公開イベント:「より前へ、未来へ、実践へ 〜「場」・「動」・「創」・「備」〜 ファシリテーションの4段活用」(2015年3月)東北支部

FAJ東北スクエア3月公開イベントレポート

1. 日本ファシリテーション協会 東北スクエア 〜3月公開イベント〜
より前へ、未来へ、実践へ 「場」・「動」・「創」・「備」
ファシリテーションの4段活用

2.狙い
日本では3.11からあらゆることに「リスタート」がかかったと言われています。
課題先進地域東北の「今」は、様々な社会課題の解決、新ビジネスの起業等、
「より前へ、未来へ」動いています。そこでは、ファシリテーションそのものから、
ファシリテーションを活かす、より実践へ、より総合的にフェーズが変わってきています。
そこで、2014年度東北スクエアの3年目のイベントは、「より前へ、未来へ、実践へ!」
というコンセプトのもと、4つのテーマを設定し、東北で活躍されている「実践者」から、
ファシリテーションの実践につながる何かに出会える、そして、現場に持ち帰って、
前へ未来へつながる贈りものとなるような有意義なイベントを狙いました。

3.日時、参加対象
・日時:平成26年3月21日(土) 10:00〜17:30
・場所:仙台市民会館 会議室1〜4
・定員:80人(テーマA〜D 各20人)
・参加者:会員34名、非会員32 合計66名
・メインファシリテーター
・基調講演(ビデオ上映)
宮城大学 事業構想学部副学部長 教授 風見正三氏
・テーマA「場」:フューチャーセンターの可能性
岩井秀樹(一般社団法人こはく代表理事)
・テーマB「動」: あなたの職場の日常を一変させるファシリテーション!
佐竹陽一(FAJ東北スクエア)
・テーマC「創」:「住民主体の復興」を探求する ファシリテーションという視点から
遠藤智栄(FAJ災害復興支援室)
・テーマD「備」: そなえゲームで日頃の備えを考える
チーム「きりぎりす」(そなえゲーム認定ファシリテーターFAJ東北スクエアメンバ 
千代田賢史、渡辺達美、佐々木順一)

4.イベント実行委員会
本間芳典、森瀬康之、中西百合、壁谷雄一、千代田賢史(東北スクエア)

5. レポート
・基調講演(ビデオ上映)  宮城大学事業構想学部副学部長 教授 風見正三氏
今回は4会場に分かれたこともあり、オープニングの基調講演(ビデオ上映)を宮城大学の風見正三氏に
依頼し、テーマ毎セッション前の導入として、「より前へ、未来へ、実践へ!」を参加者が意識しても
らえるような講演にして頂きました。講演の中での「ワークショップなどやって終わりにならないよう、
その先の行動につなげることが重要である」「継続の重要性と結果の評価の必要性」といった、ファシリ
テーションの有効性について「本来の目指すべき姿を見失わないことが重要」という強いメッセージには、
テーマ毎セッション前の「実践への意識付け」になった、「共感した」といった参加者の感想を頂きました。

・テーマA「場」:フューチャーセンターの可能性
本イベント前にMFの岩井さんは、今年2月にヨーロッパに行かれ、最新のフューチャーセンターの情報を
収集してこられた方です。最新情報満載のプログラム前半はフューチャーセンターのインプット、
後半はワークを中心に行い、参加者から活発な質問が飛び交い、丁寧に質問に答えている岩井さんが
印象的でした。参加者からは、「フューチャーセンターの可能性を職場で実践したい」、「フューチャー
センターの設立を応援したい」、「場作りを意識すること、当事者意識に気付くことの重要性」などの
感想を頂きました。

・テーマB「動」: あなたの職場の日常を一変させるファシリテーション!
参加者それぞれのプロフィールを紙エプロンに書いてシェアしたり、自分の職場や組織の理想形を粘土、
折り紙、ブロック等で造型するなど、体と手を使ったプレイフルなワークでテーマ通り「動き」のある
プログラムで構成し、会場は熱気あふれた場が形成されていました。プログラム中盤で紹介した
「成功の循環モデル」は、後半の全体セッションの他テーマの人たちからも共感したとのアンケートに
複数記述がありました。 「明日からまた頑張れる」、「仕事ですぐ使う」、「少しでも行動することが重要」
などの感想を頂いています。

・テーマC「創」:「住民主体の復興」を探求する 0ファシリテーションという視点〜
復興現場で活躍されているゲストを複数お呼びし、リアルな現状を共有し、私たちに何ができるのか?
を参加者が考えるプログラムでした。「これから住民合意形成が必要になっていくので住民との対話の
場で活かしたい」、「相手や住民の置かれた状況を想像する。話し合いの場をしっかり作ること」、
「復興の現場で行われていることは今後日本全国で求められることと思った」、「住民の想い、夢、
未来を語る所に行政が寄り添うという選択を定着させたい」など、様々な地域の方の話を聴けて大変
実りある内容だったと複数感想を頂いています。

・テーマD「備」: そなえゲームで日頃の備えを考える
仙台発の防災ゲームである「そなえゲーム」を前半体験し、後半はゲームを体験し、自分たちは何ができるのか?
を対話中心に進めるプログラムでした。様々な「自分ができること」が出てきて、参加者はゲームながらも真剣
そのものでした。「自分ができることを人に知らせるということが大切」といった地域で自分を発信することが
大事なことだといった積極的な発言が見られました。

・全体セッション
全体セッションでは、会場を渡り歩きながら、4テーマの参加者がお互いの参加した個別セッションの内容や
気付きを共有しあう「贈り物交換会」というふりかえり形式を取りました。「部屋移動が楽しかった、
刺激になった」、「成功の循環モデルの考え方はすべてに活かせる」、「改めたて震災後の世界で生きている
という感覚、実感を感じる」、「テーマは違えど、様々なバリアを超えて悩みの根幹は一緒なんだ」といった、
参加者同士が交じり合うことで、更なる気付きが得られたセッションになりました。

6.参考
【イベントプログラム概要】
10:00〜10:30 オープニング
・全体説明:本日の狙い、流れ、実行委員長ビデオ挨拶
・ビデオ基調講演:宮城大学 事業構想学部副学部長 教授 風見正三氏
10:30〜15:30 テーマ毎セッション(A〜D)
15:30〜15:50 <休憩><全体セッション会場設営>
15:50〜17:20 全体セッション
・部屋めぐり贈り物交換会
17:20〜17:30 クロージング

【運営感想】
・大きな会場の予約が取れなかったことから、ビデオを活用したり、最後に部屋を横断しての振り返りを
行ったりという工夫を凝らした。この工夫については、参加者の満足度が高かった(アンケート結果より)
・首都圏からの参加者に、「東北ならではの内容で、とっても充実していた」と言われたのが一番うれしかった。
・これまでのイベントの1テーマから本年度は4テーマに拡大したことで、事前準備、会場設営、当日の進行
のボリュームが一気に増えている。大変ではあったが、組織的に中規模のイベントを初めて成功できたことは、
今後のイベント実施の強みになると思う。

【運営反省】
・国連防災世界会議の翌週ということもあり、集客には最後まで苦戦した。今回はラジオ・情報誌・新聞の
パブリックコメントを利用したのは良かったと思う。次年度に向けての提案としては、もう少し前からメンバー
で担当を割り振っていれば、効率的になるのではないかということ。

・会場が別々ということで、時間管理が大変だった。全体セッションの進め方に担当者間で認識の違いがあり、
ばたばたしてしまった。アンケートからもこの指摘が幾つかあった。参加料金を徴収しているイベントであるので、
運営が動揺している状況を見せてしまうことには課題が残った。


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