられた
・メンバーが成熟していれば必要ないと感じた
《ファシリテータがいない場合》
・ファシリテータがいないとのびのび発言できた
・ファシリテータがいないと緊張した(上記と正反対の意見)
・特定の人がしゃべりまくった   ・時間の意識がなくなった
・どうどう巡りになった      ・議論が軌道を外れた
・話し合いがぎこちなくなった   ・メンバーが様子見をするようになった
・誰かが書く(グラフィックする)とその人がファシリテータになった

16 : 15
【7】全体の種明かし(ねらい)  ( 10 分)
 職場で新人教育を行う際に使っている「講師準備シート」を配布し、今回の企
画内容の進め方、狙いを再度説明した。

16 : 30
【8】今回の企画に対する意見、感想ほか    グラフィッカー:安藤さん
《参加者全員の感想》
・宿題でファシリテーションが具体化できた(3名)
・宿題を通じて言葉にすることの大切さを理解した
・言葉にすると自分のイメージをより理解できる
  ( →  なりたい姿がはっきりした)
・言葉とイメージ 突き詰めると同じだとわかった
・宿題は " あるある探検隊 " の気分になった
  (人の紹介を聞いて、そういうの " あるある " と思った)
・場の空気を読むことが大切 他人への目配せ  →  発言を促す
・全員発言は難しい  →  ファシリテータの存在意義
・発言するためには心の準備が必要
・ファシリテータは範囲を自覚することが大切
・傾聴、人に意見をふる、ブレーキをかけることが大切だと感じた
・ファシリテータと同じ気持ちの人を増やすことが重要
・ファシリテータがいるとあてにする
→  自然にファシリテータ的存在が生まれるようにしたい
・ファシリテータとして傍観者になれなかった(当事者の方がおもしろい)
・信号機 青だけでなく赤も重要
・メンバーが成熟していてもファシリテータは必要
→  単なる進行役ではない
・ファシリテーションについて本からの固定観念があった
→  いろいろなファシリテーションがあることがわかった
・場ができていない状態で難しいテーマ(ファシリテーションの " 和名 " )を議論するのではなく、カリキュラムの後半に持ってきた方がよかった。
・合意形成ができなくとも、議論の成果物はベクトル合わせだけでも可だと思った。
・ファシリテータは場を引っ張る役割があると思った(2名)
・全員がファシリテータのワークショップは未消化だった

《講師の感想》  (議事録作成時に振り返っての感想も含む)
・今回の企画は80点で合格ラインに乗ったと感じたが、ファシリテーションに興味のある人には通用しても、興味がない人相手(例えば職場でのファシリテーション講座)では使えそうにない。
・頭の中で考えすぎた。その場の状態を感覚で捉えながらやるべきだった。
・ワークショップの「テーマ」を悩んだが、結果として失敗だった。前半は自分は何を求めているかをはっきりと自覚すること、後半は場の躊躇感を減らすために何ができるかを考えること、が目的だったのに、別のところに目を向けさせてしまった。
・狙いの説明が不十分で誤解を招いようだった。たとえば、気持ちのキャッチボールは、アイスブレイクのつもりも、非言語コミュニケーションの例のつもりもまったくなく、相手を見る重要性を伝えたかった。
・「躊躇感を取り除く」に特化して企画したほうが良かったかもしれない。

17 : 30
終 了

"ファシリテーションを和名どいうと"
  発表 安藤さん  
"ファシリテーションを和名どいうと"
  発表 壱橋さん