2015年3月14日(土) 関西支部イベント 分科会 #7関西支部

このページは、2015年3月14日に開催した関西支部イベントの分科会#7のレポートです。

分科会 #7: 加藤のファシグラをリアルタイムに観察する!

ファシグラは完成作品だけを眺めても見えてこないコツが色々あります。実際の模擬会議で加藤がホワイトボードを使ってファシリテーションするところを観ていただき(実はなかなか無い機会)、そこから皆さんがさらに腕前を上げるヒントを掴んでいただきたいと思います。


加藤 彰 / Akira Kato

【所属&役割】
株式会社日本総合研究所 総合研究部門 社会・産業デザイン事業部 ヘルスケアイノベーショングループ マネジャー

【経歴&活動分野】
大阪府在住。京都大学大学院工学研究科修了。(株)デンソーにて半導体研究従事後、(株)日本総合研究所にて経営コンサルティングに従事し、日々の業務でファシリテーションを活用している。企業での戦略策定、業務再構築、新規事業開発、人材育成がメイン。FAJフェロー。

【著書】
『ロジカル・ファシリテーション』 (PHP研究所)
『ファシリテーション・グラフィック』 (共著・日本経済新聞出版社)

【得意なこと】
文字情報満載のファシグラ。英文科学論文斜め読み。仏語。ケーキ作り。ピアノ。旨いお店の発掘。いじられること(Mキャラ)。

【苦手なこと】
スポーツ。暑さ。満員の電車・駅構内。遊園地などで並ぶこと。立食パーティー。長時間労働。重箱の隅に拘る論理派。

プログラム概要

【参加人数】 31名(会員17名 非会員14名)MFを含む

3回の模擬会議(1)-(3)を選出された4人が各18分で行い、その内容をF(=加藤)が模造紙にプロッキーでファシグラしながら進行。(1)でFのファシグラ進行を参加者全員で観察し、(2)(3)では参加者自身もファシグラ(レコーディング)。各模擬会議後、疑問・意見をシェアし、Fが答える時間を設けた。模擬会議の内容は以下の通り。
模擬会議(1) 『公立小学校の昼食はお弁当か給食か』(※報告者が模擬会議に参加)
:弁当派、給食派それぞれが意見を述べ、論点整理を行い結論に到達
模擬会議(2) 『サザエさん家族でローマ・パリ旅行に行った際のお土産係を誰にすべきか』
:サザエさん家確認/判断基準確認/メンバーを基準に基づき評価/結論、の手順で進行
模擬会議(3) 『日本のファシリテーターが世界に誇れるようなファシリテーションのアイディアを生み出していくには』
:ブレインストーミングで会議参加者が意見を述べていき、Fが意見をファシグラにより構造化

参加者のコメント

3通りの模擬会議を観察し、視覚的に議論を構図化し議論の促進を図ることの重要性が伝わってきました。例えば、(1)ではお弁当・給食・結論の3分割の構図を最初に前の模造紙に書くことで、議論の進行のイメージを会議参加者が共有できました。また、対となる意見がその構図に収まっていくことで、今、何を議論すべきかが視覚的にはっきりしたため、停滞がありませんでした。(2)も同様です。ただし、構図の配置や、より視覚的に分かり易いものにするためには事前の準備と経験を重ねる必要性を改めて感じました。また、プロッキーの色の使い分けも主題・本文・強調の基本3色に重ね塗り・アンダーライン等追加強調というルールが見えてきました。
(3)については私自身はファシグラを用いたブレストは初めて経験しました。(付箋で行ったことはありました。)付箋ブレストは慣れてしまうと意見を出すとそれ以上関与しないということがままありますが、ファシグラを用いると場の緊張感を保つことができ、興味深く観察していました。このケースでは、構造化するための切り口を思いつくことがFとしての実力だと感じましたが、もし切り口が見えてこない時に有効なのが午前中の全体会(大喜利)で話題になっていた「手許メモ」や「別のホワイトボード」という事だとつながりました。
ファシグラを用いて会議することの有効性を再確認できるよい機会となりました。

ファシリテーターのコメント

描いていく過程を観て、意見交換することは知的に楽しい作業でした。話し合いのどのタイミングでどこに何を描くか、ある瞬間に何を考えているのか、細かい裏事情を共有でき、今後のヒントになったと思います。
ただ、「何かを決める話し合い」を模擬会議の題材にしたため、ファシグラよりも合意形成の方法に皆さんの興味が向き、私の短時間での強引な誘導が疑問としてひっかかってしまった方も多いようでした。一方で、合意が形成されやすいファシグラ(例えば、反対意見も丁寧に扱ってもらえていると感じられる板面)もあるよねという感想も出てきてよかったです。
最後に、巧く見える字の書き方、といった基礎訓練はもっと必要だなあと実感しました。みんな、もっとお習字しろよな。

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