第88回関西支部定例会報告
日 時: | 2011年7月9日(土)13:00〜16:30 |
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場 所: | 西宮市民会館 (アミティホール) |
ファシリテーター: | メイン 川端さん(関西支部) サブ せべさん(関西支部) サブ おかじゅんさん(関西支部) サブ 河田(関西支部) |
テーマ | |
裏付けを先に出してどうするんだ! | |
内 容 |
■概要:
◇ワークに入る前に、オリエンテーションを兼ねた、対立、葛藤、合意形成についての説明を行う。
◇グループ分け 11人×3グループに分かれる
◇アイスブレイク〜 紙をちぎる
◇ワークの説明
◇各チームでの話し合い(1回目)
◇1回目のワーク
◇各チームでの振り返り
◇全体での振り返り
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◇各チームでの話し合い(2回目)
◇2回目のワーク(リターン・マッチ)
◇全体の振り返り
◇絵本を使ったクロージング
■MF 川端さんの振り返り:
このワークでは、それぞれが潜在意識の中の深い所にある価値観を引き出し、人との対立だけではなく、自分との葛藤をも表出させます。 その意味で、スキル の獲得という目標ではなく、自分自身のファシリテーターとしてのあり方が大きく問われるものです。
その内容も、プログラムデザインもシンプルに構成しているだけに、対立することをダイレクトに体験できるようにしてあります。 今回のワークの目標は、スキルを獲得してスッキリ!というものではなく、なぜ自分はそのような言動をしたのか(あるいはなぜしなかったのか)、 自分でもモヤモヤする内面の葛藤と、他者とぶつかることで生まれる対立の感覚を得ることです。
それは、合意形成できなかった未完了で混沌とした感覚や感情を言語化し行動するエネルギーに変えて、しっかりと今後の現場に活かすことをめざしているからです。 この獲得目標のため、シンプルな構成とはいえ、仕掛けをたくさん入れています。
また、ワークの冒頭に、葛藤、価値観、変化、対立についての定義と考え方を説明し、特に対立については、”ワクワクするような肯定的なものとしてとらえ、” いい子ちゃん対応にはならないようにと前提条件を作りました。
クロージングには、目先の物事にはそれを覆う枠組みがあり、さらにそれにはまたそれを覆う枠組みがあること、 (目的の上にはさらに大きな目的がある)対立を高い視点でとらえることを、対立解消のメタファーしてとらえてもらえればと絵本を使いました。
プログラムデザイン上、改善点があるとすれば、”対立”をもっと深くとらえ、さらに参加者一人ひとりの内面に切り込んでいく発問⇔応答の時間と、 個人対個人の対立を引き出すまでの時間が足りなかった(全体ふりかえりはあと 1時間は必要?)ことです。今後の検討課題にしたいと考えます。
ワークの結果として、結果関西では 3度目となるこのワークの中でも、最も対立を恐れ、”小さくまとまる”傾向の人が多く見受けられました。
いい子ちゃん、優等生の経験と感性を持った人が現在の会員の傾向とでも言ってもいいのかもしれません。 具体的には、”既得権益”を手にして安心したため動かなかった、という事後の感想があったり、ワークの中では、 小さく”合意形成”されたチームの結果に対して、「おもんない!ちっこい!」と投げかけた私の言葉に対して、 ファシリテーター(私)を敵対視することで、チームの”合意”の確認とチームのまとまりを作ろうとする行動があったりしました。 これは、ファシリテーションがめざす本来の”合意形成”の本質に視点を向けることができない対応だと私はとらえています。
また、「チームの合意形成が一番良いと判断されたチームには一等賞の商品を!」というゲーム的な競争を入れたことで、 自分のチームのみが”勝てばいい”という思い込みがあったのでしょうか、合意形成を”交渉”と言い、 win&win を”勝ち負け”という言葉に置き換えてしまうような言動もまた、結果として、大きな視点で合意形成をすることなく、 対立を恐れる近視眼的な結果も作り出しました。FAJはNPOなんだから(ビジネスをしているわけではないのですから)、 もっと”大人の遊び”をして欲しかった、自分のいつもの枠組みではなく、遊び心を持ってもっとダイナミックな発想と行動をして欲しかった、 というのが一番の感想です。
こうした、小さくまとまる合意形成という結果にはなりましたが、参加されたみなさんそれぞれが、得られたことは今後大きな意味を持つものとなるでしょう。 泡の会で「対立は愛」ですね、という感想を言われたことも、ファシリテーターの本質をとらえられた素晴らしい意見としてご紹介しておきます。
また、今回一緒に担当してくださったチームのメンバーからは、今後、FAJ全体の組織運営に置いて課題となるであろう「ジェンダー問題」についての指摘もありました。 対立を超えて合意形成する、というファシリテーションの目的を達成しようとすると”組織とジェンダー”という大きな命題があります。 そこ働きかける一つのきっかけとなったワークであったことも担当者にとっては大きな意味がありました。
最後に、このワークを通じて、それぞれが得られたことを通じて、それぞれがFAJという大人の遊び場をみんなでもっと楽しみ、 同時に自分のファシリテーターあり方について考えるきっかけとなっていただけることを願うばかりです。
みなさん、これからも「対立を楽しもう!」
■参加者コメント: