2021年4月3日 (土) 九州支部4月定例会 オンラインで「ビールゲーム」に挑戦! 〜「組織やコミュニティがなぜかうまくいかない時、いったい何が起きているのか?」を探究しよう〜九州支部

2021年4月 定例会レポート

日時

2021年4月3日(土)13:00~17:00

会場

オンライン

テーマ

オンラインで「ビールゲーム」に挑戦!
〜「組織やコミュニティがなぜかうまくいかない時、いったい何が起きているのか?」を探究しよう〜

ファシリテーター、企画チーム

【ファシリテーター】柿原寿人(FAJ会員)

【企画チーム】柿原、荒武、井上、小長光、加留部、向山 (全員FAJ会員)

参加者数

29名

報告作成者

柿原寿人

報告日

2021年4月18日

テーマ詳細

プログラム概要

オンラインで「ビールゲーム」に挑戦!
〜「組織やコミュニティがなぜかうまくいかない時、いったい何が起きているのか?」を探究しよう〜

1.MURAL(ホワイトボードアプリ)を使ったチェックイン
2.進め方の共有
3.今日の目的・目標の共有
4.参考図書(「学習する組織」ビーター・センゲ著)紹介
5.「全体最適」と「部分最適」についてのレクチャー
6.ビールゲームのインストラクションと準備(ビールゲームはスプレッドシートを使用したシステム、参加者はスマホやタブレットを利用)
7.ビールゲーム体験
8.MURALを使ってORIDでの振り返り
  O:印象に残っている出来事は?
  R:どんな気持ちになったか?
9.「7つの学習障害」についてのレクチャー
10.I:普段の生活の中で起きている似たようなことは?
  6つのグループから、Iについての全体シェア
11.D:あなたのはじめの一歩は
  ひとりひとりの「はじめの一歩」を紙に書いて画面に出してチェックアウト

参加者コメント

「これからやりたいこと」についての回答

・普段あまり知らないお仕事をしている方との対話、またそうした機会をつくりたいと感じました。
FAJにたくさん参加すること。相手との対話を通じて条件、背景、感情を知ること。
・他者を積極的に理解すること
・ビールゲームで生産受注調整に成功すること。
・対話すること。苦手だなと思う相手こそ、良く話を聞こう!
GoogleSlideなど以外の付箋ツールはMiroくらいしか知らなかったのですが、MURALMiroよりも操作性がよかったため、機会があれば使ってみたいです。ビールゲームも職場でやってみたいです!
・どんな方にも参加しやすいプログラムデザインを作成したいと思います。
・状況を聞く、状況を伝える&リクエストを意識して行う。
・相手の話しをよく効く
・情報の共有と言うけれど、それを組織の日常に落とし込み、定着させる工夫
・地域で試してみたい
・体験を伝えます。

ファシリテーターふりかえり

 今年の1月に参加したオンラインでのビールゲームβ版の自身の体験を経て、他の皆さんにオンラインでビールゲームを届けられるというワクワク感に端を発し、運営委員会で承認を頂いての実施となった。ビールゲームは、サプライチェーンにおける全体最適について考えるツールであるが、振り返りのデザイン次第でさまざまな組織におけるモヤモヤを解決できるヒントが得られるのではないかと考えた。また、新しいオンラインツールを使いたいという個人的な情熱から、MURAL(オンラインホワイトボード)を振り返りに使うことにした。

 準備段階で、定例会実施メンバーのみなさんからは、ゲームシステムをいかに分かりやすく伝えるのかという視点での指摘を数多くいただいていた。また、新しいオンラインツールを使うことで混乱が生じやすいので、今回の定例会実施の目的は何なのか意識して振り返りをデザインすることも大事だという指摘もいただいた。参加者のリアルな参加感(ひとりひとりが声を出す、紙に書いて画面で映すなど)も必要だというご意見もあった。

 実際に実施してみて、MURALのログイン時に2名の方がログインできなかった。1人は参加URLをブラウザに貼り付ける形でログインが可能になった。もう1名はタブレットでZoomに参加されていたため、アプリのインストールが必要となり、ログインに時間がかかることになった。結局ゲームを始めるまで、1時間程度を要することになり、スムーズにログインできた人たちにとっては多少イライラする時間を生み出してしまった。

 ビールゲーム・オンラインシステムに参加するためのプロセスでも、事前のアナウンスをよく読まずに参加している人がいて、スタートするのに時間を要した。だが、九州支部の運営委員からの援助により、全員無事ゲームシステムに参加することができた。オンラインでのツールを利用する際は、いくら説明を事前にしていたとしても、慣れていないためにうまくいかない人が出てくるのは避けられないことかもしれない。

 振り返りでは、MURALを用いてORIDでの振り返りとした。問いは以下の4つ。
 O:印象に残っている出来事は?
 R:どんな気持ちになったか? 
 I:普段の生活の中で起きている似たようなことは?
 D:あなたのはじめの一歩は

 ORをやっている時に、ゲームについての理解が不十分な参加者のいたグループが、その理解のための話し合いをする必要があり、十分な振り返りの時間が取れなかった。ビジネス用語に慣れていなかったり、ゲーム画面の見方が理解できていなかったりしたことが、十分な振り返りにならなかった原因のようだ。また、ORのあとでIのためのレクチャーを行ったが、ビールゲーム体験で起こったこととつなげる視点での情報提供ができておらず、ここでも十分な振り返りにならなかった参加者がいたようだ。これは、Iの問いの設定がORの問いとの間に距離があったからだと考えている。アンケートにもあったのだが、Oが起こったときになぜIのような気持になったのかをしっかり振り返る時間が必要だった。

 参加者のアンケートを見てみると、それぞれに学びがあったように思える。だが、参加者にとって新しいオンラインツールを利用したことで、ビールゲームそのものの体験からの学びが薄れた部分もあった。実験の場としての定例会だと考えて、なんでもやってみようという意識でやってみた結果、失敗もあったし学びもあった。システム開発者の吉岡太郎さんに感謝を申し上げ、私の振り返りとする。

担当者ふりかえり

・ビールゲームそのものへの理解とともに、参加者として感じる疑問を率直に提示して、わかりやすい資料作りをサポートした。
MFとして提供していただいた内容とコンテンツに、企画チームとしての多角的な気づきや意見を取り入れながら定例会の内容がブラッシュアップされる過程で多くの学びがあった。
・ゲーム自体が、受発注・在庫管理をテーマとしているものであるため、業務や課題を理解することが一つの関所、システムとしての数字データの理解が二つ目の関所であり、十分に納得せずに進行された方が出た。
・私のグループではゲームの振り返りが足りないとの声が上がったので、ORIDでの問いから離れて、ゲームで起こったことに関する振り返りを行った。
・振り返りが「起きた事実」を基に進められなく、グループでの話し合いを十分に促進できていなかったという点が、自分自身の課題でした。
・オンラインのゲームやMURALを使うことでのワクワク感があり、参加者の好奇心をかきたてることができていた。
・オンラインでの実施は、アクシデントがつきまとう。練習としてのMURALへのアクセス段階からうまくいかない人が出てきたが、初めての参加者への配慮、アプリのアクセスに不具合が出ても丁寧に対応するMFの進行に、参加者の心理的安全性が醸成されていった。
・サブファシリテーターの役割としては、参加者がじっくりと取り組んでいけるようにゲーム進行に支障がおこらないようにすることが挙げられる。オンライン環境の注意点としてファシリテーターの目が全体に届きにくいこともあり、今後も役割としては必要になるだろうと考えた。
・併せて、進行状況からルールの把握度を測り、場合によっては介入が必要とも感じる。途中幾度か確認する機会を設け、ツールの使い方含めて足並みを揃えていくのが良いだろう。
・ワークにも、全体最適と部分最適が存在する。このゲームでもワーク全体の最適を考えた上でシンプルにツールを使うことが、更なるブラッシュアップに繋がることに気づかされた。
・当日の進行としては、BOR内でなんとか進行することはできたが、機器や接続のトラブル時に参加者に余計な気を遣わせないような言葉かけや配慮がもっとできたのではないかと反省する。緻密な想定や操作への慣れが自分自身に必要だと感じた。
・ふりかえりについては、各自の置かれていた環境と感じていたことに、より焦点をあててふりかえるのが良いと感じる。
・世界中で多くの人が体験しているビールゲームをオンライン環境でも体験できることは、とても有難いことだと思う。ツールとしての提供を実現した方に感謝をお伝えします。