第69回:2010年10月16日 「FAJ中部白熱教室」 〜対話型授業のすすめ〜中部支部

中部支部 10月定例会 議事録

■日 時: 2010年10月16日(土) 13:00〜17:30
■場 所: ウィルあいち 3F会議室4
■参加者: 53名(会員44名、一般10名)
■担 当: 上井 靖,村松 正健,荒井 貴江(中部支部)
◆テーマ:「FAJ中部白熱教室」  〜対話型授業のすすめ〜

◆ねらい(定例会案内文より):
 今年は、ハーバード大学マイケル・サンデル教授の「白熱教室」がTV放映、「これからの『正義』の話しをしよう」の出版が話題を呼んでいます。サンデル教授は,道徳的価値観をあえて討論に持ちこませ,様々なジレンマを学生たちに問いかける授業スタイルをとっています。この形式は,決して新しいものではなく,道徳教育で行われる「モラルジレンマ授業」として,日本の学校教育の中で取り上げられています。
 今回の定例会では,実際に,モラルジレンマを題材にした道徳の授業を体験していただきます。道徳的価値を思考や推論を通して学んでいくために,対話型授業やワークショップを中心に,白熱した場になるようなプログラムを考えています。この体験を通してファシリテーションのさらなる可能性を探っていきます。
 私たちの日常もジレンマだらけです。この定例会を通して,みなさんのお仕事,日常,人生に何ら かの影響があるかも?教育関係者だけでなく,幅広い職種の方々に是非とも参加していただきたいと思っています。

◆内容:
I.オープニング
・はじめのことば,本日のねらい・流れ説明
・資料「田中さんのジレンマ」を聞き,賛成or反対の調査→チーム分け
・チーム内自己紹介
II.ワーク1「田中さんのジレンマ」
・「田中さんのジレンマ」を読み,賛成or反対とその理由をシートに記入(1回目)
 →チーム内で発表。
・多様な考えにふれるために,ワールド・カフェ方式で,他のテーブルで2回,賛成or反対の理由を聴き合い,なぜ そう思うのかをお互い理解し合う。
 →元のテーブルに戻り,報告し合う→賛成or反対とその理由をシートに記入(2回目)
・モラルジレンマ授業についての解説,Q&A
・チーム内で振り返り,全体振り返り
III.ワーク2「モラルジレンマ教材づくり」
・モラルジレンマ教材づくりの説明
・ワーク「モラルジレンマ教材づくり」にチームごとに取り組む(60分)
ジレンマ事例資料(テーマ,ねらい,対象,ストーリー)を模造紙に描く。
・バザール方式で,チームごとに作成した教材を発表,FBの場を設ける。
VI.クロージング
・チーム内での振り返り,全体でのシェア
・担当者振り返り・お礼のことば,連絡

◆担当より
・対話を重視する中で、もっと聴いてみたい。もっと話してみたい。という風景を拝見しました。「対話の時間が足りない!」とのお声もいただいきました。まさに、白熱していたからだと思いました。教材の威力を感じました。
・ワールド・カフェで、よそのテーブルを2度回ったが、もっとじっくり話したかったとのFBをもらいました。ワールド・カフェありきで、この授業を組み立てていませんが、状況(みなさんの様子、人数、時間など)を見て、よそのテーブルでの対話を1回で終わることもありかなと思っています。
・最後の1時間内でのモラルジレンマ教材づくりでは、チーム内での化学反応が次々と起こっていたように見えました。解説で掲示した道徳の徳目を、参加者のみなさんが何度も見ながら、教材をチームで考え合う姿がとても印象的でした。前半の道徳授業では、重い内容であり、かつ、解答を求めないが対話を続ける中で、モヤモヤ感も生まれていました。そのおかげで、後半の教材づくりでは、モヤモヤも吹き飛ぶようなファシリテーションの相乗効果が出ていたと感じました。
・チームで作成したモラルジレンマ教材は、学校教育だけでなく、企業、家庭、地域でも、参加者が真剣に考え合うということに十分に役立つものと感じました。教材づくりは良いワークだったと思っています。
・定例会に参加していただいた方から,このワークを挑戦してみたいという声をお聞きしました。とてもうれしいです。さらに、サンデル教授や私たちが体験した「白熱教室」の熱が全国に伝わっていく気配を今は強く感じています。
ありがとうございました。