□□ 2007年10月度定例会議事録 □□
■ 日 時:2007年10月6日(土)13:05〜17:35
■ 会 場:サンライトビル9F 西日本リビング新聞社本社 アビリティルーム
■ テーマ:事件は現場で起きている!ワークショップの現場検証へ急行せよ!
■ ねらい:ワークショップの現場で起こった現実をつぶさに検証し、問題の
原因を具体的に出来るだけ深く掘り下げ、参加者全員で解決策を
捻り出す。
■ 担当ファシリテーター:山口覚さん
話題提供者 辻桂子さん、横谷ひろみさん
■ 参加者:34人
■ 会場セッティング
島型に6つのグループを作る。壁一面には広用紙を貼り、出た意見を書き出す。
ホワイトボード1台、BGM(踊る大捜査線)
■ 進行プラン
● 導入(15分)
13:00 今日の進行、話題提供者の自己紹介
13:05 アイスブレイク
● 第1部(90分)
「ファシリテーターはじめの一歩。現場に潜む成功と失敗の芽を共有しよう」
話題提供:横谷さん
13:20
○班分け
○インタビュー(15分)
○グループでの話し合い(15分)
○グループ単位の発表・全体意見交換(45分〜60分)
<休憩10分>
● 第2部(90分)
「ファシの中立性について深〜く考えよう」
話題提供:辻さん
14:50
○班分け
○インタビュー(15分)
○質問タイム
○グループでの話し合い(15分)
○グループ単位の発表・全体意見交換(45分〜60分)
<休憩10分>
● 第三部(0分〜30分:クッションタイム:時間が無いときはキャンセル)
● 振り返り
16:40〜17:00頃まで(時間が許すまで)
■ 内容:各ワークなどの詳細、発表された意見など
● アイスブレイク
○人間アンケート
・島状に並べた机ごとに選択肢の用紙をおいて、当てはまる答えの机に分かれる。
「例会に出席した目的は」「何を得て帰りたいか」
○バースディライン(例会への参加回数順に並ぶ)
○初参加者の自己紹介
● 話題1『踏み出した第一歩。失敗と成功の分かれ目が見えた!・・・かも。』
発表者:横谷さん
○ ファシリテーターが示した次の4つのテーマについて、
自分が話し合いたいテーマごとにグループに分かれる。
? ファシリテーションを現場に持ち込む時の壁って何?
? 現場で失敗しがちなことって何?(事前準備など)
? 私だけが実行しているファシリテーションの法則・方法
? 現場で経験したヒヤリ・ハット
○ インタビュア辻さんによる、横谷さんへの15分間のインタビュー。
≪成功事例≫
・70歳以上の方がほとんどのボランティアグループで、メタボリック
シンドロームについてのワークをおこなった。
・アイスブレイクでは、一体感を感じる体感系のものを「ゲーム」として
取り入れる。
・保健師の話は原因追求型。脅しで入ることが多いが、「なぜ今元気に
いられるのか」という肯定的なテーマでアプローチ。
・いつも顔をあわせるメンバーなのに、健康について初めてじっくり
話せたと好評だった。
≪失敗事例≫
・脳梗塞などで高齢者施設に入所しているお年寄りを対象とした健康教室で、
施設から言われて参加されたグループ(やらされ感)。
・同じことをしたのに、雰囲気が盛り上がらない。手をつなぐアイスブレイク
をしようとしたが手が不自由でつなげなかったり、のりが悪く冷や汗
ばかりかいた。
○ 班ごとに15分間話し合い(話し合い方は自由)、広用紙を使って発表
? ファシリテーションを現場に持ち込む時の壁って何?
・自分の壁(照れ、経験、スキル、不安)、参加者の壁(役職、変化を求め
ない人、やらされ感)、環境の壁(会場の真ん中に柱がある、狭い、人数)
用語の壁(ワークショップなどの横文字)
・ワークショップに対する言葉の壁(過去に楽しい経験をしていない、
中途半端に知っている人。「そんな高度なことはメンバーにはできない」
逆に「幼稚なことはしなくていいだろう」)
・ツールの重要性(ホワイトボードや付箋などの道具があると壁は低くなる)
・ワークショップやファシリテーションという言葉をどう理解してもらうか。
? 現場で失敗しがちなことって何?(事前準備など)
・成功体験が邪魔する(同じことをしようとする)
・100準備して100出そうとすると失敗する。詰め込みすぎると余裕が
なくなる。時間管理に追われて場が熟していないのに進行する。
→ クッションタイムを必ず入れる。
・作りこみすぎない。起承転結を大まかに決めるくらいでもいいかも。
・自分の中に解決するための軸・枠組みを持っていると、色んなパターン
に対応できる。
? 私だけが実行しているファシリテーションの法則・方法
・アイスブレイクは1回やってみて体に覚えさせる。
臨機応変に使えるネタが10くらいあればいい。
・わからないふりをすると、相手が説明してくれる。明らかに皆が知って
いるようなことをふると、相手に声を出させることが出来る。
・やる気のない参加者対策(少しのことでも褒める。積み重ねると
モチベーションも上がる)。
・沈黙の時間を作る(エアコンなど音のするもの、照明を消し、外の音を
皆で聞くと一体感が出る)。
・チームでファシリテーターをやる。先発タイプと押さえタイプがあり、
分業すると自分にない技でフォローしてもらえる。自分の技も存分に出せる。
? 現場で経験したヒヤリ・ハット
・準備のヒヤリ・ハット(用意してきた図や表が、会場が広すぎて使えない。
パワポが無かった。会場が開始5分前しか使えなかった)。
・参加者のヒヤリ・ハット(話の長い人を止められない。アイスブレイクを
しようとしたら「何でそんなことをしないといけないのか」と言われた。)
・参加者に委ねられる以上、ヒヤリ・ハットはなくならない。
問題は、その時にどうするか。
・道具のヒヤリ・ハット(付箋が途中で足りなくなった。付箋がホワイト
ボードに着かない。ホワイトボードにプロッキーで書いてしまい、
消せない。)
● 休憩(15:23〜15:33)
*定刻になり、着席したらみんなに手をたたく。手拍子の音が段々と大きくなり、
席についていない人もそれに気付いて席に着きだす。事務局が呼びかけなく
ても時間が来たら全員が席に着く方法。
● 話題2『聴く耳を持てば自分が立ち往生?!理屈と現実のジレンマの狭間で』
発表者 辻さん
○ インタビュア山口さんによる、辻さんへの15分間のインタビュー。
共働についての行政と市民の温度差を感じており、市民5,6人と
行政3,4人のグループによるワークショップ「共働って何?」を
4回シリーズで開催。
1回目はお互い思っていることを思い切りださせ原因分析。そこで出た
行政と市民の気持ちを(辻さんが)川柳にまとめて紹介。その後、空き
ビルの活用案や市民参画のルール11個をまとめ「なまか宣言2007」
を作成。
○ ファシリテーターが示した次の3つのテーマについて、自分が話し合いたい
テーマごとにグループに分かれる。
? ファシリテーターとして引っ張りすぎ?
? 意見要約の方法は間違っていなかったか?
? テーマに対して、このワークショップは上手くいったか?
○ 班ごとに15分間話し合い(話し合い方は自由)、広用紙を使って発表
? ファシリテーターとして引っ張りすぎ?
・出た意見を川柳の標語にまとめるのは、アウトプットとしては良い。
辻さんの個性だと思う。川柳は、参加者と一緒に考えたらよかったのでは。
・本当のゴールは共働体験だったのでは。形を作ることにこだわったのかも。
・ファシリテーターとしてゴールをどう設定したのか。
>自分の町についてのワークショップだった。自分自身が市民であり、
行政に分かってほしいという思いがあった。
>ゴールを明確にしていない分自分の気持ちの揺らぎにつながったのでは。
・思い入れのあるテーマにファシリテーターとしてどう入るか?
>行ける所までは自分の意見は言わず、入り込まないようにした。
意見を聞かれたが、終わりのほうで話すようにした。
>軸があればいいのでは。どこまで揺らぐかはそのファシリテーター
の個性。
? 意見要約の方法は間違っていなかったか?
・前回のワークショップのまとめを川柳などの形で上手くフィードバック
できた。
・短い時間でまとめるためにはファシリテーターの引っ張りもいるが、
活躍した後は引っ込むことも必要。
・なぜ行政と市民双方の厳しい意見を引き出せたのか
>別のワークショップで出た市民の厳しい意見を紹介。このくらいの
レベルで話しましょうと投げかけた。
? テーマに対して、このワークショップは上手くいったか?
・まとめすぎではとの不安については、1回形にしたこと自体はOKでは。
・15分の説明では、ミッション、人選、成果がわかりにくかった。
・行政と市民の対立を融合に変えた。共働を体験でき、一緒に一つの
ものを作り上げたのは成功では。
● 振り返り(初参加者の感想)
・技術論など表面的な話をするのかと思った。途中からドキドキした。
・ファシリテーターの端には立てたかと思う。
・こんなに初参加者がもてはやされる会は初めて。行政組織内での横断連携も
大事だが市民と連携するほうが楽しい。今度自分でファシリテーションを
やってみようという気持ちになった。
■ ファシリテーター、発表者の感想
● 山口 覚 さん
当日はたくさんのご参加、本当にありがとうございました。FAJでの初めての
ファシ。私にとっても大いなる実験でした。当日は上手く進行できたようでもあり、
一方で「そもそもファシって何ですか?」というプログラムには想定していない、
初心者の方の問いに上手く答えられなかったような気もしていて反省しています。
しかし自分自身、勇気を出した第一歩。大いに反省した上で、同じシチュエーション
が起きたら「次回はこうしよう!」という考えを実行してみたいと思います。
皆さんと一緒に一歩一歩成長していきたいです。
● 横谷 ひろみ さん
今回は、山口さんを初め辻さんに助けられとても貴重な体験をさせていただきました。
参加者のみなさんのホスピタリティー溢れる場にはいつも感謝しています。
インタビュー形式は自然な形で事例を伝えられ、参加者の反応が感じられ、
喋っている私としては安心しました。場が51%という話は本当だと実感しました。
私自身としては今回の定例会のフィードバックを深め更なる学びをしたいと思います。
● 辻 桂子 さん
事例発表は私にとって大変な冒険でしたが、終わってみると、とても充実感を感じ
ました。私が漠然と感じていた不安や不満を、皆さんから論理的に指摘して頂いた
ことは参加者40人の先生に学ぶ貴重な体験でした。また、思いがけず励ましのお言葉
をいただき、これからの自信と勇気につながりました。
みなさん、ありがとうございました。