日本ファシリテーション協会広島サロン3月定例会議事録
担当運営委員(山内、小谷)
1.日時 2008年3月22日(土) 13:00〜17:00
2.場所 広島市女性教育センター 第一会議室
3.テーマ 問答有用、哲学カフェ
4.ファシリテーター 堀江さん
5.参加者 17名(会員11名、非会6員名、ファシリテーターを含む)
6.プログラム
①哲学カフェとは?
②自己紹介(みんなで話し合いたいテーマを一つずつあげながら)
③哲学カフェをやってみよう
④振り返り
7.内容(全体を通して、テーブルにお茶やお菓子を置いて、カフェという
設定に)
①哲学カフェとは
広島大学で哲学を研究されている堀江さんから、「哲学喫茶」という
パンフレットを使ってわかりやすく紹介していただきました。
1)1990年代にフランスで生まれました。日本でも色々なところで開催
されています。
2)カフェで何かのテーマを決めて、「○○とは?」という問いについて参
加者が自分の思いを言葉に出して交流します。
3)結論を出すことが目的ではなく、普段突き詰めて自分の言葉で表現
しあうことで、自分の価値観や信念に向きあったり、他人の価値観や
信念を聞いて考えを深めたりする体験を味わいます。
4)哲学カフェを開催するときの約束事
・できるだけわかりやすく意見を述べる
・発言は最後まで聞く
・信条を一方的に述べて押し付けることは控える
・発言する、しないは参加者の自由(発言せず、聞いているだけの参加
もOK)
・途中参加・退出自由(あくまでカフェに来ているのです)
②自己紹介と話し合いたいテーマの列挙
全部は書ききれなかったのですが、大きなテーマ、硬いテーマから身
近な話題まで堀江さん以外の16人がバラエティーに富んだテーマと
その背景を出し合いました背景まで説明することで、自己紹介にもア
イスブレイクにもなりました
(例)・人生とは?
・仕事とは?
・家を継ぐとは?
・なぜ巨人は強い選手ばかり他チームから集めるのか?
・自分の周囲の大切なことなのにすぐ「関係ない」という人がいい
のはなぜか?
・学校の校則等ルールとは何のためのものか?
・赤信号をわたるとは?
・血液型診断は意味ない!なのにどうして皆話題にするのか? etc.
(書ききれなかった方、ごめんなさい・・・)
③哲学カフェをやってみよう
出し合ったテーマでどれを取り上げるか皆で議論。仕事とは?という
テーマで話し合いたい、という人も多かった反面、もう少し身近なテー
マのほうが議論し易いといった意見も出ました。
仕事とは?というテーマに傾きかけたとき、みんなの固い雰囲気につい
ていけるか不安、という投げかけがあり、みんなの頭の中に「仕事」に
ついての思考が充満し始めて、場がとっても硬い雰囲気になっている
ことに気づかされました。
→仕事、という言葉より働く、という言葉のほうが話しやすいとの意見
も出て、「働くとは?」というテーマに決定
みんな自由に、自分にとって「働くとは?」という思いを言葉にしてみま
した。
最初に会社の仕事の大変さや上司との人間関係に苦しんで、一旦
退職したいと言った後、慰留されて続けるうちに今はピークのときほ
ど苦痛ではなくなったとのエピソードを話していただいた方の体験を
中心に質問や意見が出始めて、話し合いが始まりました。
何のために働くのか?ということではマズローの5段階説に沿って説
明できるのでは?という意見も出たりして、話題が広がっていきまし
たが、拡散気味にひとしきり意見や思いが出たところで、ファシリテー
ターの堀江さんから、次のステップとして、一つの定義にまとめるか、
さらに同じテーマで話し合いを続けるか、角度を変えた再展開を図るか
、との投げかけがあり、(一旦ここで休憩)
みんなで相談して、再展開の話し合いを行うことになりました。
ここで、(自分で意識して)働いているかどうか、と言う観点と、周囲
に影響を与える「働き」をなしているかどうか、という観点があるので
は、との意見が出て、「働いている/働いていない」「働きをなしてい
る/なしていない」との2軸で考えるフレームを設定して話し合うこと
になりました
↓
これをきっかけに、「働く」は自分の意思で、「働きをなしている」は周
囲の評価できまるのでは?とか、「働きをなす」とはよい影響を与え
る場合だけか?
自分で二つの軸をおきなおすこと、自分でうまく軸をつかめた人がやり
がいを持っている人では?などの話し合いがされました。
最後に、「目的、対象によい影響を与えることが働くことである(相手
の立場に立たないと何がよい影響かわからない)」ということにみん
な賛同して終了。
④振り返り(ファシリテーター以外の参加者が一言ずつ発言)
・視野が広がった。2軸の見える化の効果が大きかった
・普段一人で考えているが、みんなと話し合って持って帰るものができた
・若い人に「仕事とは?」と教えるより、哲学カフェで一緒に考えたほう
が面白い
・毎日の定例的な仕事の繰り返しから離れ、みんなと話し合うことが新
鮮だった
・色々な意見が聞けた。働くとは?には答えがなく、日々変わるが逃げら
れない明日もまた明日の「働くとは?」に向き合いたい
・話し合いが最初煮詰まりながら、休憩で活性化した変化の様子が面白い
・哲学とは一人で考えるものと思っていたが皆でやると色々意見が出て
面白い
・一つの答えや結論を出さなくてもよい、という気楽さがよかった
・楽しかった。最初難しい話しで入っていけないと思ったが、何を話して
もよいと言われて楽になった
・普段味わえない体験、答えを出さなくてよいという新鮮さがある
・問いを立てる段階で立ち止まってしまう自分がいたが、皆の問いが出て
くるので深まった。自らも問いを発するようにしていきたい
・哲学カフェを開催する際には、ファシリテーションマインドを持って何を
言ってもよい、という場があることが有効
・机の配置や、茶菓などで話し合いやすい雰囲気が作り出されていた
・楽しくて充実した時間だが、何をして来たの、と聞かれると説明できない
・働くのは顧客のため、と言っているが、自分が新人の頃はどうだった
のか?あらためて考えた
・答がない、いろんな答がある、これが哲学という所以か。
以上