第37回 その2 :2006年12月9日 「まち系」ってなぁに?関西支部

第37回関西地区研究会議事録 その2

■ 日時:2006年12月9日(土)13:30〜17:30
■ 場所:兵庫県中央労働センター301
■ 参加者:28名
■ 担当:西 堀 川端 加藤(まち系プロジェクト)
■ テーマ:「まち系」ってなぁに?
■ 目 標:
・「まち系」という領域でどのようなファシリテーションが行われているか事例から
 学ぶ
・参加者ひとりひとりの「まち系」とは何かを考えシェアすることで理解を深める。
■全体の流れ
13:30【オリエンテーション】
・テーマの解説〜進行説明
【アイスブレイク】
13:50【全体セッション1】事例報告
・津田弁護士(faj会員)からの報告
14:20【グループワーク1】
・グループ分け?
・事例報告を聞いて「?」「!」を考える
・グループで意見交換しいくつかの「?」「!」にまとめる
・発表
15:00【全体セッション2】
・津田さんを交えて意見交換する
15:20【休憩】
15:30【グループワーク2】
・グループ分け<2>
 パブリックへの関わりをテーマにポジショニングによってグループ分け
・参加者それぞれの身近な「まち系」を考える
・発表
16:20【ふりかえり】
・各自でのふりかえり(振り返りシート)
・グループ内でシェア
・全体へフィードバック

■概要
【オリエンテーション】
・テーマの解説〜進行説明
【アイスブレイク】
・「まち系」と聞いてイメージするもの・言葉をフリップに書き全員が発表
【全体セッション1】事例報告
・津田弁護士(faj会員)が係わってこられた3つの事例の報告
 事例?:宝塚逆瀬川の「斜面地開発反対運動」=勝訴だが代替案を示して開発
 は認めた
 事例?:奈良県真美ケ丘の「焼却場操業停止訴訟」=勝訴できたが和解へ転換
 事例?:奈良県大和郡山市の「屠殺場建設反対運動」=10年の戦い連戦連勝
 しかしついに施設は建つことに・・・→原告団の分裂
【グループワーク1】
・グループ分け<1>
 早起きサークルをつくり4つのグループに分かれた。
・事例報告を聞いて「?」「!」を考える
・グループで意見交換し3つの「?」「!」にまとめる
・発表
【セッション2】津田さんを交えて意見交換
 各グループから出された「?」「!」とそれに関する応答など
「ファシリテーターは誰だったの?」
「どういうFをしたのか?そこにFはあったのか?」
「住民とどのように関わったのか?」
・ ??は住民などの中にいた
・?は事実上津田さんがファシリテーター
・ギリギリまで我慢する=津田さんが決定するわけではない
・無理と分かっていても「やってみましょう」と言う
 =動いてくれる人だと分かってもらう
 =「それはダメ」と否定しないで、実際にやってみてダメだという現実に直面させる。            「長期間の闘争を持続させた秘訣は?」
・ 各人が自分の問題として取り扱うことなること←ファシリテーターの必要性
・自分の出せる資源を供出していくようにコーディネートが必要
・「認められる」こと
「抵抗勢力はなに?それにどう対応したの?」
・?:一番の抵抗勢力は内なる自分の常識=「それは無理やで・・・」
・?:気持ちよく勝ちたいと思う思い
・?:政治的な闘い
「課題が解決したあとコミユニティはどうなったの?」
・?=原告側(津田さん)の示した代替案で開発が行なわれた
・?=行政との間で定期的な協議を継続 地域共同体として機能している
・?=一部にしこりが残った 大多数にはやりきった感も コミュニティ活動にもつ
   ながった
「屠殺場の事例をもう一度やり直すとしたらどうする?」
・Nobody knows.
・建つと言う情勢になった時にどう対処するかを事前に想定し討議しておくだろう
「合意形成型提案がどのようにして出てきて受け入れられたのか?」
・津田さんがあらかじめ用意し議論に乗せた
・勝ち続けられるわけではない=相手もやめるわけにいかない
・受忍できる案を考えて逆提案する方がメリットが大きい
「屠殺場の建設が決定的になった時の絶対抵抗路線は10万人の合意形成が出来てる?」
・結局「これで行く」と言うことにはなったが、その後会長が離脱するなどいろいろあった。
「対立の中にいて疲れません?引き続き取り組んでいけるエネルギーはどこから?」
・プロ意識に支えられている
・信頼してくれた住民が津田さんを紹介し仕事を与えてくれる
「原告団(住民側)が分裂した時ひとつに導いた進め方は?」
・ひとつに導くのは無理
・キーとなる(=屋台骨を支える)人達に目線を合わせる
・?の事例では女性たちだったがうまくは行かなかった
「なぜ裁判は時間がかかるの?」

【休憩】
【グループワーク2】
・グループ分け<2>
 パブリックへの関わりをテーマにポジショニングによってグループ分け
 「まち系」という言葉で表されるパブリックへのかかわりを持つ活動について
 「興味がある」⇔「興味がない」 「経験がある」⇔「経験がない」の2軸でフィー
 ルドをつくり
ポジショニングして4グループに分かれた。
・参加者それぞれの身近な「まち系」を考えるダイアログを行なった
・各グループでの話し合いについて発表
【ふりかえり】
・各自でのふりかえり(「ふりかえりシート」に記入)
・グループ内でシェア
・全体へフィードバック
【津田弁護士のコメント】
・2項対立を超える真の解決へ向かえるかどうかがひとつの鍵
・「私の利害」を越えて「公共的価値の共有」こそが真の社会的解決であると言うと
 ころへ到達できることが命題
・もしもプロセスへの満足が獲得できれば、負けてもコミュニティは残り、リーダー
 への尊敬が現れる
・コミュニティの形成プロセスに関われることが(弁護士という)立場を越えて喜び
 を感じる。

■この定例会のねらいと事後評価 〜参加者の「ふりかえりシート」から〜
今回のテーマは「まち系」と呼ばれる活動領域で、どのようにファシリテーションが
機能し、また今後どのように発展していくべきかを研究し、提言するプロジェクトの
一環です。
今回は特にFAJ会員でもある津田弁護士にご登壇いただき、生々しい(=極端で分か
りやすい)住民運動の事例をもとに議論し、後半ではどんな人にも内在すると思われ
る社会的課題とのかかわりを掘り下げることで「まち系」とは何かを考えるワークを
行ないました。

ふりかえりからいくつかの言葉を拾ってみます。
まず、津田弁護士の報告に感動し、その手法や方向性に共感を覚えた方多かったよう
です。
・こういう弁護士がいるのに驚いた。
・弁護士でこういう関わり方が生きるのに驚いた。
・津田さんのプレゼンに感動した。特に自己組織化の起こるようなファシリテーション。                                               眼前の問題をより広い視点からの大きな課題にreframingするアプローチが素晴らし                        いと思いました。
・気づいたこと=「勝つ」のイメージ、真の課題解決をすることが大切。
・学んだこと=真に勝つことの意味
・どこの場でもひとりひとりが自分ごととしてとらえなければ進まない。
・最終のゴールはwin−winの関係ということが「まち系」でもそうだった。
・ビジネスの場でもまちづくりの場でもファシリテーションのスキルは同じ
・学んだこと=世間の常識と個人の感覚のギャップを埋めるという視点。
・ひとりひとりと向き合う事と、全体と関わる「まち系」のベーシックさと大胆でダイナ                         ミックな動きを学び取り入れたい。
・住民の中でワークをする際のヒントを得た=目線とか、とことん自分たちでやって
もらうとか...
・気づいたこと=ゴールをひとつに勝手に決めない。大きな広い価値観から落とす。
また、グループワークの中で自分とまちとのかかわりを強く意識された方もいました。
・ 自分の「身の丈」で関わっていけたらいいなぁと思う。
・私の住んでいるまちのことをあらためて考えた。
・自分の「関わりたくない」態度が強くあることに気付いた。
・第3者的に関わることは興味があるが、自分のまちづくりには主体的に関わろうと
しない自分がいる・・・なぜだろう?
・関わりたくないのは関わった結果や経験が良くなかったから。
・私のグループでは「まちづくり」に関わった人はみんないい思い出・経験がなかった。
・うれしかったこと=同じような経験をした人がいること。
今回の議論がさまざまな立場から多くの視点を与え深い議論ができたと感じ取れる記
述もありました。
・ 「まち系」でもボランティア系、自治会系など、考え方や行動が違うことを教わった。
・仕事として関わるときに「自分の想い」と「求められるもの」をどうするのかそこ
が勝負・・・でも金はついてまわるよね...
・もう少し深掘りしたかった。
・時間が足らない。
・もう少し議論したかった。
・FAJは安全で自由に発言できる場が確保されていることがうれしかった。
・まち系の定義が分からなくなった。
・居心地の良さでコミュニティーが形成されるかな?生身の人間対人間の関わりがまち系
・人と人、地域と地域、つながりがどんどん増えると争いがなくなっていくのでは?
幸せな世界になるのでは、と思いました。
・まち系とは人と人とのかかわりあいでは?と思いました。

現代社会では「関わろうとしない」人が増えています。極論ですが、金と弁護士(弁
護士批判ではありません:念のため)に任せて自らは関係を取り結ぼうとしないのです。
しかしそれを単におかしい!と切り捨てるだけでは前に進むことはできません。今回
のふりかえりでもあげられたように、誰の内側にも「関わりたくない」自分がいるはずです。
今回の定例会の重要な目標は「関わりたくない」自分に気づいてもらうことだったか
もしれません。

次のテーマは「関わりたくないのはなぜか?そこにファシリテーションはどう関わる
ことができるのか?」
乞うご期待(^^♪

                                            今日はいわゆる「まち系」について考えてみます。                                                                                      「まち系」の津田弁護士による興味深い事例をみんなで考える                                                                                         「まち系」ってどんなもの?       恒例の忘年会&ルミナリエ!