第89回:2012年8月18日 赤テーマ 「地震に学ぶ 次世代に残したいよりよい日本とは?」中部支部

FAJ中部支部 8月定例会 報告書
赤テーマ:「地震に学ぶ 次世代に残したいよりよい日本とは?」


◆日 時: 8月18日(土) 13:00〜17:30 (受付開始12:30)
◆場 所: 名古屋市東生涯学習センター 第2集会室
◆担 当: 西野 靖江、宮田 基、中西 真理子、堀 欣人 (FAJ中部支部)
◆参加者:15名  (会員14名  非会員1名)


◆担当からのメッセージ:
東海・東南海・南海の3連動型地震がいつ起きてもおかしくない。そう言われて10年以上経ちました。そんな中、実際に大きな災害も起こり、そして、ここ数年には必ずまた大地震は来ると言われています。皆さんはどんな防災対策をしていますか?いつでも身を守る用意がありますか?こういった現実の中、私たちは次世代にどんな日本を残せるでしょうか?9月の防災の日を前に、今一度地震について学び、備えるために皆さんでどう生き残るか、どう生き延びるかを考えてみませんか?タイムラインを軸として、ファシリテーションのスキルを用いて、真剣に天災と向き合い、未来への希望を出していく機会になればと思います。近い将来、次世代の子供たちにより安全な日本をどうやって残していくべきでしょうか。よりよい日本の在り方を共に考えましょう。


◆プログラム構成
1 担当あいさつ 
グランドルール 「☆ポジティブに! ☆いっぱい話す! ☆みんなで助け合う!」
今日の目標   「・震災を自分事にする ・実行できる,明日に生かす」
流れの確認


2 チェックイン 
「(1)呼ばれたい名前 (2)自宅と職場の場所 (3)防災について一言・エピソード (4)今日の期待」


3 アイスブレイク
「地図をつくろう」
・参加者の自宅を基準に,東から西に向かって順に一列に並ぶ。
・東から4人ずつでグループを構成する。
・白地図に自宅(赤)と職場(青)でシールを貼る。


4 ワーク・前半の部 
南海トラフ地震を自分事にする 
「東海地方に迫る巨大地震 わたしたちはどう立ち向かうか」(ビデオ視聴5分)
・近い将来,必ず巨大地震は来る。日本の3分の1が影響を受け,東京・大阪・名古屋といった中心都市に被害が想定される。助けもすぐには来ない。液状化現象は各地で起こるし,東北の震災以上に大きな津波が早く到着する。自助・共助・公助の中でも自助がほとんどを占める。
「南海トラフ地震の想定」「名古屋・東京・大阪の標高図」「地震史」から学ぶ(PPT)
「目黒巻」で地震シミュレーションをする 
2004年に東京大学・都市震災軽減工学・工学博士・目黒公郎教授の「目黒メソッド」を基本に作られた災害シミュレーションツール。確実にやってくる大地震から、どうすれば自分や家族の命と財産を守れるでしょう。まずは、災害状況を的確にイメージする力『災害イマジネーション』を高めることです。人はイメージできない災害状況に対して、適切な心がけや準備はできません。 様々な時刻や場所、季節や天候に応じて、発災からの時間経過の中で、自分の周辺で起こる災害状況を具体的にイメージできるように、「目黒巻」を使って自分を主人公とした物語を作ります。今のままでは、大変な状況になることがわかります。物語をハッピーエンドに変えるために必要な事前・直後・事後の対策が見えてきます。それらの効果や優先順位がわかります。

《今回の具体的な設定》 三河湾沖で大規模地震発生。名古屋で震度6強。
○ 5分後・・・豊橋・浜松に10m超の津波到着。
○10分後・・・名古屋市南部(港区・南区・中川区)で液状化現象。
○15分後・・・名古屋沿岸部(港区)にも津波到着。木曽三川・堀川を遡上。
○20分後・・・東京湾・大阪湾沿岸部にも5m超の津波。千葉県で液状化。
○30分後・・・携帯回線ダウン。JR・私鉄全線がストップ
○1時間後・・・広域で大規模停電・断水(東京・中部・関西)
○1時間半後・・・工業地帯・地下街で火災発生
・・・と続いていきました。

「目黒巻」から見えてきた「やばい,こわい」を整理する 
個人の努力(自助)・地域の協力(共助)・国や広域の力(公助)といった視点で整理する。
自助がどうしても多くなる。一人暮らしだと孤独。家族のことが気になるがすぐに動けない。
・ご近所とのおつきあいがない。近所と協力する関係がない。
・帰宅すべきなのかの判断情報がない
・避難グッズが会社にそろっていない(くつ等)
・非常食の内訳を知らない
・どうしようもない・・・
・ケガをしたときの対応・訓練がされていない
・救援物資を巡って争いが起きたら?
・避難訓練が徹底されていない
・家族がバラバラになっていたら?
・情報収集がままならない。本当に情報がキャッチできるの??
・安否確認の手段がない。防災体制要員が揃わないと対応できるか。
・余分なものを買う。必要なものを入手できない。
・自分の乗っている電車が転倒,自分のいる建物が倒壊,閉所に閉じこめられたら?
・徒歩帰宅中に津波がきたら?
・・・などたくさんの不安要素を出し合うことができました。

5 ワーク・後半の部
前半の部を受けて,話し合いたいことを出し合う 
○地域コミュニティづくりは大事だと思いながらやってない。醤油を貸し借りするような,近所で助け合わないといけない日常ではなくなっている。日頃のご近所づきあいのあり方・作り方から考えたい。
○安全を求めて。危険な地域からの集団移転の可能性。そのために必要なことと問題点。
○残したいもの,自分でできること
○正確な情報を集めるにはどうしたらいいか。停電し,携帯もパンクしたらテレビも電話回線もあてにならない。かといってラジオを携帯しているとは考えにくい。

自分の考えに近い者同士が集まって,3つのグループでそれぞれテーマを念頭において話し合いました。
・自助から共助へのシフト。いざという時の無益な争いや暴動を抑えるためにも,日ごろから関係作りをしておくことが大切。離れた場所にいる家族のことを助けてくれるのはその周囲にいる人しかいない。必ずしも地域やご近所でなくても,有事の時にものを分け合えたり,情報を伝えあったり,実際に助け合える信頼関係をつくっておくことが必要ではないか。
・助け合える近所づきあいを見直したい。→朝のさんぽとあいさつをしよう。


6 まとめ・フィードバック
○ 今日の内容についてポストイットに記入してもらい,ホワイトボードに貼って全体で共有。一人ずつ発表してもらいました。
○ その後,今日の進め方について,担当に向けてのフィードバックをポストイットに書いてもらい,提出してもらいました。

《以下,まとめ・フィードバックの内容》
◇ 今日の内容について感じたこと
・中3の息子にちゃんとファシリテーションを伝えてやろう。
・いまだに近所づきあいをあまりしてない自分はなんなのか。
・"共助"という言葉の直感的解釈が広がったかも。
・目黒巻をストーリーテリングのツールとして使いたくなった。
・地域コミュニティの復元は朝のあいさつの継続から始まる。
・目黒巻のおかげで震災が少しは自分ゴトになった。
・FAJで身につけたことが有事の時の共助にも生かせるゾ。
・家族が大切だから・・・希望を持つために,共助がある。
・ちょっとしたつながりの大切さに気付いた。そのはじまりが挨拶。
・次世代に残したいよりよい日本とは,人とのつながり!震災という非常時にはつながりが困難 を乗り越える力になります!そのために今日から挨拶を心掛けよう。
・あいさつ,つながり・・・人やな!
・自分事と考えられない
・会社に防災グッズを持っていきます。避難所を確認します。
第3の選択として信じられるNPOを捜します。
・これからの日本にNPOが重要になるという結論を,いわゆる大企業にぞくする自分が受け入れたことが意外でした。だからFAJなんてところにいるのか・・・
・今日の目標について忘れてたけど ☆震災を意識できた→グッズを買おー ☆明日から「つながり」のため,挨拶を意識しよー と思いました。いつのまにか目標達成!?してましたー
・「次世代に残したいよりよい日本」についてみんなで考えられてよかった!!
・もし震災が起こったら・・・を初めて真剣に考えた!(家族などで)集まって話してみる。テーマについて考える。
・やはり基本はつながりなんだ。
・やっぱり身近なところからしか守れない命。共助の心得は必要だな。
・地震防災のために人を巻き込むぞ。

◇ 担当へのフィードバック
・全体の流れを冒頭で紹介され,全体像が予め分かり参加しやすかった。
・アイスブレイクを宣言して行うか否かは効果と合わせて考えてみてほしい。
・アイスブレイクを二つ入れた意図がよく分からなかった。一つでよいと思う。
冒頭で大概の出身地を尋ねており重複感。
・目黒巻そのものに割く時間を長く欲しかった。記述内容を物語りにする(絵に浮かぶような)と効果的だと思う。
・「こわい」は担当メンバー間でも曖昧に使われている印象。深めておいて欲しかった。
・参加者の方に救われた最後のワークでした。
・この人数でよかった,次回期待しています。(内容は満足80点,進め方はやや40点)
・まりちゃんのアイスブレイクはすばらしい!
・HELPを求めた時,コンテンツのHELPか,プロセスのHELPなのか曖昧だったのは残念でした。
・持ち回り:幹事(担当?)が楽しそうでGOOD!
・時間的なスケジュールが共有できてたらBetter
・後半の「この時間はみんなでプロセスを考えて実行していきましょう!」でもよかったのでは?
・あまりプロセスを作り込みすぎないというのもドキドキしますが,まあありかなと思いました。
・最初の「目黒巻」で"やばい"ということは分かった。そのやばさをどう解決するのだろうと途中ものすごく不安でした。最終的にまとまりましたが,途中で「本来のテーマ」をちょいちょい確認するともっと良かったのかもしれませんが,非常に楽しく過ごせました。ありがとうございました。
・途中でどーなるかやーとドキドキしましたが,自分としては目標が達成できたし,気づきもありもありよかったです。ありがとうございました。
・具体的な情報(素材)を提供してもらえてよかった!!
・混沌部は提案に助けられたが,確かに距離はあってもムチャぶりでよかったかも。