第16回 :2005年1月15日 21 世紀の社会システム関西支部

第16回関西地区研究会議事録

■日時 :2005年1月15日(土)13:00〜17:00
■場所 :TSB
■参加者:
■担当 :瀬部 増馬
■テーマ: 21 世紀の社会システム
■ 講演:久 隆浩氏(近畿大学理工学部社会環境工学科助教授)


1. 20 世紀から 21 世紀へ

 現在は時代の転換期である。古代から現代までを遡ってみると、古代は「王の時代」、中世は「群雄割拠の時代」、近代は「市民の時代」と言える。古代は王の権威による秩序形成が行われ、中世は宗教の権威による秩序形成が行われ、近代は制度による秩序形成が行われてきた。その結果、合理性の追求がマニュアル化を生むことになる。制度への過度の依存が主体性の欠如へと導いた。

2.  制度の時代からコミュニケーションの時代へ

制度はみんなが遵守してこそ成り立つ。したがって平常時は制度が保たれるが、緊急時は保たれない。そして、制度による秩序維持の限界が見える。新たにコミュニケーションによる社会秩序の形成が必要となってくる。「制度の運用や利用に関する規則を学んで効率的に物事を考える進め方」を見直し、「複数の行為者間で相互に調整を行いながら物事をすすめること」が要請されるのである。制度や機構に寄りかからず、コミュニケーションを通じて関係をつくりかえていき、その危険性を回避せず、拒否せず、「近代」を組替えていくことが必要となった。

3.  ネットワーク社会への対応

「ツリー型、ピラミッド型の組織構造」を「ネットワーク型の組織構造」に変換することにより、「上意下達」から「水平の情報交換」が可能となる。そこで「組織に所属して仕事をする」ことから「仲間をつくって仕事をする」ことが求められる。組織が前提の活動展開が、目標共有によるタスク・フォース形成において、プラットフォームがつながりをつくり出す。

4.  創発システム

創発とは、各要素の振る舞いや機能の単純な重ね合わせでは理解できない、グローバルな全体としての振る舞いや機能が系によって自律的に生み出されることである。自律性の高い個が相互作用を行うことによって創発を生み出す。

5.  管理から支援へ

管理システムはあらかじめ与えられた目標を達成したり、既存の秩序を維持するには有効だが、新たな目標を探求したり、制度を変えたりする活動には向いていない。

   管理:多数の人間の活動を特定の目的のために結合することに
      よって目的を達成させようとする行為
   支援:他者の(意図的な)行為に働きかけて、その意図を理解し、
      その行為の質の改善や維持、あるいは行為の達成を
      めざす行為

6.  新たな社会システムとしてのファシリテーション

コミュニケーションの時代が到来した。そこでは水平なネットワーク型の組織構造が求められ、水平型のコミュニケーションの場としてのワークショップが存在する。その場では支援者としてのファシリテーターの存在が不可欠である。

久隆浩氏の講演は短時間にもかかわらず、体系的にファシリテーションをわかりやすく解説したものであった。

■ グループワーク
講演内容を受けて、 5 グループに分かれて、テーマ自由のグループワークを行った。模造紙やマジックなどの道具を使うことや着座状態、議論のプロセスに至るまで各グループで自由に設定してもらった。唯一決まっていたのは終わりの時間だけ。各グループの討論内容は、久氏の講演内容を振り返るものだったり、内容を深めて考察したり、キーワードを掘り下げて考えてみたりとさまざまなものになった。



21世紀型社会について・・・久先生 みんなで自由に話し合う