第48回 その2 :2007年12月8日 「質問」ってな〜に?関西支部

第48回関西支部定例会報告 その2

 

■タイトル「質問」ってな〜に?
■日時 2007年12月8日
■場所 兵庫県神戸市 BBプラザ
■担当 竹ノ内、小寺、森田、三浦、舟橋、信川
■参加人数 29名(担当者含む)
■概要

   停滞していた話し合いが一つの「質問」で活性化する。そんな経験はあ

   りませんか?そんな「良い質問」をどうすれば作ることができるのだろう?

   今回の定例会ではそんな「良い質問とは?」といテーマをみなさんと一

   緒に考えてみたいと思います。
■目次

  ?背景(チームの発足、準備会議の経緯)
  ?当日のプログラムについて
     ・オープニング
     ・自己紹介・グループ分け
     ・質問要素出し、○ヶ条を考える
     ・もっと質問の要素を深めよう
     ・全体共有(日常ノ仕組ミと共有)
  ?担当者の感想

  ?背景
 ・チーム発足について
 ファシリテーションチームと定例会テーマが生まれたの
は、関西支部2006

 年度12 月例会テーマの「縁日屋台ワーク〜ファシリテーションでもうける

 会社をキョウソウ(競争と協創)しよう〜」で、アイスブレークとして「感動イン

  タビュー」を行ったことがきっかけでした。あまり話をしたことのない人とペア

  になり、「最近感動したことは?」との質問をするというものでした。準備会
  でこの部分を話し合った際、「質問」の面白さと大切さに気づき、これはまた

  別の機会に、このチームでやろうということになりました。2007 年1 月定例

 会で、その年のテーマの一つとして、質問力に関するものがあがり、2月定

 例会の後の泡会で、縁日屋台チームメンバーに加えて、質問力に興味のあ

 るメンバーを加えた合同チームが例会を担当することとなりました。 

 

 ・準備会議における主な議論
 当初、定例会の方向として、コミュニケーション系vsビジネス系で意見が分

 かれた。結局、道場というようなスキルアップを目指すのではなく研究会とし、

 明日から使える質問とよい質問を考えるコツを持って帰ってもらう事となった。

 

 ・プログラムの概要
 グランドルールとして、ねらいを常に意識することで、質問力に対する感覚が

 とぎすまされて、研究を深めることができるのではと考えた。
 もうひとつ、「いい質問とは?」に対する、思い浮かぶアンサーを、100 個

 ぐらい、羅列しておく。正解はないのだけど、参加者の頭がこれでほぐれ、

 持って帰れる。コミュニケーション系についての話の中で「偏愛マップ」をワー

 クで使う提案があったが、質問力とは別のワークにした方が良いということに

 なった。そこで、実際にメンバーに3 分間で記憶に残るよい質問を書き出して

 もらうと、結構多くの質問がでた。

 

 ・プログラムの内容
  1.「あなたの記憶に残るよい質問は?」
   ・紙に書いて一人ずつ発表してもらう
   ・気に入った(ピピっときた)人同士で班を作ってもらう)
  2.「よい質問を作るための○箇条は?」
   ・それぞれのよい質問の背景を説明し、よい質問の要素出しをして、○箇条

    を作ってもらう(以下どちらで進めるのかはこれから検討)
  3−1「その○箇条でよい質問が作れますか?」
   ・敢えてこちらからダメ出しすることでもっと深いところまで考えてもらう
   ・(要検討)誰がこのダメ出しをするのか→キャラ的に舟橋さんが良いとの

    意見があった。ただし、当日不参加の可能性あるため継続検討。
  3−2「どうすればよい質問を作る能力が身につくでしょう?」

 ・その他
  深めるワークの切り札として出た案は、【聴き手】【話し手】【観察者】の3人で、

  「今の私にとって、質問ってな〜に」を語ってもらうというもの。
  1セット5分 × 3回+ ふりかえり。聴き手は、あらかじめ○ヶ条を参考にmy

  質問スタイルを設定し、質問に臨みます。役割が一巡したら、その3人で気づき
  を語り合ってもらう事とした。

 ・直前のプログラム変更
  1グループ6名を想定していたプログラムであったが、参加者30名であれば、

  1グループ4名のほうが、深い議論が出来るのではないかということで、変更し、

  変更に伴う部分においては、臨機応変に対応することになった。

  <リーダーを選任>
  <タイトルを決める>
  各自タイトル案を出し検討する→『「質問」ってな〜に?』になる。
  <告知文を決め発信>
  <プログラムの再検討>
  具体的なタイムテーブルに組み込まれていくうちに、色々な案が出てきた。 
  3−1で実際に質問を作ってもらって、これを、XX 箇条をつくったあとにやってみ

  て、これが使えるかの検証をしてみる。たぶん、うまくいかないかもしれないけど、
  かえって、「ホンマ?」につながるのでは。しかしながら、かなり細かな条件設定

  をしなければならないので、現実的でない。ロールプレイも然り。そこで、最終的

  に論議を深めてもらうために、ワールドカフェ方式で進めていく案が出た。ワール

  ドカフェ方式は、プログラム上余裕のないことが分かり断念した。

  

  ?当日のプログラム(時系列順)
  オープニング(担当:竹ノ内)

   最初に、答えを用意しているのではなく、研究の場としたいことを述べ、「どう

   やったらいい質問ができるようになるか何か条をつくる」というのを、グループの

   到達目標として進めてもらうことを説明した。この時点では、「何箇条」をつくっ

   たあとについては、どのような仕掛けがあるのかはあえてふれなかった。

   そして、「記憶に残っている良い質問とは」についてあらかじめ、F チームが用

   意したものを、メンバーの自己紹介と最初のワークの実演説明をかねて、披露。
   あげられたものは、「元気か?食べているか?お金あるか?」「で?」「たどりつ

   いたかどうか、どうやって確かめるのですか?」「なんのために生まれて、なに

   をして生きるのか?」「言われて嬉しい言葉は?」「好みのタイプは?(異性から

   の質問)」など、その状況も違い、多様性に富んだものでした。


  ワーク1(担当:三浦)

   担当者による例示のあと、各参加者に「記憶に残っている良い質問」1 つをA4

   用紙に記入、口頭で状況説明をしてもらいました。様々な年齢、立場の方から

   多様な質問が紹介されました。全員分が紹介された後、各自が自分の紙を持っ

   て会場を動き回りお互いの質問を見くらべあい、“ピン”ときた者同士で4 人組を

   つくってもらいました。質問例は「君はどう思うの?」「他にはもうない?」「またメー
   ルしてもいい? (異性より)」「食べられないものは?」「最高ですか? 」「愛とは

   何?」「そんなこと言ってて面白い?」「本当にそう想う? 」「君はモノを創りたい

   の?人を創りたいの? 」「それは理由になっているか? 」「これをする目的は

   何?」「で…儲かるの?」など
   <担当者感想>
   担当者が用紙を回収して読み上げてから、本人に説明をしてもらったので、この

   質問はどんな人が書いたのだろう?という要素も加わり、アイスブレーク効果も

   あったかと思います。読み上げる間合いや口調の工夫にもなって面白い体験で

   した。この時点でファシリテーション的質問に限らない例が出てきたことが、後の

   議論の活性化と混乱とにつながったと思います。

  

  ワーク2(担当:信川)

   良い質問の「要素」とは?→「良い質問を作るための○ヶ条」を作った。4人1グ

   ループ(赤色、青色、緑色、黒色、紫色、茶色の6グループ)で、いい質問にはど

   のような要素があるのか、話し合ってもらった。抽出された要素を基に、良い質

   問を作るためには「〜するべし」というような、「良い質問を作るための○箇条」を

    作ってもらった。休憩を挟み、グループで出たアイデアをそれぞれ発表、全体で

   共有した。発表後、会場前方に用意したパネルにA4 用紙を貼ってもらった。グ

   ループ発表が終わった後、前に張られた用紙を自由に閲覧したり、話し合ったり

   する時間を設けた。
   <担当者感想>
   要素を考えるワークがスタートしてしばらく、参加者は混乱ぎみだったように感じ

   られた。ワーク内容の説明不足に問題があったと思われる。グループごとに発

   表内容は様々だった。紙芝居形式で簡潔に発表したチームや、片や「そもそも

   質問とは何か」、というテーマで深く話し合っていたグループもあった。参加者は、

   もやもやした感情を抱きながらも、全体発表の際の質疑応答でヒートアップする

   など、頭に汗をかきながら質問について熟考していたようである。

 

  ワーク3(担当:小寺)

   “もっと質問の要素を深めよう!”というコンセプトのもと、前のパートで出した

   「良い質問をつくるための○ヶ条」が本当に現場で使えるものなのかどうか、上

   滑りしてないものか、を再検証する。その上で、実践できる良い質問のつくり方を

   見つける時間。

    <予定の手順>
  1 質問の要素をもっと深めて欲しいことを伝える。
  2 どうすればその要素が深まるのか?どんな風に深めたいのか?を参加者に問

      いかける。
    3 なかなかやり方が出ない場合はやり方のアイディアを提示する。
    4 3人組をつくり「良い質問をつくるための○箇条」を実践してみる。
    5 グループごとにもう1度話し合ってみる全体で話し合ってみる。等々
    6 個人・グループ・全体それぞれ場に適した規模で質問の要素を深め、全体との

      共有を繰り返す。
    7 時間と相談しながらワークの終わり方をみんなで探る。

   <実際の手順>
    1 「良い質問をつくるための○ヶ条」をしばらく眺め、全体で共有する。

    2 質問の要素をもっと深めて欲しいことを伝える。
    3 「良い質問をつくるための○ヶ条」に対して質問と応答と議論が全体で起こる。
    4 模造紙に議論の流れをグラフィカルに記入していく。
    5 「良い質問をつくるための○ヶ条」の前に「良い質問」に話題が集中する。
    6 この話題のまま全体で議論を進めていいかどうかの了解を簡単にとる。
    7 「良い質問とは?」「質問の種類」「そもそも質問とは?」等の議論が全体で進む。

  

  アウトプット議論を通して生まれたアイディアや新しい視点(一部)
  ・質問には制約が明示された方がいいのか?(良い質問に制約はどの程度必要か?)
  ・質問は3種類ある⇒ 答えを求める、引き出す質問/気づきを与える質問/意図を

   伝える質問
  ・疑問なのか主張なのか?/相手に変容を求めるのか求めないのか?の2 軸での

   4 つの質問タイプ
 

  全体振り返り (担当:森田)

     いつものような、その時のワークショップで得たものをシェアしましょうという振り

     返りではなく、プログラムの振り返りになりました。全体でのシェアをする時間で

     したが、プログラムの意図開きをしました。そうすることで、より深堀がなされる
     のではないかと考えてのことでしたが、皆さんのもやもや感にまた火をつけたよう

     です。全体として、ワークに参加したメンバーからファシリテーターに質問する形式

     で進められました。終盤の場でダイナミックな動きが起こったことについては想定外

     でした。むしろ、深堀するグループがなかったときのために、別の方法も用意してい

     たのですから。質問についてのシェアーは、出来ませんでしたが、一味違った振り

     返りとなりました。

 

  ?担当者からの一言
    ■三浦
      質問という大きな分野をテーマとしたので、プログラムの筋道をはっきりとはつけ

      ず、参加者にゆだねる部分が大きくなりました。プログラム進行設定を、収束を早
      めに無理やり行って、そこからのブレークスルーを期待するという進行にしたため、

      普段とは異なったダイナミックな後半となったと思います。今回の設定から生まれ
      た気づきと困惑を、今後のワークショップづくりに反映したいです。

    ■信川
      今回のワークは、「質問」の奥深さを再認識してもらうというのが一つの狙いでした。

      一応狙い通りの結果は得られたものの、ワーク中に我々ファシリテーターの介入
      が不足気味だった場面もあり、参加者にもやもやした感情を与えすぎたという点

      では反省しなければならないと思っています。あのような、混沌とした場でも気丈

      にファシリテートできるようになるのが今後の個人的な課題です。参加してくださっ

      たみなさん、ありがとうございました。

    ■森田
      今回はじめてワーク作りに参加させていただきました。ワークショップの参加とは

      ちがい、アイデアの発散・収束のなかで、切り捨てられていった考えも、無駄では

      なくて積み上げられていくのだと強く感じたしだいです。また、打ち合わせを重ね

      る中で、多くのことが得られ、有意義な時間を持ててよかったと思います。また、

      サポートしてくださった方々には、最大限の感謝をしたいと思います。ありがとうご

      ざいました。

    ■竹ノ内
      開催の1ヶ月前からの準備開始、それも担当チーム6名、例会直後の振り返りを

      含めて、計10回のミィーティング、また専用のメーリングリストも立ち上げて、150

      通あまりの交信ということで、短期集中での準備でした。この報告書の作成も協

      働作業で時間はかかりましたが、すべてのプロセスにおいて焦ることなく、場を味 
      わい、議論を深めることができたと感じています。例会当日、場のコントロールに

      おいては、自分自身のエネルギーが不足していた面は否めないと思います。
      チームでつくる過程でも、ワークの最中も、意外性のドラマがありました。「質問

      (力)」そのものについては、ワークを作る過程でずっと考え続けた結果、「問いを

      発することで、その置かれた状況での所要目的(あるべき姿)に近づくのだ!」と

      いう意識を常にもつことの大切さ、今、感じています。

    ■舟橋
      私は残念ながら当日は参加できませんでしたが、企画を進めていく中で「質問」

      というテーマに対して実にいろんな観点があるのだという事を考える良い機会と

      なりました。
      また、「質問力」というものは一朝一夕に身に付くものではなく普段の観点や考

      え方を磨き、積み重ねていくことで身に付くものなのだという事も改めて感じるこ

      とができました。
      企画者としては今回の企画に参加して頂いた方が「質問」という言葉を改めて

      考えるきっかけになったのであればうれしいのですが、いかがだったでしょうか。
      このテーマは広く深いのでまた機会があれば定例会のネタとして取り上げても

      らってもよいなと思います。

    ■小寺
      今回の定例会づくりには、メンバー個々が「質問」についてどうすれば深く考え

      合える場ができるかを一切の妥協をせずに突き詰めていったという印象を個人

      的に感じています。ワークのテーマ設定が無限大にあれば、1 つテーマに絞っ

      た後もワークの手順・方法等も無限大。そんな無数のアイディアの中から、安

      易に1 つのアイディアに留まらず「もっと良いものはないのか」と時には対立し、

      時にはアイディアを統合させてつくってきた定例会だったように思います。
      大きな反省点を1 つ挙げれば、各々のファシリテーションスタイルの共有不足

      があったように思います。たしか舟橋さんがご提案してくださった「準備時にファ

      シリテーションの姿勢を認識し合っていた方が良い」の本当の意味を、定例会

      後に納得しました。どこまで参加者に任せるのか、どこまでファシリテーターと

      して介入するのか、企画メンバーそれぞれのスタイル・姿勢を理解し合い、そ

      の上で納得し合った上で、参加者に伝えるプロセスをつくるべきだったように

      感じています。最後になりましたが、参加してくださった皆様、会場を準備して

    くださった方、定例会を陰ながら支えてくださった方、そして企画を一緒にやっ

   てきたメンバーの皆様に感謝。ありがとうございました