2018年11月3日 (土) 九州支部イベント2018 in 大分九州支部

2018年11月 九州支部イベント2018 in 大分レポート

日時

2018年11月3日(土)13:00~17:30

会場

コンパルホール(大分市)

テーマ

イチから学ぶ!ファシリテーション ~話し合い、学び合いを促進する技術あります~

参加者数

全体 88名 (会員:25名、一般:53名、学生8名)
分科会1 23名
分科会2 29名
分科会3 34名
(それぞれファシリテーター、企画チーム含む)

報告作成者

河野 梢子

報告日

2018年11月17日

テーマ詳細

プログラム概要

【オープニング】13:00~13:15

実行委員長あいさつ
アイスブレイクとして当日誕生日の方への力いっぱいの拍手

【基調講演】13:15~14:15

ちょんせいこさんより「ファシリテーションの基本」について講演をしていただいた。
講演はファシリテーションの基本的なスキルについてワークを行いながら進められた。


<タイムマネジメントのワーク>

「ファシリテーションを使う場所」「今日来たきっかけ」「どんな場所でファシリテーションを使いたいか」「ファシリテーターとしての自分の強みと課題」「ファシリテーターとしての強みと課題」をテーマに、カウントアップ方式で時間を計りながら4人グループで対話した。


<可視化することのワーク>

ミニホワイトボードを使用し「好きな食べ物」などを書く練習をした。書く際のポイントとして「漢字は大きく、ひらがなは小さく」「明朝体よりゴシック体」「マーカーの使い方」などのインストラクションがなされ、<タイムマネジメントのワーク>の内容も含め、参加者は何度も練習する機会があった。

【分科会】14:30~16:30

<分科会① 保健・医療・福祉の現場における話し合いの技術>

メインファシリテーター:ちょんせいこ
参加人数:22名


医療・福祉・保健の現場で日常的に行われるカンファレンスを効果的に進めるホワイトボードの活用を体験した。
まず、ファシリテーターに欠かせないスキルのうちのひとつ、「質問すること」について、具体的な9つのオープンクエスチョン(質問の技)が紹介された。
この技を使うことで、話し合いが情報(情景)共有をできるレベルまで深くなり、成立しやすい状況になることが説明された。その後、2人ペアになって、ファシリテーターがテーマを元に質問の技を使いながらホワイトボードに書く練習を、2回行った。
最後に模擬ケース会議(退院間近ながらも、なかなかリハビリも進まず、退院後の社会資源をうまく導入できないAさん。カンファレンスの参加者は病院の看護師、ソーシャルワーカー、在宅支援予定の訪問看護師)を行った。


<分科会② ファシリテーションで深まる!学び合い>

メインファシリテーター:福嶋崇
サブファシリテーター:亀井直人
参加人数:27名


国連持続可能な開発計画「UNSDGs」を題材に、17枚の絵画を用いて「アクティブ・ラーニング」の過程を体験した。
本分科会は3部構成をとり、第1部ではフィッシュボール形式で「対話の深化プロセス」のデモンストレーションを実施した。第2部および第3部は各グループで絵画を介した対話を行った。第2部はただ純粋に目の前の絵画について「対話の深化プロセス」を辿り、第3部になって、ようやくUNSDGsの17のゴールと17の絵画が対応したものであることが明かされ、第2部で行った対話とUNSDGsの各ゴールを結び付けながらの「学び合い」を行った。第2部と第3部は、OST(オープンスペーステクノロジー)を応用して、グループを転々としながら議論をすることや各グループと距離を置いて自由に過ごすことが認められていた。


<分科会③ 体験!「困らない会議」をデザインする方法>

メインファシリテーター: 小長光 信
参加人数:33名

会議を始める際に重要な「場のデザインのスキル」をテーマに、「レイアウト」「議論の可視化」「ルール」などの写真も交えつつ、「場のデザインに大切な6つの『~ル』(タイトル、ゴール、ルール、ロール、ツール、タイムテーブル)」が説明された。
その後、4人一組のグループで、架空の企業を舞台に「とある働き方改革の提案」を導入するか否か検討する模擬会議のワークを行った。ワークでは、発散(意見を出し合う時)と収束(意見を整理する時)を区別することや、付箋とフレームワークの基本的な使いかたなどをおさえながら、合意に至る話し合いのステップを体験した。


【クロージング】16:45~17:30

それぞれの分科会での学びを参加者全員で共有した。
参加した分科会がばらばらになるように3人グループを作った。ミニホワイトボードを使って、「やったこと」「気づいたこと、分かったこと」という問いについて個人で書く→グループで共有→全体で共有を行った。次に、「本日一番の学び」「これからどうしたい?」という問いについて同様のプロセスで学びを共有した。

参加者コメント

(アンケートより抜粋)

・初参加でしたがファシリテーションをすることで対話が深まっていくことを体験できました!!ありがとうございました。
・多くの人と話すことができ楽しく過ごすことができました
・もっと大分でやってもらえたらうれしい
・若い人の参加が多かったかな。大分開催大成功!!
・初めての参加でしたがすごく分かりやすく職場でも使っていこうと思います
・場の雰囲気が受付時から出来ていて初めての参加者の方がリラックスして安心して参加されたと思いました。
・お世話になりました。貴重な体験をありがとうございました。人数に対し、場所が狭く、やややりづらい点がありました。楽しかったです

ファシリテーターふりかえり

<分科会①>

医療・福祉・保健の現場で日常的に行われるカンファレンスを効果的に進めるために、ホワイトボードを活用した話し合いを体験していただきました。とても大切だったのは、本番に至るプロセスでした。看護教育に携わる河のっち、ちこちゃんと、どんな事例を検討するのが、参加者のみなさんに役立つのか。互いの経験から学び合い、当日は山ちゃんのご協力も得て、ダミーケースながらも、リアリティ溢れる会議を再現できたのが、とても良かったです。参加者のみなさんの中には、初めてホワイトボードに意見を書く方もいらしたので、これをきっかけに会議の可視化が進むことを願います。実行委員のみなさま、ありがとうございました!(ちょんせいこ)

<分科会②>

参加者は会場に誘われるや三方を17枚の絵画に囲まれた異質な空間を目にします。そして分科会では、同じ絵画が気になった人たちでグループをつくり、目の前にあるその絵画について約1時間にわたり対話を紡ぎました。

対話に先立ち、フィッシュボールの形式で、対話を深める「事実の共有」「感情の付与」「考察の深化」の3つの過程を体験・観察してもらいました。また、OSTを応用し、グループを転々としながら議論をすることや各グループと距離を置いて自由に過ごすことも認めました。これらはシンプルな対話のプロセスを心掛けた結果です。

なお、分科会で用いた絵画は、国連ハビタット福岡本部よりUNSDGsに関連した原画を無償で貸していただきました。ここに付記し、ご協力に深謝の意を表します。(福嶋崇)

~サブファシリテーター振り返り~

一貫して、参加者(学ぶ人)の自由と主体性が保たれた場であったと捉えています。絵を自分で選ぶ、その絵に対して関心を持ち、描いてあることをグループで話していく。そのことによって、関心がますます生まれて、描いてあることがより深みを持って見えてくるようになっていました。

観察を充分に行うことで、自分が絵画から何をとらえているのかがしっかりと落とし込まれ、その後の感情表出が豊かになり、グループでの深い話し合いが「学び合う姿」になっていると受け取りました。学び合いが生まれていくことで、参加者(学ぶ人)の学ぶチカラが育っていくと感じる2時間でした。

SDGsをコンテンツとして学ぶとき、時に遠く離れたところのこととしてしか受け取れないことがあります。子どもたちの絵画を用いることは、世界を身近に感じるために有用と感じました。(亀井直人)

<分科会③>

FAJのイベントやファシリテーションに初めて触れる方が多くいらっしゃるということで、なるべく解りやすい説明を心掛けつつも、実は、「真剣に話し合った末に合意に辿り着いた時の大きな喜びを感じていただきたい!」という想いがあり、模擬会議は少し難しめの課題を用意しておりました。熱心に話し合ってくださった皆さんに感謝です。

「場のデザイン」がなかったら対立の構図になったかもしれない設定でしたが、「6つの『~ル』」にどんな効果があったのか、各々はどう振る舞ったか、お時間のある時にでも思い返していただいて、今後に活かせることがあったら嬉しいです。(小長光 信)

実行委員会ふりかえり

11月3日(土)、88名の参加者を迎え、本イベントを滞りなく開催することができました。

今回のテーマ「イチから学ぶ!」には「イチ」には数字の「1」と「位置」の意味がありました。「1」は文字通りで、いろはのい、ファシリテーションの基本から学ぶ機会を提供するという方向性を示したものでした。もう一つの「位置」は、参加者の立場やポジション、つまり参加者が現場で使える/使ってみたいと思うコンテンツを提供するという意気込みであり、コンテンツ担当者へのプレッシャーでした。

実は、正式に支部イベ開催が決まったのは6月、初回の実行委員会は8月と、非常にタイトなスケジュールで、しかも開催地大分では文化の日ということも各地でイベントが予定されており、「参加者は集まるのだろうか?」と、不安だらけのスタートでした。しかし、蓋をあけてみればこちらの予想をはるかに上回る方の参加があり(しかも大分県内からの参加者が多かった!)、クロージングの時の皆さんの表情からイベントの成功を実感し安堵しております。

また、分科会2で国連ハビタット福岡本部よりお借りした絵画ですが、イベントで活用させていただいたことを報告しましたところ、感謝のメッセージが寄せられ、同本部のFacebookページにも取り上げられました。大分での九州支部イベントがこのような形で世界とつながったことをうれしく思い、この絵画の作者たちにも報告したい気持ちであります。

今回のイベントが、イチから学ぶ!参加者の皆様にとって、そんな良質な機会であったのであればうれしく思います。大分で、ファシリテーションの経験を共有する場や、現場でファシリテーションを使ってみる前に試しにやってみる実験の場が、定期的に開催できたらいいなあと思っています。