FAJ中部支部 2009年1月度定例会 議事録
1.概要
2.裁判員制度を取り上げた背景
チーム ぷらーぬんくすつぇれが、裁判員制度を取り上げた理由は、ここにある。裁判員制度では、法律の専門家である裁判官と素人である裁判員の情報格差
や法理論と一般生活の考え方の差をどう埋めるのかということが課題となる。
裁判員制度とプラーヌンクスツェレには、市民の中からの無作為抽出、有償、数日間の拘束時間という形式上の共通点のほか、行政と司法分野という場面の相
違はあるものの民主主義の根幹にあたる意思決定に市民が参加するという共通点があることに注目した。
3.ねらい
専門家である裁判官と市民が同じテーブルで話し合うときに、どのようにしたら情報の格差を埋めて対等な話し合いができるのかについて体験を通して考え
たい。
そして、よりよい評議のために、裁判官にファシリテーション的なフィードバックの機会は、社会貢献となるのでは?と考える。
今回の定例会では、5月から始まる裁判員制度についての理解とよりよい評議のためのフィードバックをしよう!と具体的には以下のようなねらいを設定した。
(1) 裁判員制度を正しく理解する
(2)模擬評議を行い、評議の様子をふりかえる
そのとき、裁判官は何を思ったか?裁判員は何を考えたか?
→意見の言いやすい、ポイントを押さえた評議にするには?
3.経過
11時から 裁判員制度についてのゲストからの説明、質疑応答
12時半から 昼食
13時 3グループに分かれて模擬裁判を行う
・裁判官2名、裁判員5〜6名、観察者4〜5名で
1グループ
・模擬評議では各グループごとに、ツールの違いを 設ける
◆ホワイトボードを使う
◆プロジェクターを使う
◆ほとんど使わない
・観察者は、観察シートを手掛かりとして対象者と評議の場を観察する
16時から グループごとに、観察者から模擬評議の場へフィードバック
17時から 全体でふりかえり
18時 終了
4.模擬裁判の内容
裁判のDVDを3グループで見る(うち1グループは別室にて)
公判手続きごとに、DVDを止め、解説や質問をはさみながら進める
題材は、「強盗致傷罪」or「傷害罪+恐喝罪」 どちらに該当するかという事件
模擬評議は、各グループの裁判官が進行する(第三者のファシリテーターは置かない)
観察者は準備した観察シートを使用する(観察のポイントを観察者で共有するため)
5.ふりかえり
(1)ねらいは達成できたか
◆裁判員制度への理解に
・制度のしくみは概ね理解できたようだ。
・制度の趣旨や詳細は、まだ理解できない部分がある。評議の過程や振り返りでも質問があった。
◆模擬評議へのフィードバック
・ホワイトボード、模造紙などを使って、情報を整理、共有しやすい方法をとったほうがいいのではないか。
・プロジェクターによる共有は十分機能しておらず、むしろ分かりづらかった。
・模擬評議では、全体像が見えにくく、何を議論すればいいのかわかりづらかった。始まる前にしっかりと問題意識を共有したらよかったのではないか?
・公判に関して記憶が定かでないことはDVDで何度も確認ことによりポイントを共有できた。
など
◆観察者のふりかえり
・観察シートは、あまり使えなかった。使いづらかった。(仕様の工夫が必要)
・3時間ぶっ続けの観察は、負担が大きかった。
・観察中にコンテンツに関与したくなった。
など
(2)その他意見・感想
・裁判員制度に対する裁判所の考え方、裁判官のスタンスが聞けた。
・現役の裁判官も普通の人だと実感した。(←どんな人だと思っていたのかしら?)
・裁判官がファシリテーションに興味を持ち、実際の評議で役立てようとしていることを知り、うれしかった。
6.課題など
・模擬評議では、裁判員の刑法の理解度を合わせるのに(FAJメンバーでも)1時間以上かかった。もっと早く理解度を合わせる方法を考えたい。
・その一つとして構成要件をうまく伝えることを考えてみたい。
・もっと使いやすい、有効な、使える!観察シートを考案したい。
・裁判員制度が始まってからも、始まったからこそテーマとして取り上げる意義がある
課題となる。これで終わりではなく、これが始まり。
・次回は、FAJらしい裁判員評議のあり方が提案できるような取り上げ方をしたい