第71回「ファシリテーションにおけるロジカルシンキング」〜ツールの違いを体験しよう〜(2014年5月)東北支部

>>テーマ

「ファシリテーションにおけるロジカルシンキング」
〜ツールの違いを体験しよう〜


>>開催の概要

■日時:2014年5月10日(土)13:15~17:00
■会場:仙台市民会館 第4会議室
■参加者:25名(会員23名、非会員2名)
■ファシリテーター:小藤輝正さん(日本ファシリテーション協会 理事・事務局長)
■例会担当者:壁谷雄一、小林しのぶ、小松健一郎、渡辺達美(FAJ東北スクエア)


>>プログラム

●目的 ロジカルシンキングにおける代表的なツールについて、
どのような違いや効果があるのかを探究する。

●ゴール ロジカルシンキングのツールの違い・効果を体験から知り、
ファシリテーターとして使ってみたいと思っている。

●ワークの流れ
・開会
・オリエンテーション、アイスブレイク
・ツールの探求
1) 帰納法
2) 演繹法
3) MECE
4) ロジックツリー
・学びのまとめ
・閉会

●グランドルール とことんロジカルに考えよう!
感心したときは「ナイス!ロジカル」

●アイスブレイク
自己紹介
・呼ばれたい名前
・今の気持ち
・今日期待すること
・あなたのロジカル度(小数点第一位まで表現した0〜10の間の数字で表現。)

グループ分け
自己紹介で示した自分のロジカル度を示した数字(小数点第一位まで表現した0〜10の間の数字)を使い、全員がロジカル度の大小の順に従って並び、数字の大きい方から1〜5までの数字を順に唱え、唱えた番号が同じ者同士で集合し、グループとして分かれた。
ロジカル度を小数点第一位まで表現させた理由は、数字を選ぶ時に真ん中の5付近の数字を選ぶ方が集中し、5付近の数字を選ぶ方々の間で順番を決めることが難しくなるため。

●ツールの探求(レクチャーとグループワーク)
・帰納法についてのレクチャー
・帰納法を使用したグループワーク
グループごとに配布した模擬会議ネタから情報を収集し、収集した情報に帰納法を適用して推論を行った。
・演繹法についてのレクチャー
・演繹法を使用したグループワーク
配布した模擬会議ネタから情報を収集し、収集した情報に演繹法を適用して推論を行った。
・MECEについてのレクチャー
・MECEを使用したグループワーク
配布した模擬会議ネタからMECEに相当する部分を収集した。
・ロジックツリーについてのレクチャー
・ロジックツリーを使用したグループワーク
配布した模擬会議ネタに示されている課題への対応策をロジックツリーを使って検討した。
・ロジカルシンキングのツールについての検討
対話や議論においてファシリテーションを行う際に、帰納法、演繹法、MECE、および、ロジックツリーをどのように利用できるか、どのようなことに有効か、ということについて話し合った。

●学びのまとめ
全体として、帰納法、演繹法、MECE、および、ロジックツリーといった思考法やツールに馴染みの無い方の割合が多かったようである。グループワークで、配布されている模擬会議ネタから拾える情報に対して帰納法や演繹法やMECEを適用して推論を行うなどしたが、難しいと感じて戸惑っているような声も耳にした。
ロジックツリーについては、ロジックツリーが帰納法、演繹法、MECEを組み合わせた表現法だったので、理解が難しいということは無かったと思う。しかし、実際にツリーを構成することについては、それを難しいと感じていたグループがあったようである。
グループワークの最後の検討では、帰納法、演繹法、MECE、および、ロジックツリーといった思考法やツールについて、それらのツールを対話や議論において使用することによる良い効果について、幾つか意見が挙がった。それらを使用することで、発言の位置づけ、発言と発言の間の関係性を整理して見える形に表現できる、議論する際の視点として漏れているとを発見できる、仮説を見つけやすい、など、それらに議論や対話を行いやすくする効果を見出しているような意見が挙がった。

>>例会担当者の感想

 埼玉サロンで実施したテーマであったが、参加者の属性が違うこともあり、提供したケースの文言に馴染みがない、帰納法など聞いたことがない、という方々がいらっしゃったので、もっと丁寧な進行に変えた方が良かったと反省。
最後のロジックツリーワークでは、最初から付せんを使うようにインストラクションした方が参加者の学びにつながったと思われる。
場に合わせて、プログラム・インストラクションを変えたりすることが大事だと思うが、そのためのフィードバックを参加者のみなさんから貰えた例会であった。
(メインファシリテーター:小藤)

 同じテーマでふせん等の使用は自由でしたが、グループによって使い方とワークの進み具合がぜんぜん違うことが新しい気付きでした。
また、ロジックツリーは幹から、枝先から、根元から、あらゆる角度で深めていけるということも、新発見でした。
(壁谷)

 テーマが分かっていて、「はじめてのロジカルシンキング」という本も購入していたにも関わらず結局参加する日までパラパラ見る程度しかできず、用語を確認していなかった事が私の反省点です。
「自分がどう使うか」という事を意識する流れで進められた事がとても良い刺激になりました。
(小林)

 グループワークを行う際、グループワークの課題そのもの、課題にロジカルシンキングやツールを適用して答えることに集中し過ぎてしまった。ファシリテーションの研究や勉強の場である、という視点での取り組みが弱くなってしまっていたように思う。例会がファシリテーションの研究や勉強の場である、ということをワーク中にTERUさんの注意を聞くまで忘れてしまっていた。それを反省している。
他、細かいことであるが、用意して配布する付箋紙をより大きい寸法のものにしておけば良かったのではないか、と思う。ロジックツリーを作成する際に、模造紙への直接の書き込みだけでなく、付箋を使い、付箋紙に記事を書いて、記事を書いた付箋紙を模造紙に貼り、付箋紙と付箋紙の間に線を書き込んで記事と記事の間の関係性を表現するようにして、ロジックツリーを作成しているグループがあった。とても便利で良い手法であった、と感じている。思考を整理してロジックツリーを構成する時に、記事を書いた付箋紙を取捨選択し操作することで、色々出てくる記事について、それらの関係性を検討しつつ、ツリーの構成を同時に行える。ロジックツリーを構成する記事を挙げる際、その作業をワーク参加者全員で同時に並列的に行って候補となる記事を列挙することもできる。また、付箋を使うやり方は、帰納法や演繹法やMECEで推論を行うにも便利に使えて良いのではないか、と思う。しかし、発表の模造紙に張られた付箋の文字が小さく、遠くからでは模造紙上の記事を読むことができなかった。付箋紙の寸法が小さかったため、と思われる。大きい寸法の付箋紙を用意しておけば良かったのではないか、と思う。付箋紙が大きければ、記事を大きい文字で書くこともできる。付箋紙を使ったグループが発表に使用した模造紙も、遠くからでも読み易い紙面になっていたのではないか、と思う。
(小松)