第80回:2011年10月15日 青テーマ 質問力をトコトン探求する 〜質問の高さ、広さ、深さを体験する〜中部支部

中部支部 10月定例会(青テーマ) 議事録

■日 時: 2011年10月15日(土) 13:00〜17:30
■場 所: 芸術創造センター 大会議室
■参加者: 20名 (会員18名)
■担 当: 杉原廣二、北川芳一、丹羽英人、加藤恭代
(いずれもFAJ中部支部)

■テーマ:質問力をトコトン探究する
〜質問力について一人で考えるのではなく、
質問を"高さ""広さ""深さ"の視点において、皆で考えよう〜
■担当者からのメッセージ(定例会案内文より)
「ファシリテーターとして、もっと効果的に質問が出来ないか?」「場を変えたい時に、みんなはどのような質問しているのだろうか?」
という、疑問や悩みを持っているあなた。
「以前こんな質問をしたことで、発散や収束がうまく進んだ!」「わたしは質問をする時にこんなことを注意している!」
という、経験を持っているあなた。
『ファシリテーターは極力意見を言わず、質問でプロセスを管理するのだよ』と、頭で分っていても、なかなか実践できていないのが現実でしょうか。
中部支部の定例会テーマを決める時に、何度も提起された「質問力」を今回は勇気を持って取り上げました。
みなさん一人ひとり「ファシリテーターにとっての質問力とは、○○だ・・」という定義があるかと思いますが、なかなか答えが見つからないのではありませんか?
そこで、一人で考えるのではなく、質問を"高さ"と"広さ"と"深さ"の視点で、皆で考えましょう。中部ラボの精神で、キラーパスのような"質問"を見つけ、質問力の再定義をしたいと思います。ファシリテーションの勉強研究を始めた方、この際質問力を深めたい方、ベテランの方などなどみんなで時間の許す限りトコトン探求しましょう。

■概 要(定例会の流れ):
「あなたにとっての質問とは?」について、オープニングの段階で、自分の考えている質問力について一人で考える(独創)、
グループで考えること(響創)を通じて、質問力についてトコトン探究する以前の状態で、質問力を定義します。
その後、ストレッチとして、拡大質問&限定質問を使い、相手に質問をすることで書いてあるものを当てるという体験をし、それぞれの質問を組み合わせることの大切さを実感します。
そして、質問ストレッチをした後は、今回のトコトン追及するテーマである質問力の"広さ""深さ""高さ"について、ワークを通して「独創→響創→クラス発表」を繰り返し、質問力の持つ未知なる世界を探求していきます。
最後に・・・各チームでワークを通じて体験してきた"広さ""深さ""高さ"のある質問をじっくり吟味し、クラス発表した後、各人が本日の定例会という場の中で醸造された「ファシリテーターにとっての質問力とは?」を再定義していきます。
ワークを通じて「独創→響創」を繰り返し、一人ではなく皆で探究していくことによって、多様な価値観を自分の中に落とし込んだ後の質問力の再定義という成果物。
再定義するプロセス、そのものがファシリテーターに求められる多様性を活かす力の体験となるでしょう。

◆内容:
【1】オープニング
・グランドルールの説明
・11月の中部支部大会の予告

▼1-1.自己紹介(チェックイン)
・A4用紙を縦に4分割し、以下の通りに記入する。
ブランク
会の最後の振り返りで質問力を再定義した後で記入できるよう、現段階ではブランクにしておく
ニックネーム
マイブーム
今日の定例会への期待
*グループ自己紹介

▼1-2.アイスブレイク(13:25〜13:40)
◎せんのうえにまるゲーム
・個人で書いた後、グループでシュアし、チーム見解を決め、どれが正しいのかという基準で発表する。
*そもそも、せんには、線や千、まるには、○や丸など、個人個人で思い描くものは様々。
私たちは、質問する人がどんなことを書いてほしかったのか、知らずして、隠れた前提を共有しないままに、問題を解いてしまう傾向はないだろうか?

▼1-3.「質問力とは」
◎ワーク1;あなたにとっての質問力とは?
一人で考え(独創)→皆で考える(響創)→ファシグラにまとめる
最初に一度、定義してみる。この定義が、会の振り返りで、どう再定義されるでしょうか?
★カニッツアの三角形から、質問することで可視化していくことについて考える

▼1-4.「質問とは」
西安門の扉が閉まっています。あなたは、その扉の前でどうしますか?
「質問とは、閉じられた扉の前で、中の様子を耳で聞き、どんな様子が尋ねてみること」
*どんな質問をするかによって相手の答えが変わる可能性がある。

▼1-5「拡大質問と限定質問」
◎ワーク2;2組に分かれて、相手に質問して、答えを得て、書いてあるものを当てる!
1)拡大質問だけで聞いてみる
2)限定質問だけで聞いてみる

◎振り返り
限定質問だけ、拡大質問だけでは、限界があることに気付く

★休憩(14:10〜14:20)★

【2】質問力探究
▼2-1.イントロ
◎響創をジョハリの窓で説明
相手に教えること+相手から教えられること、質問によって知っている領域を広げること

▼2-2.質問力探究「広く・・・」
◎ワーク3;この物は何?
書いてあるものに質問をしてみる。
1)独創<ポストイットに10個以上書く>
10個以上ということで苦戦している方も・・・

★そこで、擬人化してみると出てくるのでは?という講師からの問いかけに、質問がどんどん出てくるようになってきました。

2)響創<どんな質問があるのか、情報共有>

◎ワーク4;広く意識した質問とは?
1)独創
・自分のアイデアや実践事例を出してポストイットに記入
2)響創
・セントラルイメージを用意し、模造紙中央に貼る
・もっとないか検討し、チームとしてのキラーパスを決定する。
3)クラス発表

◎チーム振り返り
・グループメンバーで共通していたのは「他には?」「言い換えると?」
でも、この2つだけだと質問した相手から答えがないと、すぐに手詰まりになりそう・・
・各自の出す質問をみてみると、質問の癖がわかった
例)スペック中心のタイプ、エモーショナルな質問が中心のタイプなど・・・
・役割に入り込んでみると、無理なく広く質問できそう
例)「○○さんだったら、どうする?」
・視点をずらすと、広さにつながるのでは?
例)ジャンルをずらす、時間軸(未来を聞く、過去を聞く)立場をずらすなど・・・

★担当者からの振り返り
*キラーパスには状況が大事
*U理論では、他人をの靴を履く感覚、未来からみたらどう?などは
*質問するには言い換えるための語彙力も大切
*フレームワークを活用すると有効
例9)SCAMPERのフレームワーク
・Substitute(代用してみたら?)・Combine(結合してみたら)・Adapt(応用してみたら)
・Put(置き換えてみたら)・Modify(変更してみたら)・Eliminate(減らしてみたら)
・Reorder(逆転してみたら)

▼2-3.質問力探究「深く・・・」
◎レクチャー
・3歳児の好奇心を回復する「なぜを3回、何のために2回」
・営業がニーズを探る質問
<目的は?具体的に何?重要性は?ニーズの生まれた状況は?>
・MECE<例:男と女、それとそれ以外など・・・>
・意思決定の背景を聞いていく
・トヨタのコンポン=真因追及

◎ワーク5;深く意識した質問とは?
1)独創
・自分のアイデアや実践事例を出してポストイットに記入
2)響創
・セントラルイメージを用意し、模造紙中央に貼る
・もっとないか検討し、チームとしてのキラーパスを決定する。
3)クラス発表

◎チーム振り返り
人の意見を聞くときには、コンポンを聞くことが大切なのでは?潜在ニーズまで聞きたい。

★休憩(15:50〜16:00)★


▼2-4.質問力探究「高く・・・」
◎レクチャー
「知性は方法や道具に対して鋭い鑑識眼を持っていますが、目的や価値については盲目である by アインシュタイン」
・目的展開
・目的記述の仕方:××(目的語:名詞)を〜(動作動詞:述語)する
例)部屋をきれいにする
掃除する人もいる。片付ける人もいる。綺麗に装飾する人もいる。

◎目的は何?何のために〜するの?そもそも・・・
→論理法
例)ボールペンの目的は?
字を書く。字を示す。字を提示する。情報を伝える。意図を伝える。思いを伝える。
→ランダム法
大・中・小で分ける
例)大;納得や気持ち、中;なぜ?そもそも?、 小:手法

◎ワーク6;高くを意識した質問とは?
1)独創
・自分のアイデアや実践事例を出してポストイットに記入
2)響創
・セントラルイメージを用意し、模造紙中央に貼る
・もっとないか検討し、チームとしてのキラーパスを決定する。
3)クラス発表

◎グループ振り返り
・高めるのは抽象度をあげること
・まとめると、どうなる?一言で言うとどうなる?
・おいしいビールを飲むには?
・どうなると嬉しいですか?

◎チーム振り返り;ファシリテーターの質問力を再定義する!
・ファシグラを模造紙に書く

◎全体振り返り
・模造紙と最初の用紙を持参する
・各チームの再定義発表
・自分がもらったキラーパスの質問は?
・全員分を床に並べて写真撮影

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各個人が再定義した質問力
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・パス回し
・ゴールしていくことを支援する
・動きやすくする=考えたくなる質問
・まとめると、どうなる?など・・・
・方向性=高める
・臨機応変力

 以上