テーマ | 実践事例研究 /分断されがちな弱者をつなぐ対話型ファシリテーション | |
開催日 | 2020年11月21日(土) | |
会 場 | オンライン | |
講師・ファシリテーター | 月崎時央(FAJ会員) | 1名 |
企画運営担当 | 向山聡、久澄 園子、(前原恵) | 2名 |
参加者数(会員) | 10名 | 名 |
一般・見学者数 | 2名 | 名 |
【概要】(告知文より) 私たちは「ファシリテーションを勉強する」ということに気持ちを流されて、実際に社会を変えるためにファシリテーションを利用することが少ないのではないでしょうか? 11月定例会では、社会の中で取り残されがちな方々の支援を、ファシリテーションを活用して行っている事例を紹介します。 ここでは「実践事例研究」として、紹介した事例を基に話し合いを行います。 社会の中でのファシリテーション活用に関心がある方、ぜひともご参加ください。 《紹介する実践例のご案内》 日本で100万人以上の方々が苦しんでいる「うつ病」では、診断された方ほぼ全員が向精神薬を服用しています。 薬への依存性がとても高いため、対処が難しく、どんどん大量の薬を飲むことになる人が多いのです。 薬の負担を減少して健康を取り戻すことは容易ではなく、徐々に社会から切り離されていくケースが多くなります。 今回の話題提供者であるつっきー(月崎さん:FAJ会員)は、当事者やその家族の方々が思いを語り対話を行う場を作り、自らが回復をしていく支援を行っています。 また、2015年からは「Zoom」によるオンラインでの対話の場を提供することで、隔絶された弱者の方も参画できるカルチャーを継続的に作ってきています。 ■こんな人におすすめ ・ファシリテーションの利用事例・実践事例の展開紹介をしたい ・ファシリテーションで社会を変えてみたい ・オンラインでの対話型ファシリテーションに興味がある ・ビジネス系以外のファシリテーションを考えたい ・地域や教育機関、企業などの相談業務などでファシリテーションを使いたい方 ・メンタルの問題で困難を抱えている方が周辺にいる方 |
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テーマ詳細 プログラム内容 担当者振り返り 参加者コメント など |
【プログラム】 今回の「実践事例研究」では、事例紹介を「事例の背景・社会的位置づけ」「実践事例のファシリテーションによる取り組み」「オンラインによる取り組み」の3区分で行った。 「事例の背景・位置づけ」では、向精神薬の利用実態や課題に加え、薬剤依存からの抜け出しにくさや当事者の困難状況を明らかにした。「ファシリテーションによる取り組み」では、「当事者研究」という手法の解説と、そこで用いられるファシリテーションスキルとその効用について伝達した。「オンラインによる取り組み」では、家から出ることができない方や外出時の費用負担を重く感じる方々がつながる方法やその効用について、その経験と課題について実際の内容を伝えている。 参加者交流としては、オンライン・ホワイトボードを使いながらの交流を行う構成とし、事例紹介の2区分が終わったところで1回、3区分目の事例紹介終了後に1回行い、事例に対する感想・自己体験や意見交換等を行った。更には、「事例紹介という手法」を中心に各自のアイデアや取り組み案を考えてもらった。 定例会としての狙いである「ファシリテーションが実際の社会で役立っている事例を知る」「オンラインや対話型ファシリテーションの効用を学ぶ」といった学習修得的な部分について、十分に学びを深めるステップを踏めた。 ただ、これらに加えてチャレンジをした「自らの実践事例を紹介できるレベルで考え直す」といった視点変換まで進んだ参加者は一部で終わったように思われる。 |
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【参加者の声】 ●問題解決がすべての解決ではないことが理解できた。 ●精神障がいの話から様々な障がいのある方へのアプローチの方法を講話とワークショップの中で学べたことが良かったです。 ●薬の多剤処方がおよぼす恐ろしさ、それをブレークスルーする対話の効果! ●対話型ワークショップについてもう少し聞きたかったです。 ●対象者の物語を紡ぐ瞬間に立ち会わせてもらえるよう、丁寧に言葉をひろいたい。 ●参加者の皆さんが、他の方を尊重しながら一緒の場を共有しているのがとても居心地が良かったです。FAJという会は「ファシリテーションとは!」というノウハウを研究?する会なのかな、と、勝手にイメージしていましたが、いい意味で全く違い、とてもいい学びや気づきの時間になりました。何より、あちこちの地域の様々な分野の方々と話す機会は貴重で、とても楽しかったです。 ●ホワイトボードは初めて使ったのですが、事前にレクチャーを丁寧にしていただけたおかげで本番はスムーズに使うことが出来てありがたかったです。 |
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【運営担当振り返り】 ●オンライン定例会へ初参加の方、非会員の方も参加されましたが、Zoom説明会への参加や、むーたさんの折々の声かけで落ち着き、安心して参加されており良かった。 ●参加者のみなさんが早めに入室いただき、事前にホワイトボードを触る時間がありスムースだった。めぐりんんお事前案内が丁寧だったためだと思われます。 |
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【話題提供者振り返り】 メンタルの不調からの回復を支援するためのファシリテーションの実践について話題提供をさせていただきました。 当事者を中心とした複数の多様な参加者の場を作り、当事者が「弱さ」という自身の課題を参加者に開示することによって対話を深めていく場をサポートするファシリテーターのあり方について紹介しました。 これは治療の場で行われるいわゆる「カウンセリング」とも異なり、参加者全員がそれぞれの異なる経験や思いを持ち寄ることで対話しながら物語を紡いでいくものです。「不確実性に耐える」という言葉が示すように従来の論理的で明快なファシリテーションと異なるがあることが参加者の皆さんにお伝えできたかなと思っています。 【企画スタッフ振り返り】 ・テーマのコンテンツとしてメンタル問題を取り上げる、というFAJではあまり見ないチャレンジを行いました。参加された皆様の多くは、このコンテンツに関心を持った方々であったと思われます。 ・参加者の皆さんが、実践事例を聞いてどのような反応をされるのか?が企画者としての大きな関心事でした。短絡的な評価・判断をして好ましくない行動をとるような方がいるといけない。とは言え、具体性が欠けた実践事例では、課題が不鮮明になったりファシリテーションを用いた施策が理解できなかったりすることが起きるのではないか?という心配がありました。 ・懸念事項の多くは杞憂に過ぎず、事例に対して皆さんが真摯に捉えて意見交換をされている姿に大きな感銘を感じました。自らがメンタルで悩まれた方や職務で取り組まれている方々だけでなく、多様さ背景から参加された方々も、つっきーさんが取り組んできた活動に十分な理解をして、前向きな話し合いをされていたことは、企画者として非常に心強く感じたことです。 ・話し合いにオンライン・ホワイトボードを使うことも、思った以上にスムーズに対応して頂き、「今後は自分も使う」等の表明を聞くこともできました。定例会に参加される皆さんのポテンシャルの高さをここでも感じられました。 今後は、「リアルな実践事例を参加者が真剣に話し合う」という定例会の形をさらに磨きこんでいきたいと思います。 |
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