第37回:2007年12月15日 オープンスペーステクノロジー(OST)でFAJを楽しくしよう〜私たちはファシリテーションやFAJに何を求めているか?中部支部

  FAJ中部支部 200712月度定例会 議事録

■日時  :200712月15日() 11:001730

■場所  :東桜会館 第1会議室、及びギャラリー

■参加者:会員24名(内初参加者1)、非会員9名 計33名

■担当  :FAJ中部会員 鳥羽、森、安藤、加藤

■テーマ:「オープンスペーステクノロジー(OST)でFAJを楽しくしよう

■概要(担当からのメッセージ)

  オープン・スペース・テクノロジー(OST)は1980年代アメリカで生み出された組織開発の手法であり一時に何百人もの大規模人数の集団を扱う「ラージ・グループ・インターベンション(大きな集団への介入手法)」と言われているものの一つです。

  開発者、ハリソン・オーエン氏は、「会議の中でコーヒーブレイクが一番有意義であった」という経験に基づいて、コーヒーブレイクのもたらす自由で開放的でエネルギーに満ちた場づくりを1〜3日のワークショップに取り入れました。
そこでは、1つのテーマに関心と熱意のある人たちが自らの意思で集まり、議論の具体的なトピックや進行は完全に参加者の自発性に委ねられます。
12月の定例会では、このOSTの手法を紹介し、参加メンバーで実際に体験する試みをしてみたいと考えています。
話し合うテーマは以下のとおりです。
ファシリテーションに関心を持って、会費を払って、FAJ会員になられた皆さまには大いに情熱と関心を持っていただけるテーマではないかと思っています。
  〜私たちはファシリテーションやFAJに何を求めているか
     それを得るためには何をしたらよいか?〜

■プログラム内容

 ◆オープニング (60分)

・全員でちょっと長めの自己紹介(名前、FAJに望むものは?)。

・担当者より、本日のねらい、OSTの概要、進め方の説明。

 ◆アジェンダづくり (60分)

・輪になって、話し合いたいトピック(課題)を宣言しあい、セッションを提案。

・昼食も交えながら、それぞれのセッションの時間と場所をワイワイガヤガヤと取り決め。  

 ◆セッション (180分)

・第1会議室、ギャラリー2つの会場で、3時間にわたり
全部で14のセッションを開催。

 ◆クロージング (90分)

   ・各セッション担当者より話し合いの結果発表。

・参加者全員でふりかえり用紙の記入、一言ずつ発表。

1.OSTを体感しての感想、気づいたこと

2.ファシリテーションへの理解やFAJとのかかわりについて

3.ファシリテーター・参加者へのフィードバック
(3.は対象者へ手渡し)

■各セッションの概要:提示トピックと話し合った結果(抜粋)

 ◆今学校教育に必要なこと

   ・生徒のコミュニケーション力が低下、これは教えるより体験すべきもの。

   ・教師は思いやりの心を持って、自ら姿勢、あり方を見せてほしい。
そのためには、多面的評価、考える力、傾聴、感動。

 ◆自分のためになるフィードバックを受けるには/気付きを得るための効果的
フィードバックとは?(合同開催)

   ・良いフィードバック(F/B)とは、自分が成長できるF/B。

   ・良いF/Bを受けるには、どんなF/Bがほしいか伝え、悪いことも
受け入れる。良いF/Bを与えるには、Iメッセージで、かみくだいて。

 ◆人がワクワクするには何が必要か

   ・自分にとってどんな結果であれ、OKと思える状態がワクワクの状態。

   ・期待と不安が入り混じっている状態がドキドキの状態。

 ◆冷え切っている組織をどうアイスブレークしたらいい?

   ・対話をしなくなっている。コミュニケーションを練習する場づくりを。

   ・茶飲み話の活用、困ったちゃんには聴き役(メンター)をつくる等、仕掛けが必要。 動けば仲間が出てくる。

 ◆FAJでできて職場でできないのはなぜ?

   ・今できていることを自分で積極的に見つけてみよう。それが自信につながり、効果を生み出すはず。例えば、何か書く、他にない?と聞いてみる。

 ◆質問力を高めよう/傾聴力を高めよう/要約力を高めるには(合同開催)

   ・質問力とはロジック構造を考える力。関係づくりと課題の抽出の2つ。

   ・質問するには、傾聴力(何を言いたいのかつかむ力)が必要。

   ・要約力(事実/思い/考えを整理する力)がないと質問、傾聴できない。

You're great facilitator!さて何をした?/良いファシリテーターになるには何が必要か?(合同開催)

   ・良いコミュニケーション(言葉、態度)、感知能力、人間的魅力、表現力、スキル、判断力、使命感、倫理観。

   ・リーダーシップも必要。軸(どこに行きたいかの仮説)を持っていたい。

 ◆多くの人の本音=自分の意見が出るグループワーク(オフサイトミーティング)はどんなもの(場)?

   ・本音の対話ができれば、成果物の出来が良くなり、納得感が得られるのではないか?(ジャマするものは、相手の反応、自らの不安とプライド)

   ・本音とは、参加者の意志。意志は伝染する。言動一致させることが大事。

◆F・G(ファシリテーション・グラフィック)のコツ

・正解はない。目的次第で(意見を出しやすくする、他人に理解してもらう、整理する)やり方はいろいろある。

   ・たくさんやって、慣れていくこと。ちゃんとできていなくていい。

◆自発性を促す効果的なファシリテーションスキル(職場での)はどのようなものか?

   ・痛い思いをしないと。本番ではなく、リハーサルで痛みを感じてもらう 

・自ら考える場づくりをする。自分たちで決めたことはやりたくなる

   ・自発的に動くことで喜びをもてるといい。

 ◆効果的なメールファシリテーションとは?

  ・メールファシリテーションの定義づけ、グランドルールづくり、効果的なツール開発などに取り組むプロジェクトを立ち上げたい。メンバー募集。

  ・メールには、都合に合わせられる、文章を整理して伝えられる等のメリットと、表情・感情が見えない等のデメリットがある。

 ◆参加者の自分事(ごと)度UPのためには?

・ほめる、意見を求める ・安心できる気持ちのよい場づくりをする。

人は感情の生き物、メンバー構成にも工夫を。

位置づけ、役割期待を明確にして、行動計画を立ててもらう。

 ◆頭がまっ白になった時の対処法を教えて!

・正直に「頭が白くなった」と言えて、まわりに助けてもらえるといい。

・沈黙の時間も大切に。まっ白のまま1分間待つ。

・ボードに書き出す、ギャグでごまかす、鈍感力をみがく、休憩を入れる。

 ◆クレーム対応

・傾聴・共感し相手の気持ちを出してもらう→相手が落ち着いたら提案を引き出す→質問・要求に対して必ず答えをする。

・事実を把握することも大事。

■参加者ふりかえり(抜粋)

・自主性が尊重されたし、幅広い視点でグループワークを見ることができた。

・出入り自由の効果を感じた。

・課題がいかに出るかがキー。

・物理的な条件のクリアが問題かな?大広間の宴会に近いと思った。

・色々な方のファシリテーションを同時に見ることができた。

・自由度があるということで心にも余裕があった。と同時に、常に自分の中にある(時間厳守などの)制限の存在にも気付いた。その制限も含めて自主性だ。

・自主性、主体性に基づいて、自由気ままに動く無責任さと、場を選択して発言する責任を感じることができた。

・興味のある人が集まるというのは、意見が引き出し易いということが改めて分かった。

・今日は、言い足りなかった感が無くて、すっきりした。

・掟と原則が自由度を促進させた。アジェンダ出しも新鮮だった。

・トピックを立てた人はお得だったと思う。予想以上のものを手に入れることが出来た。

・パーソナルトークがバタフライだ。

■担当者の感想(4人分を集約)

・読んだり聞いたりしたことはあっても実際に体験したことのないOST。
ビクビクこわごわで臨んでみたところ、こんなにも参加者の皆様のいきいきと楽しむ姿を目にするとは。しかも参加の半数もの方からトピックを提示いただいて。大感激です。

・場づくりこそがOSTの命だなと痛感しました。安全で快適で心地よく自由に移動、意見を言える場づくり。今回、時間(午前中も使えた)、場所(2部屋の大きなスペース)、テーマ(旬なテーマ)、担当者(多彩な才能ある方々)、そして参加者(初参加の皆様も積極的、ベテランの皆様は支援的、ケアマネジメント研究会の皆様の一般参加も大いに刺激になりました)、全てに恵まれていました。
関西支部の皆様から指南いただく機会を得たことも感謝しております

・特にその日だけたまたま空いていた広いギャラリーが利用できたことはとても良かった。1つの大きな部屋での議論は、バタフライやビーの移動が楽だし、何といっても全員参加の一体感が感じられました。

・ワーク中は、スタッフとしてやることは殆ど無いだろうと思っていましたが、場を維持したり、次に必要なことは何かを、その場で見つけることも自分なりに出来たと、少し自信を頂きました。

・ふりかえりでの「大広間での忘年会と同じだ。」というコメントが腹にストンと落ち納得しました。その後に会社の忘年会を観察していたらバンブルビーもバタフライもおりました。違うのは記録やまとめ、ふりかえりがないことと改めて納得しました。

・いつもの定例会では固定したメンバーが仕切り(?)がちだが、今回は会員以外の方を含め初めて参加された方も壁の模造紙の前に立ち、場を進めることができる敷居を下げる雰囲気が作れたと感じています。

・自由に意見が言える場作りという点では、これはFAJ中部設立より会員皆で作り上げられてきた「自由な実験の場としての中部ラボ」としての場が形成されてきたからではないでしょうか?

・いろいろな偶然が重なっての成功、「シンクロニシティ」を感じています。魅力的なテーマも一杯提示されたし、「中部のOST」として定着するよう今後もチャレンジしてみたいと思います。

・あらためて参加いただいた皆様、サポートいただいた皆様、ありがとうございました。