第42回『構成的グループエンカウンター』 〜ふれあいと自他発見をねらいとするグループ体験〜(2011年10月)東北支部

テーマ: 『構成的グループエンカウンター』
〜ふれあいと自他発見をねらいとするグループ体験〜

「エンカウンター・グループ」は、カール・ロジャース(アメリカの臨床心理学者)が開発したカウンセリングの方法で、予め課題が用意されたものを「構成的エンカウンター」といい、自他理解、自他発見、自他肯定、感受性の促進等をねらいにしたグループ体験です。
10月の例会では、この構成的エンカウンターの手法を使って、前半は、出会いをつくり、ふれあいを深めるエクササイズを、後半は、自他理解と自他発見をめざすエクササイズを行い、自己開示を深め、ホンネを表現し、互いに認め合う体験をする場となりました。

>>開催の概要

  • 日時  : 2011年10月1日(土) 13:30〜17:45 (受付開始 13:00)
  • 会場 : 青葉区中央市民センター 第4会議室
  • 参加者 : 17名
  • メインファシリテーター :佐藤節子(節ちゃん・FAJ東北スクエア)
  • 東北スクェア例会担当 :壁谷雄一、笹田歩、本間芳典

>>プログラム

1. ガイダンス(笹田/壁谷)

FAJ東北スクェア並びに本例会の目的(調査・研究・学びあい)について説明。本日の記録担当者の公募→決定。

2.自己紹介(節ちゃん)
山形県酒田市出身。山形大学教職大学院勤務。専門は、カウンセリング、ファシリテーション、人間関係論。

3.本日のテーマ(節ちゃん)
本日行うワークは、「自他発見」(「自分は自分」と「他者との関係性」の両立)をテーマとして、グループで行なう構成的(Structured)グループエンカウンター。ベーシックエンカウンター(3〜4日間の合宿で、特にテーマを設けずに自由に話し合う手法)とは異なる。

4.本日のルール(節ちゃん)
? 守秘義務(開示された秘密を守る)
? (できる限りの)自己開示
? ワーク後のシェアリング(感じていることを話し、共有する)を大事に
→ゲームやエクササイズを通しての体験学習だが、シェアリングをしなければ、ただのレクリエーションになってしまう)
? やりたくないワークには参加しなくてよい。見るだけでもOK。

5.ワーク(第一部)(節ちゃん)

  • エクササイズ? 歩いてみましょう!(部屋の中を、自分の歩きたいように自由に歩く)
  • エクササイズ? 目で挨拶しながら歩きましょう!
  • エクササイズ? 握手をしながら歩いてみましょう!(行き交う人と握手) 

この後、「バースディライン」により、参加者が誕生日順に並んで一つの輪を作る。(ただし、喋らないで、身振り手振りで互いの誕生日を確認)

  • エクササイズ? 二人組で互いにインタビュー(説明とワークで10分くらい)

近くの二人でペアになり、相手に興味を持って、聞いてみたいことをインタビューする。じゃんけんをして、勝った方が相手に質問ができる。答えに対してはただ聴くことに徹することがルール。

  • エクササイズ? 他者紹介(説明とワークで10分くらい)

エクササイズ?を受けて、インタビューの相手の素敵だなと思うところを紹介し合うワーク。4人組になって実施。

  • エクササイズ? 「合わせてポイ?」

同じグループ(4〜5名)でじゃんけんをして、30秒以内で、全員が同じものを同時に出せるかを競う。
ただし、誰かが指示しない、続けて同じものを出さない、「グー→チョキ→パー(の順で出すこと)」をしない、がルール。

  • エクササイズ? 「合わせてポイ?」

ルールを守った上で、「どうしたら全員が同じものを出せるか?」についてグループでし合う。話し合いに基づいて「合わせてポイ」を実施→何回できたか発表。

6.ワーク(第二部)(節ちゃん)

  • エクササイズ? 肩もみエンカウンター(人に甘えてみる体験)(10分)

二人一組になって、交互に肩を揉み、叩いてもらう体験を通して、コミュニケーションを取るワーク。

  • エクササイズ? ネームゲーム(名前を覚えるワーク)(5分)

一人が、「〇〇〇が好きな(得意な)△△△(自分の名前)です」というように、短い自己PRを入れて自分の名前を伝える。その隣の参加者は、同様に自分の紹介をするが、その前に、「〇〇〇が好きな△△△さんの隣の・・・」を頭に置いて、自分の紹介を行なう。

  • エクササイズ? 自分の人生で影響を受けた人や言葉を語る(自分を開示するワーク)(25分)

語りたい人は語る。聴く人は傾聴を心がける。狙いは、自分を知り、他人を知ること。同じグループで、順不同に実施。
終了後、自分の気づき、感じていることをシェアリング(5分)

  • エクササイズ? 椅子を使ったブレインストーミング(BS)(20分)

二つのグループに分かれて、「折りたたみ式のパイプ椅子」を真ん中に一つ置いて、丸く着席。「(奇想天外、非現実的なものを含めて)この椅子をどんなものに使えるだろうか?(使い道)」をブレインストーミングで出し合い、アイデア数を競うワーク。あり得ないアイデアも含めて、批判、非難厳禁。
エクササイズのルール:
「使い道」をメモする係(1名)を決める
「使い道」を思いついた人は、立って、ジェスチャーだけで(喋らずに)、メモ係へ伝える
グループごとにアイデアを発表する

7.ワーク(第三部)(節ちゃん)

(ホワイトボードへ「ジョハリの窓」を板書)
自己理解と他者理解は比例する。(自分を知っているくらいにしか、他人のことは知らない。自分が受け入れられる範囲でしか、他人は受け入れられない。)
自己盲点に気づくことは苦い体験。自己を少しづつ開放していき、「自分が自分のことを知っているのと同じくらい、隣の人も自分のことを知っている」程度の開放状態が望ましい。自己開放が小さすぎると、ホンネが話せず、自己疎外感に陥る状態となる。ホンネで語ってもいい場が重要となる。

  • エクササイズ? 将来願望(自分の人生を語る)

4〜5人のグループに分かれて、「2〜3年以内に、自分はこうなっていたい」という願望を語り合うワーク。最初に話す人が決まれば、後は、順にテンポよく、将来願望を話していく。自分の番で話す準備ができていなければ、パスすることもできる。
終了後、自分の気づき、感じていることをシェアリング(5分)

  • エクササイズ? トラスト・リフティング(15分)

一人が、床に体を横たえて力を抜き、他の参加者が全員でその人を、上まで持ち上げ支える。そして、ゆっくりと下ろす⇒持ち上げられた人が一言、感想を話す。

【感じた一言から】

  • 目を開けたら天井が近かった。
  • 降りてきたとき、みんなの手を感じられて、支えられているという気がした。
  • 上がるときには感じなかったが、降りてきたときに、(人気で)熱い感じがした。
  •  多くの人の体温を感じた。

8.全体の振り返り(節ちゃん)

今日一日のワークを通して、感じたことを自由に述べ合う。ネガティブなものであってもOK。 

  • 「自己開示」をしつつも、「自分は自分」という感覚が不思議だった。(今回のワークのように)相手を受け入れることが、ファシリテーションを仕事などで活かしていく上で、大事な「つなぎ」になるのかなと思う。いい時間だった。
  • 「歩くエクササイズ」では、最初は溶け込めなかったが、ワークが進むにつれて溶け込むことができたように思う。
  • 人と人との「とっかかり」を作るやり方を教えてもらいました。
  • 何か、人と話した感じがする。いつもしている(人との)話が、何かうわべの話ではなかったかな?とさえ思わせるくらいだった。自分からそうしたのではなく、自然とそんな感じになったという感じ。
  • 自分を開いて、人と関わるのは楽しいことだと感じた。
  • 無言のコミュニケーションで、相手と通じたときの一体感。接触を含むワーク(握手、肩をもむなど)により、「触れ合う」ことはいいことなんだと思った。
  • 最初は違和感があった。ワークをこなすうちに空気に慣れてきた。言おうと思わなかったことを言ったりして、いい経験ができた。
  • 自己盲点について、自然な形で教わった感じがした。他の人の気持ちに気づけるくらいのゆったり感があって、スピード感が良かったように思う。体を使ったコミュニケーション(ブレインストーミング)は面白かった。

9.運営委員の感想

  • よいメンバーに恵まれ、シェアリングが深まりました。グループが成長する様子がみられました。エンカウンターのねらいは、ふれあいの促進と自他発見です。自分の本音に気付き、本音を出せる自分でいること、または抑圧ではなく抑制できる自分でいることを感じ取っていただけたら幸いです。スタッフの皆さんありがとうございました。(節ちゃん)
  • 自分にとって初めての体験。今までは頭を使ってきたが、今回は、体と心を使った感じ。自分が触発された感じ。この方法をもっと使えば、世の中が住みやすくなるのでは?家族でやってみようと思った。(かべ)
  • 「人生で影響を受けた人や言葉のエクササイズ」では、ネガティブな感情が湧き上がって来て、ちょっと整理が難しかった。短い時間だったが、この体験は貴重な時間だったと思う。(ささだ)
  • エンカウンターのワークは初体験で、初めのワークからの違和感が最後には心も体も心地よい充実感に変わっていました。徐々に自分を開いていくことで、相手も開いてくるのがわかりましたし、各ワークの繋がりは脈絡が無さそうなのですが、繋がっているのだなと実感しました。(よっしー)