2021年12月 第196回 赤テーマレポート:〈ゲーム理論〉は社会問題解決ファシリテーションに役立つか!? ~コロナ禍の「買い占め騒動」から考える~中部支部

1.実施日時:2022年12月18日 (土)13:00~17:30

2.会場:オンライン会議システム「Zoom」

3.担当者:うわーい、かじこ、りょう、数学大好きとしちゃん

5.参加者数: 定例会担当者3名+参加者12名(会員12名) 合計15名

6.プログラム概要

1.オープニング

2.グループに分かれて自己紹介

3.ゲーム理論なしで「買い占め騒動」を考える

4.ゲーム理論についてのミニレクチャー

5.ゲーム理論を体験(囚人のジレンマを用いて)

     ー 休 憩(10分) ー

6.ゲーム理論を使って「買占め騒動」を考える

     ー 休 憩(10分) ー

7.ゲーム理論はどんな身近な問題に使えそうか? 実際にゲーム理論を当てはめて考える

8.ゲーム理論とファシリテーションの関係について考える

9.ふりかえりタイム


7. 参加者コメント:

【良かったこと・役立ったこと】
・前提条件など色々考えるきっかけを得られたこと。
・ゲーム理論を、本を読むより説明してくれ説明してくれ。プログラムにするチ
レンジをしてくれたから。
・チャレンジングなテーマに挑戦していてすごいなと思いました。
・としちゃんの動画。りょうさんの落ち着いたF。
・進行方法ととしちゃんが作成された動画がとても良かった。
・ゲームの理論を学ぼうと思いました。
・チャレンジした内容・テーマ。
・実際に使えそうな気がします。
・問題設定に改善点があったが、それ自体がグループディスカッションの良いテーマとなり、一体感が高まった。その上でりょうさん、かじこさんが即座に改善の対応をされ、参加者のもやもやを解消したのは、素晴らしいと感じました。
・としちゃんのスライド、ブレイクアウトルームに助っ人として入っていただいたので話合いが進みました。

【改善が望ましいこと】
・思考方法の1つとして、ロジカル思考とラテラル思考を並行して紹介すると面白いかも。
・OARRを最初に示してほしい。
・例題の組み立て
・ゲーム理論を一から習得するためには、かなりの時間が必要

【ゲーム理論を使って解決していたい問題】
・クロスロードゲームとの違いを明確にして、比べてみると面白いかも
・まだゲーム理論を消化できていませんので、考えられないです。
・経済のマクロモデルの分析か、逆にちょっぴり気づきを得るためだけに使うか、のどちらかにしておいた方が良いと実感しました。身近な問題の解決に使うには「大きすぎるハサミ」のように感じました。
・まだ分かりません

【今後中部支部に期待すること】
・素敵なチャレンジに感謝です。
・こういうチャレンジは、教訓が得られて良いと思いますので、今後もぜひ!
・スタッフのみなさん、顔晴ってください。



8. 定例会担当によるふりかえり

今回は「ゲーム理論が社会問題解決ファシリテーションに使えるのか?」という視点からの定例会でした。

ゲーム理論とファシリテーションの関係は、担当者も
定例会当日までどのような終着点に辿り着くのか見えない中での挑戦だったため今回の定例会は非常に調査研究的なものとなりました。

定例会を実施して
ゲーム理論とファシリテーションの関係について担当者が感じていることは

「ゲーム理論は使い方によっては議論を促進するツールになるのかもしれないが、理論それ自体がファシリテーションツールになるのは少し難しいのではないか」

です。

今回の定例会を通して、

・ゲーム理論自体を習得するには時間がかかる
・実際の事例や問題にはさまざまなパターンがあり、ゲーム理論で言うところの「ゲームのパターン」を見極めるのが難しい

という部分を改めて痛感致しました。

さらに、ゲーム理論はあくまでも「理論」であり、理論から導き出された最適行動が現実問題の最善策になるとは限りません。現実には正解ではなく、その場その場に応じた最適行動が求められる場合が多くあります。
また、ゲーム理論では現実に起こっている問題を任意の数値で利害関係を表すことを行うため、その数値が主観的なものになってしまったり、数値基準の前提が揃っていなかったりするなど、議論を納得して進められないという場面も見られました。
このようなことから、ゲーム理論を「直接問題を解決するツール」として使うには中々難しいなという印象を受けております。

ただ、今回の定例会を通して分かったこと、見えてきた部分もいくつかありました。それは

1.ゲーム理論が問題を俯瞰するためのツールとなること
2.利得表の数値化は前提を作り上げるポイントであるため、任意の数値ではなく〇×△といった記号で代用することはできるのではないか
3.理論では扱えない「感情」の部分(ファシリテーションの見えないプロセスである「感情の取り扱い」)を引き出すツールになるかもしれないこと

です。
特に3については、定例会にて体験を伴って見えてきた部分で、
今回の定例会ではワークを進めていく中で課題設定上の不備が浮かび上がってきました。
ワーク課題の前提が揃っていなかったため、ワークを進めていくと次第に参加者の中で違和感や疑問が生じて納得感が生れなかったというものです。

定例会では、この参加者の違和感をワークに取り入れ、
「どうしたらこの違和感を改善できるのか?」という視点で担当者も参加者も一緒になって考え、問題点と改善策を導き出しました。
そのため、定例会の場全体の一体感が高まり、導き出した改善策で参加者全員が納得できたという場面がありました。

これはゲーム理論というツールを用いてワークを行ったことにより引き出された「参加者の感情の声」が発端となったものです。
この感情の部分が定例会の場を良い方向に促進したことは一つの発見であり、ファシリテーションに活かせる一つの側面なのではないかと考えております。

このように、今回の定例会では担当者が想定していなかった流れや場面が生れ、新たな発見や気づきが多くありました。
また、ビジネス分野で活躍されている方にも多く参加していただき、全員が一体となって定例会を創り上げることができました。

今回の定例会を通して、ゲーム理論とファシリテーションの関係性についてまだまだ要検討の部分、より深く調査していかなければならない部分や課題が多く残りました
これらの点については、今後も調査研究を続けてまいります。

さらに、今回の定例会におけるチャレンジ的な部分について参加者の方からも温かい声やご好評を頂きました。今後も、このような挑戦的でより調査研究的な定例会にチャレンジして行こうと思います。
今回ご参加いただいた方、ワークを創り上げてくださった方々ありがとうございました。