第29回 その1:2006年4月8日 「ファシリテーション」ってなあに関西支部

第29回関西地区研究会議事録 その1

日時:2006年4月8日(土)13:30〜17:00
場所:きらっ都プラザ京都産業会館 6F
参加者:30名
担当:西 空井
テーマ:「ファシリテーション」ってなあに
目 標:本を読んだり、話を聞いてもなんだかよくわからない。
「ファシリテーション」って、なんだろう。と思っている人に、

ファシリテーションを実感してもらう。

概要
【オリエンテーション】
 ・スタッフ紹介
 ・テーマの解説〜進行説明
【アイスブレイク】
 ・マッピングを使って小グループをつくり自己紹介
  このテーマを選んだ理由について共有
 ・バースデーサークルを使って大きな輪を作り場を和ませるゲームを行う
 ・簡単なアンケート(初めての参加者の数などを把握)
 ・グループ分け(初めての方とそれ以外で均等に振り分け)
4グループ
【セッション1】
 
テーマを決める話し合いとその観察
 ・観察者とそれ以外に別れ、観察者以外で話し合う。
 ・日頃の話し合いで抱えている「悩み」「困ったこと」の中から
  後半の話し合いのためのテーマをひとつ決定する。
  決定したテーマはA3用紙に書く。
 ・模造紙、ポストイットなどは自由に使ってよい。進め方も自由。
 ・各グループから3人の観察者を選ぶ(観察者A=2人 観察者B=1人)
 ・スタッフから観察者の心得を説明
   介入しない 内容に入込まない 感情を交えない 気持ちまで見つめる 
  観察者A
...話し合いを進めた良い発言や態度を記録する
  観察者B
...Aよりさらにテーブルを離れ、場を変化させたものを見つける
 
ふりかえり
 ・話し合いをふりかえります。
 ・まず参加者がそれぞれの話し合いの様子を「ふりかえりシート」に記入
  =「良くなかったこと」「足らなかったもの」はなんだったのかを考える。
 ・まず参加者が各自のふり返りを発表し、次に観察者からの報告を聞く。
 ・グループ内で質疑や意見交換を行って、ふりかえりを深める。
【休  憩】
【セッション2】
 
解決策を考える話し合いとその観察
 ・セッション1で出されたテーマについてグループで解決策を考える。
  解決策の中からこれは役立つと思われるものを3つ決めてA4用紙に記入
 ・セッション1と同様に3人の観察者を置いて話し合いを観察する。
  (人は入れ替える)
 
ふりかえり
 ・セッション1と同様に話し合いをふりかえる。
【全体のまとめとふりかえり】
 ・まず各自が二つのセッションをふり返り、感じたことをシートに記入
 ・各グループ内でふりかえりを発表し、意見交換してふりかえりを深める
 ・グループ代表を決め話し合いの結果とふりかえりについて全体で発表

このワークのねらいと事後評価 〜参加者の「ふりかえりシート」から〜

<<このワークの目的(持って帰ってほしかったもの)>>>>>は、以下の3点。

1.スキルとして説明できないスキルを実際の話し合いで感じてもらうこと
  本を読んだり説明を聞くだけではなかなか身につかないファシリテーション
  を実際に話し合いを深く見つめることで実感してほしい。
  特に、場を変化させるもの(=何気ない発言や態度、そしてその裏にある
  参加者の感情や人間関係など、説明の難しいもの)を感じてもらうこと。
2.「ファシリテーション」=「ファシリテーターだけの技術」ではないということ
  一人の参加者の発言や態度が場に影響するということ、すなわち
  ファシリテーションがファシリテーターだけのスキルではなく
  参加者一人一人が場づくりにかかわれるということを知ってもらう。
3.ふりかえりの大切さ
  日頃の話し合いの中でも多くの発見や気づきはあるのだが、実は見過ごされ
  消えてしまっていることが多い。ふりかえりを行うことで多くの気づきが
  あることを知ってもらいたい。

FAJ定例会でおこなう模擬的な討議ゆえに大きな揺らぎを期待するのは難しい
しかし、そんな中でも場に変化をもたらすいろいろな要素が存在することに
気づいてもらおうというのが今回の重要な目的のひとつでした。

<<全体的に>>>
全体的には場づくりの重要性を感じられた方がおおく、
今回のワークの基本的な目標は達成できたと思います。
 ・知っているとできるとは違う。実際にやることで気づくことがある。
 ・わからないことをわからないといえる場作りの大切さ
 ・話し合いの場の雰囲気の大切さ

<<4つのスキル(技術面)への気づき>>>>>>
実際には初めて参加するという方が多く、(30人中14人)
いわゆるファシリテーションの技術的な点を気づきに挙げられた方も多かった。
 ・会議で役割を分担したほうが結論を導くスピードが大きく上がる。
 ・書記を誰にするかは大問題   
  初動期に会議の土台を作っておくほうが良いと認識できた
 ・会社の会議に応用したい(時間の管理・発散と収束)
 ・ノートふせんなど、文具をうまく活用することが良かった。
 ・(自分に足らないのは)発散したものの関連付け

<<観察者からもたらされたもの>>>>
もちろんこちらの意図どおり観察者からの報告で新たな気づきを得られた方も多かった
 ・自分がどうであったか観察者から気づかされたこと(内容はヒミツ)。
 ・私のしゃべりすぎの態度、指示的な部分がでる姿勢がある。
 ・(うれしかったのは)ふり返りのときに自分自身の何気ないひと言や動きを
  ほめてもらえたこと。

これと同時に多くの方が観察者の視点の重要性を気づきや驚きとして挙げられています。
 ・観察することでポイントに気づきそれを生かせること
 ・会議の内の人間の感じ方と外から見ている印象は異なる
 ・客観的にワークを見る(観察する)と面白い(発見がある)
 ・ファシリテーションを学ぶアプローチとして観察者というスタンスを
  取らせるというメソッドはめちゃめちゃファシリテーションマインドを
  体験できた
 ・観察者と参加者の立場のちがいで全然見えている世界がちがうこと
 ・外から見たときにファシリテーターの役割について考えさせられた。

このワークは観察者の力量による部分も大きく、
 ・自分としては意見を考えていたのに観察者に「退屈そうに見えた」
  と言われたのが心外だった。観察者も難しいと感じた。
という意見もありました。

今回、観察者の心得として、「内容に入らない(聞かない)」ように
お願いしましたので、力量というよりもそのルールのせいが大きいと思いますが、
 ひとつは、見た目だけで人の内面を推し量ることの難しさ
 もうひとつは、自分はがんばって考えていても、人からはそう見られていない
 かも知れない(=雰囲気づくりという意味ではマイナス)
という2つの点で、観察者と被観察者それぞれに大きな気づきとなったのでは
ないでしょうか。

同様の気づきとして
 ・進行しながらメンバーの発言のみでなく表情で読み取る努力をする
 ・言葉に表れない意図を表情から汲み取ること
などを今後の努力目標としてあげた方がおられました。

<<今後の課題>>>>>
今回のワークについて、今後の参考になる意見も多数いただきました。
 ・このワークのねらいがイマイチわからない。でも応用できると感じた。
 ・テーマがあいまいな部分があった。
 ・もう少し、最初に解説がほしかったなぁと思います(初心者としては)
 ・最初に初心者のためにファシリテーションとは何かのサゼスチョンがほしい

確かに「ファシリテーション」ってなあに?というタイトルに対して
始めと終わりに何らかの整理がされるべきだったかもしれません。
(関西フォーラムでは、各自に「私にとってファシリテーションとは」
というテーマでふりかえりを書いていただいた)

特に、模擬的な話し合いのテーマが
「話し合いで抱えている悩みや困ったことの解決策を考える」
という、二重構造になっていることがワーク全体の目的をぼやかしているかもしれま
せん。

模擬的な話し合いのために、参加者全員がほぼ均等に熱意を持って
討議できるテーマを探すことがこのワークの今後のテーマのひとつです。

その他のご意見として、
 ・ふりかえりについてのアドバイスがほしかった。
 ・ホワイトボードを各テーブルの横に置いてほしかった。
なども、今後の参考にしたいと思います。

<<最後に>>>
このワークは、
本を読んだり、話を聞いてもなんだかよくわからない
「ファシリテーション」ってどんなんだろう
と思っている初級者?に、できるだけ実感してもらえる場をつくろう
と考えられたプログラムです。
しかし、ある程度経験を積んでスキルを身に付けた人にも
大変有効だと考えています。

・時々ファシリテーションの原点に戻ることが大切。
 初心に戻ることができてよかった。

というふりかえりがあったことは大変うれしい結果です。

実際の話し合いでは、もっと大きな揺らぎが起こり
収拾の難しい局面がいくつも発生します。
このワークがそういった深みまで扱うことができるようになればすごい(^.^)

                       
  日頃の話し合いでの悩みは?     話し合いを客観的に観察・記録

                                                      
  みんなで振り返ってみよう