第78回:2010年10月2日 テーマ『ファシリテーターのジレンマ』九州支部

◆日時 :2010年10月2日(土)10:00〜17:30   

◆場所 :福岡大学セミナーハウス

◆ファシリテーター:中野民夫さん(東京支部)

◆担当運営委員:担当:田坂 逸朗、天野 英樹、杉山 明子(九州支部)

?.午前
  ?10:00 中野さんによるファシリテーション論
  ?10:20 全員での瞑想体験

  ?の要旨
    【結論】
    ファシリテーターと参加者とにとって、問題を生み出すのは、役割を固定することである。
    ファシリテーターが自らの役割を固定してしまうことで、参加者の自発的な参加態度の芽を
    つんでしまう。
    自然的なファシリテーションが望ましい姿であって、これはファシリテーターが「変える」事ではなく
    参加者が「変わる」事でもたらされる。

    【本日のテーマ】
    環境や社会にとっての諸問題は、元々つながっているものが分断されているという状況から
    もたらされる。これは「する事」に過度に偏重するあまり、「ある事」を失った結果である。
    そこで、この回復のために、
     ?ワークショップといった、心から率直に話せる場を作る。
     ?その場で起こっている事に着目する。
     ?自分自身の中で起きている事に着目する。
    その実践方法として、調身・調息・調心を紹介する。

   ?瞑想における調心について
     自分の感じていることについて、気づいてあげることが大切
     心を空っぽにするという事ではなく、自分の感情を認めてあげることで、葛藤も消えていく。


?.午後:ワークショップ
   ?13:00 各自の持つジレンマについて、6人程度のグループで討議
   ?15:20 個人のテーマを場に提示し、それに関してOSTでグループ討議
   ?16:30 中野さんによる解説
   ?17:00 4、5人による振り返り

   ?の振り返り
    ・ファシリテーターをする際に、自分がいないと考えることは自分に対する思い上がりである。

   ?であげられたテーマは以下のとおり
    ・愛って、行動?現象?
    ・本当に心を開いた話し合いはできるのか?
    ・ファシリタティブなリーダーシップとは?
    ・人を育てるファシリテーションとは?
    ・定例会で得たモチベーションを日常に維持するためには
    ・ファシリテーションが機能する理想の組織とは?
    ・プロセス全体のファシリテーションと都度の合意形成について

   ?中野さんの解説
    ワークショップを成功に導くには?
     ・共通かつ触発的な質問が大事
     ・場作りは重要で、いきなり全体をサークルにすると、戸惑う人がである。
     ・初めはスクール型が導入には適切
     ・場の雰囲気が慣れてきたら、アイランド型へ移行するとよい。

    参加者の留意点
     1.カタルシスの罠
       ワークショップで満足を得ることが目的ではなく、日常の現実にその学びをどう
       いかしていくかが大切
     2.ワークショップ中毒の罠
       ワークショップは雰囲気がよいが、これに甘んじて、現実から目を背けてはいけない。
     3.人を弱くしてしまう怖れ
       上記2点に陥ることで、現実に通用しない弱い人になってはいけない。

     そうならないためには?
     「自然流」ファシリテーターを目指そう!
     →「変える」から「変わる」場へ
     →参加者の相互理解と相互作用が成果を生み出す。
     →そのためにファシリテーターは
       ?場の真意を理解する
       ?愚直に確認と質問を繰り返す


    ?最後の振り返り
     ・リーダーシップとの関係においては、パワーと思いやりのバランスが大切
     ・平場での合意はやはり難しい。この場合、共通のゴールイメージ、
      参加意欲と各人の責任感が大切
     ・ファシリテーションが機能する組織とは、相手を信頼する態度が土壌として
      存在すること


記録:とも