第99回 7月定例会「学習する組織入門〜「ビールゲーム」をやってみよう」関西支部

第99回7月定例会報告

日時

7月14日(土) 12:00〜16:45

場所

尼崎労働福祉会館中ホール

テーマ名

『学習する組織入門〜「ビールゲーム」をやってみよう』

ファシリテーター

小田理一郎さん
荒金雅子(FAJ会員),
赤木 孝一さん,
石橋三喜子さん,
武田由利子さん

<告知文>
"今回は、学習する組織の翻訳者でもありシステム思考推進の第一人者、(有)
チェンジ・エージェント代表の小田理一郎さんをお招きしての、システム思考体
験ワークショップです。

このワークは、「ビールゲーム」というサプライチェーン・マネジメントの戦略
演習を体験し、その振り返りを通じて「学習する組織」の基本についてを一緒に
考えることを目的にしています。

「ビールゲーム」は1950年代後半に米国MITで開発され、システムの複雑性
を理解するために、欧米のさまざまな企業、大学、政府組織などで活用されてき
たボードゲームです。(プログラム中ビールは飲みませんのでご安心を!)

「学習する組織」を提唱し、世界中で実践をすすめるピーター・センゲ氏も、
著書の「学習する組織〜システム思考で未来を創造する」で紹介しており、組織
開発や人材開発プログラムの定番となっています。

学習、実際の状況下での自分自身の行動や思考を振り返るのが効果的ですが、
ビールゲームは、まさに自分や組織の思考を「見える化」させる有効なツールな
のです。

「学習する組織を知らない方も、システム思考って難しそう!と思っている方も
ゲームを体験していただくことできっといろんな気づきをお持ち帰りいただける
でしょう。


<プログラム概要>
1.導入/チェックイン
<自己紹介>
「今日終わったときにどのようになっていたいか」
<アイスブレイク:自分の思い込み・メンタルモデルに気づくワーク>
・指相撲
・ビデオ演習

2.経営戦略演習「ビールゲーム」の体験
「ビールゲーム」実施
ビールの販売を、
小売店、二次卸、一次卸、工場の各工程に分かれて、
SCMの経営戦略ゲームを実施。
問い「ゲームを行って感じたこと、考えたことは?」
->各工程の在庫数・受注残、発注数をみて、
起きていることやゲーム中に感じたことを共有。

3.経営戦略演習の振り返り
グループで振り返り
問い「各工程でどのようなことが起きていたか?」
順位発表
問い「目的・コストを最小限にすること」に対し、成功したといえるのか?
問い「何が起こったのか?(事業の側面)」
問い「何が起こったのか?(人の心のなかで起きたこと)」

4.まとめ/チェックアウト
個別振り返り後、グループで振り返り
問い「どのような気づき、学びがありましたか?」

<担当者振り返り>
ビールゲームは、表面には現れない組織や自分自身の奥底に潜む
メンタルモデル(思考のクセ・認知的枠組み)を見える化し、
プロセスにおいて起こる様々な変化を観察し、そこから学びを深めるゲームです。

総勢80名10グループがワークに取り組む姿は壮観。
メインファシリテーターの小田さんは、
国内外で数々のビールゲームを実施されてきましたが
これだけの規模のワークは日本では初めての経験、ということでしたが、
さすがFAJのメンバー。
ゲームの進め方については理解が早く、大きな混乱もなく無事終了。
優勝チームには、小田さんから賞品としてマイ箸のプレゼントがありました。

このゲームは終わった後でチーム全体でかかったコストを計算し、
在庫と受注残を計算し、総コストが最も少ないチームが勝ちとなります。

未経験者が多いチームが優勝し、経験者チームが最下位になる波乱もあり
参加した方にはそれぞれに多くの学びがあったようです。

ファシリテーターだからこそ、組織の中にあるメンタルモデルやシステム思考に
は敏感でありたいですね。
人数が多かったこともあり、終了後の振り返りが十分でないことを小田さんも
残念がっていました。
今後も、是非継続してこのような機会をもうけ、メンタルモデルやシステム思考、
学習する組織への研鑽を深めていきたいと感じました。

ご参加頂いた皆様、今回サポート頂いた皆様
どうもありがとうございました。

以下に参加者の感想をご紹介します。
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<参加者コメント>
○メッセージは受け取る側が取捨選択してしまうということがわかった
○慎重すぎて全体最適化に目が行かなかった
○目先や先入観にとらわれて、目的やルールが頭から消えてしまっていた

○6週間も工場稼動をストップさせるな!ってキレまくってしまいました。
臨場感がたっぷり味わえるのが持ち味の良いワークでした。
振り返りの時間もっとほしかったなあ。
工場、一次卸、二次卸、小売毎のグループで振り返りをして、
全体シェアするのもリアルな感じがでるように思えます。

○メンタルモデルはなかなか変えられるもの。以前経験があり、同じ2次卸をし
たのに(したから?)、
やっぱりはまってしまうところが、楽しいとさえ感じました(苦笑)。
そして、振り返りのときの「・・・のはず」「まさかそんなことはないだろう」
といった発言。
憶測が判断の中心になっているところなんか、リアルの世界とおんなじだと改め
て感じました。

○自分の組織だと、どうしても守りに入ったり、経験的に身についたことを絶対
的な前提にしてしまい、
自分の見方を捨てられない自分に気づけないことが多いな...と感じていましす。
理論を学び、組織を離れて疑似体験する機会を持てると、
実践の中で見逃していたことにハッと気づいて素直に反省できるような気がしま
す。
システム思考、もっとたくたん体験しながら学んでいきたいです。

○疑似体験をすることで、そのあとの、理論の学び、そして、実践に使っていこ
うというモチベーション、ぐっと高まりました。

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文責:コーディネーター 荒金雅子