2021年8月 第192回赤テーマレポート:迅速さか? 納得感か? わたしはどう判断する?  ~インバスケット思考とファシリテーションについて考える~中部支部

1.実施日時:2021年8月21日 (土)13:00~17:10

2.会場:オンライン会議システム「Zoom」

3.担当者むーた・taka・かねぴ・とばっち・りょう・ぐっちょ

4.参加者数: 会員21名、一般0名、担当者5名  [合計26名]

5.プログラム概要

「インバスケット」は、まだ決裁がされていない書類が入った「未処理箱」を意味します。制限された時間内に主人公の立場になりきり、お客様からのクレームや部下からの相談など、どの職場でも起こりうるような案件を、的確かつ迅速に、精度高く処理を行うことを目指すものです。
仕事のやり方・捉え方を見直すツールとして、企業や官公庁などで管理者・リーダーの教育ツールとして活用されています。
「じっくりと話し合いをすることで、納得して自主的な行動が進む」というファシリテーションとの間でズレや矛盾が起きているのではないか?FAJ会員なりに両者の関係を整理する話し合いができるのではないか?という認識でテーマ設定をしました。

■全体の流れ:
1.導入( OARR 、インバスケット紹介、他)
2.「インバスケット例題」にチャレンジ:個人
3.自己紹介と「回答順の相談」:グループ
4.ミニレクチャ~「インバスケットでの判断基準」
5.インバスケット・テーマの深掘り:個人&グループ
6.ミニレクチャ~「インバスケット思考」の特徴
7.インバスとファシリテーションの議論:グループ
8.グループ議論の共有
9.グループでプロセス振り返り



<告知文>

「ファシリテーションでは話し合いによる納得が大切」と言われます。
じっくり話し合いをしていく中で、案件に対する理解が進み「自分ごと」として捉えることで実現性や協力意思が上がっていくという考え方です。
一方、企業等では「仕事を進めるうえで、素早く判断・行動する能力」も求められており、丁寧に意見等を集めることができないまま判断を求められることも多くあります。
こうした迅速な判断力、思考力を養う研修手法として「インバスケット」が多く用いられます。
組織と共に活動をすることが多い我々は、様々な判断をするとき、協力関係を求める時など、「ファシリテーションのスキル」を用いながらより良い成果を作っていくことを実現したいと思います。
今回は「インバスケット的な考え方」と「ファシリテーション」をどのように組み合わせて、使い分けていけば良いのか、皆さんと一緒に研究を深めるワークショップにトライします。

  • こんな方に:

・強いリーダーシップを求められることが多く、ファシリタティブな関係つくりに悩まれている方

・日常の大量業務に押されて、職場等で話し合いを進められない方

・勉強としてのファシリテーションから、組織での実践に取り組もうとしている方

~~『インバスケット』とは~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

インバスケットとは、まだ決裁がされていない書類が入った「未処理箱」を意味します。

1950年代にアメリカ空軍で導入され、制限された時間内に主人公の立場になりきり、お客様からのクレームや部下からの相談など、どの職場でも起こりうるような案件を、的確かつ迅速に、精度高く処理を行うことを目指すものです。

現在、企業や官公庁などで管理者・リーダーの教育ツールとして活用されています。

絶対的な正解がなく、問題によって様々な要素を測定できるため、企業等での昇格試験や能力評価試験などでも多用されています。

インバスケットは「判断スピードの向上」も大切ですが、「どういった結果を出したか」ではなく「どのようにして結果を導いたか」も重視されます。

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6. 参加者コメント

■提供材料・プログラムについて
・インバスケットのワークの資料がよくできていました。
・例題が準備されていたため、よい体験ができました
・優先順付けの苦行と、その後のブレークアウトルーム・セッションで、具体的に体験し、深めることができた。非常におもしろいテーマでした
・インバスケットを体験した上で、ファシリとの違いについて参加者と対話できたので
・ワークが途中にバランスよくあり、とても充実した内容でした。
・難しいとは思いますが、時間にもう少し余裕が欲しかったです。(さらに踏み込んだ議論もできたと思います。)
・インバスケットの概要についての前半の説明が本当に端的で、ワーク中心であったこと。
・グループワークの議題がどれも難しかったです。このことはなかなか全体では言えませんでした。
・必要ではあったが、定例会内でインバスケットをする時間が少しもったいなかったように思える。

■参加して得られたもの
・ファシリテーションと一見相反するようで共通点が見つけられた。非常に役立った
・日常業務で行っていることが理論としてあることに気付いたから。
・インバスケットが体験・理解できた。又 選択には選択を放棄する選択もあることを学んだ。
・インバスケットにおける優先順位の考え方や、そこに現れる自身の仕事での癖などに気づけたのは良かった。
・インバスケットのプロセスに固執するのではなく、柔軟性も必要と感じたため。

7. 定例会担当によるふりかえり

■プログラムについて:
スタッフ打ち合わせで「実際にインバスケットをやらないと議論が深まらない」という意見が出て、直前に内容・プログラムを組み直しました。参加者にとって有効な転換になったと思います。
「ファシリテーションとインバスケットの関係性」について、参加者と共に調査研究しようという設定でした。想定以上に議論を深めたグループもあり、FAJメンバーの底力を感じる部分がありました。

■運営について:
途中でオンラインから落ちた方へのフォローや、資料をダウンロードできない方への変換対応等、スタッフメンバーが自主的に対応をしてくれたため、とてもスムーズに進めることができました。運営委員・運アソメンバーが、オンラインに慣れてポイントを理解できるように習熟しているからかも知れません。
全体進行にいくつかミスがあったのですが、参加者が気づかないほどの展開でした。

★★皆さん、ここに適宜、コメントを★★

(りょう)テクニカル面では、PC以外の端末でPDFファイルをZoom経由で共有できない場面がありました。定例会時にはGoogleスライドに貼り付けることで対処することができましたが、今後は事前にURLで共有できるものや、事前に配付できるものは事前に配布するなど方法を考えていかなければならないと感じました。端末、アプリのバージョン等で資料を配付できない例は今後も起こりうる問題だと思うので、今後検討しなければならないと感じました。その他の運営については、大きな問題なく運営することができたと思います。

(とばっち)担当とはいえ全面的にグループワークにどっぷりと参加させてもらいました。グループの中では次のような知見を得ることができました。
・インバスケットは情報処理能力、判断力を養うために考えられた研修手法であるが、短期間に組織の価値基準を浸透させる目的にも活用できる。
・インバスケットとファシリテーションは相容れないものではない。インバスケットが短時間に情報処理をする100マス演算と例えると、ファシリテーションは総合的な能力を発揮する論文問題。必要とする局面が異なるので、求められるものも違うだけではないか。
・但し、決定プロセスの違いから、インバスケットを専制主義、ファシリテーションを民主主義と例えることもできる。組織やおかれている状況によって在り方が違うと思うので、優劣があるわけではない。使い分けが必要。
・ファシリテーターが現場でどうふるまうか?を鍛錬する方法としても、インバスケットの手法を活用できるのではないか?ファシリテーターが備えるべき発想力の広さや洞察力の深さ、瞬時での判断力を養うことができる。そのようなプログラムづくりをむーたさんに期待したい。

(ぐっちょ)定例会当日は当初から参加できないとしながら、プログラム作成段階で、気づいたことを言うだけ言うという、やや無責任な関わり方になったことを反省しております。
ただ、アンケートを見る限り、定例会自体は好評だったようなので、無責任な口出しも貢献できたとしたら、こんな関わり方も場合によっては良いのかと感じました。でも参加したかった・・・

(かねぴ)恐らく誰よりもインバスケットを理解していない状態での担当でした。
一部チャットなどを担当していましたが、今回はほぼ参加者としてグループワークに入り、同じグループの方の知見にも助けられて初めて少し意味が分かった様な気がします。
参加して下さった皆さんお疲れ様です。そしてありがとうございました。

以上