テーマ: 『ファシリテーターとしての質問力を鍛えよう』
ファシリテーションの場において、どんな質問が話題を深めてくれるのか?どのような
質問が話し合いを促進してくれるのか?参加者同士で、さまざまなワークを体験して、
ファシリテーションにおける『質問力』を考える場となりました。
>>開催の概要
■ 日時:2012年4月14日(土) 13:00〜17:30 (受付12:30〜)
■ 会場:仙台市旭ヶ丘市民センター第三会議室
■ 参加者:19名
■ ファシリテーター(例会担当者):笹田歩、中西百合、森瀬康之
>>プログラム
【ガイダンス】(5分)
FAJおよび東北スクエアの案内、例会の目的について。
【グループ分け】(10分)
- 本日の例会テーマの確認
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グループ分け
会場を「論理派⇔感覚派」と「ファシリテーション歴(長め⇔短め)」の2軸に区分して、各参加者に、自分が当てはまりそうなゾーン(4つ)に立ってもらった後、各ゾーンの人が均等に混ざるように4つのグループに再編成。
- グループ内で自己紹介
【ワーク? ファシリテーションにおける質問力の定義を考えよう!】(30分)
- ワークの主旨説明
- 個人ワーク(5分):各自、定義を考える
- グループワーク(10分):個人のアイデアを発表し、グループで共有
- 全体シェア(15分):各グループのアイデアや意見を発表
(全体シェアから)
- 質問は“調味料”のようなもの
- (場や議論の)修正・触媒・ソフトなコントロール
- 質問力とは「良い質問をすること」「話し合いの場を作る」「相手から引き出す・導く
- 拡げるような質問」「場をコントロールするのではなく、ホールドする質問」
【ワーク? オープン/クローズド(クエスチョン)を使いこなしてみよう!】
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ペアワーク(互いにインタビュー)(5分×2)
テーマ:「今、興味を持っていて、よくやっていることは何ですか?」
- グループ内でシェア(5分)
- 情報提供:「ジョハリの窓と質問力の関係」
- 全体シェア(5分)
(全体シェアから)
- 相手の可能性を広げる質問が良い質問だろう。相手のことやテーマについて深く知らないからこそ、(相手にとって)意外な質問ができた。
- オープンなようでクローズドな質問もある。一方、クローズな質問のようで、オープンに喋らされてしまったな、という質問もあった。
- 共通の土台があったら話しやすい。これは、質問にあたっての関係性が大事なことを意味している。
- 相手にたくさん喋らせることで、大事なことに気づきやすくなる。たくさん喋らせることが質問力かもしれない。
【ワーク? 質問の高さ、広さ、深さを考えてみよう!】
- ワークの説明
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個人ワーク(5分)
用意した二つのお悩みケース(ダイエット、部下指導)から一つを、グループで選択。各自、相談者に対する効果的な質問を付せんに書き出す。
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グループワーク(30分)
全ての質問アイデアを模造紙に貼り、適当なカテゴリーに分類し、質問の傾向や意味をシェアする。(→成果品を壁に貼り、全員で共有)
【ワーク? 質問だけで話し合いをしてみよう!】
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ワークの説明(5分)
2グループを1組として、話し合いGと観察Gに分ける→話し合いGで、“お悩み解決“をテーマとした質問のみによる話し合いを行い、観察Gが話し合いを観察する→振り返り→役割をチェンジして実施
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各グループで、“お悩み解決”のテーマ決め(5分)
被相談者(一人)と、具体的な悩みに基づいて「話し合いのテーマ」を決める。
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グループワーク?(30分)
(1)話し合い
話し合いG:ほかのメンバーから被相談者への質問を通して、被相談者のお悩み解決に挑戦!
観察G :話し合いの観察(観察Gの1名が、出された質問のみ、ホワイトボードへ記録)
(2)振り返り
「話し合いGメンバー」→「観察Gのメンバー」の順に、話し合いを観察していて気付いたことを述べ、シェアする。
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グループワーク?(30分)
話し合いGと観察Gを交替して、同じ要領でワークを実施。
>>参加者による振り返り
(テーマについて)
- 自分の質問力よりも、質問そのものの力を感じた。
- 今の気持ちを数字(10段階など)で尋ねてみる質問は有効だ。
- 上下関係での質問は相手に対する攻撃にもなりうると感じた。
- 背景が分からない人間同士が質問しあうことの難しさを感じた。
- 質問するだけではなく、“沈黙”も大切なコミュニケーションだ。
- 良い質問には良い流れがある。その核心の質問が出てくるまでにはプロセスがあることに気づいた。
- 本質的な質問をすることが大事だ。
- (自分を思い、暖かいまなざしで質問を選ぶ)質問者を観察していて、質問者は自分との関係作りをしていることが分かった。
- 質問には感性を高めること。自分がこうしたいという姿をはっきりさせること。
- ヒーローインタビューは興味深いオープンクエスチョン。立ち位置がはっきりしていると、こんなオープンクエスチョンも成立させることができる。
(プログラムについて)
- ワーク?が面白かった。特に、テーマに対するストーリー(流れ)を考えて質問を作り、可視化してみる部分。漠然としていたものがリアルになった。“質問の分類”をしたことが今後の仕事に活かせそう。
- ワーク?からワーク?に移る際に、つなぎになるような振り返りがあれば良かったかもしれない。
- ワーク?は立場を変えて行うという部分が面白かった。質問される側に立つのは勉強になった。
- 今後、オープンクエスチョンとクローズドクエスチョンの使い分けが体験できるワークができたら面白そう。
>>例会担当者による振り返り
- 私は今回のプログラムを、問いかけること、それに答えること、その双方の難しさと面白さを感じてもらえたらとの想いで,担当者を含む4人で考えました。相手を知りたい、その考えを理解したい、この根源的なものがコミュニケーションのスタートとではないでしょうか。ひとつの問いかけでも複数のアプローチが存在すること、聞き方(言葉、イントネーション、雰囲気)によって答え方が変わること、そういったことに気がついてもらえる時間になったのであれば、とても嬉しいです。(笹田)
- 「どうしても『質問力』をテーマに例会をやってみたい。」そんな私の願いを、皆さんの協力のおかげで、実現することができました。参加者の中から「こういうテーマ、待ってた」といわれたときは、うれしかったです。プログラムデザインを作成する中で、担当者同士、ものすごく深い話し合いができたのが一番の宝です。当日のワークでは、考えていた以上の深い考え方、鋭い質問などが出てきて、本当に有意義でした。やっぱり『質問』の力って、深くて、面白い。プログラムをもう少しブラシュアップして、またやってみたいなと思いました。(中西)
- 例会の一部でしたが、初めてMFを務める機会でした。終わってみれば、ひとえに皆さんの“情熱”に助けられた気分です。例会の進行とワークを体験する中で、自分に「質問の作法」という問いが浮かびました。皆さんの振り返りを聞いて、自分なりに考えるに、まずは、最初の質問を発する前にやるべきこと。それは、場における自分の立ち位置(カウンセラー、コンサルタント、ファシリテーターなど)を確認すると同時に、その場や相手が求めることの“本質”や“核心”に思いをはせる。そうして、時間をかけて丁寧に観察と質問を重ねていくことで、落ち着くべきところに落ち着く・・・という流れでしょうか。(森瀬)