2012年12月度 定例会報告『議論との関わり方を究める 〜討論型世論調査の事例を基に〜』北海道支部

北海道支部 2012年12月度 定例会報告

『議論との関わり方を究める 〜討論型世論調査の事例を基に〜』
            
【日   時】:2012年12月1日(土)  13:00〜17:00
【場   所】:北海道大学高等教育機構 E208 (札幌市北区北17条西8丁目)
【話題提供者】:三上直之 さん(北海道大学高等教育推進機構 准教授)、もっくん
【コーディネーター 】:Tsume、まみれ
【参 加 者】:25名(内 会員18名、非会員3名、三上研究室ゼミ生4名)
※今回は「北海道大学三上研究室」との共同開催の定例会でした。
<概要>
 討論型世論調査(Deliberative Polling:DP)というのは、無作為抽出された方々に、情報を十分提供したうえで、その課題を自由に討論してもらい、事前・事後の意見の変化を調査・研究するもの。
他者の意見を聞き自らも発言するプロセスを重視し、じっくり考えられた解答を得ることを目的とした手法です。三上准教授はこのDPを用いて一昨年11月に実施されたBSE問題の調査研究で、中心的に関与されました。
 今定例会のワークでは、実際にDPの討論などを体験し、その中での気付きなどを語り合いあいました。DPでは、ファシリテーターではなく、モデレーターと呼び、その役割にも違いがあります。参加者はやや戸惑いながらも新しい体験を楽しみ、また北海道大学となでの開催とあってか、学生顔負けの元気溢れる定例会となりました。
 北海道大学三上研究室のゼミ生からも4名参加されました。三上准教授には大変お世話になり、改めて感謝申し上げたいと思います。
【開会】13:00〜
○Tsume、まみれ
 開会のあいさつ、3つのお約束、話題提供者(三上准教授、もっくん)の紹介
【オリエンテーション・アイスブレイク】13:05〜
○もっくん
 本日のスケジュールの確認、BSEの概要説明
 3〜4人のグループで自己紹介/名前、お住まい、この定例会をどこで知ったか、今の気持ち
【レクチャー1】13:15
○三上准教授
 討論型世論調査とは何か、モデレーターの役割説明
【インストラクション】13:35〜
○もっくん
 ワーク(DP体験)の説明
【レクチャー2】13:45〜
○三上准教授
 BSEの動画と資料を使ってBSEの問題(全頭検査の必要性)内容を参加者に説明
 この後4つのグループに分かれ、フィッシュボール形式を使ってDPを体験。
【DP体験】14:05〜
○もっくん
 役割を決めて(モデレーター1名、観察者2〜3名、討論者5〜7名)、実際にDPを体験。10分のDP体験の後、別のファシリテーターをたてて、5分の振り返りを実施した。これを3回繰り返した。
【振り返り】15:35〜
○もっくん
 DP体験を通じて得た気づきを話し合う。これまでのグループをさらに2つに分けて、合計8グループで実施。社会調査を目的としたDPと、自分の現場の違いを比較してもらった。その後8つのグループが、今日の気づきを各1分で発表。
【レクチャー3】16:25〜
○三上准教授
 熟議型民主主義や、ミニパブリックス、市民対話の他、ファシリテーターの広がりについて質疑を行った。
【閉会】16:40〜
○Tsume、まみれ
 本日の定例会のアンケートに記載依頼、次回定例会の連絡事項ほか。
【話題提供者のコメント】
<三上准教授> 
 このたびは、FAJ北海道支部の定例会「議論との関わり方を究める〜討論型世論調査の事例を基に〜」を共同で開催する機会を頂き、ありがとうございました。
 定例会当日にも少しご紹介しましたが、私どもの研究室(北大理学院・科学技術コミュニケーション研究室)では、科学技術への市民参加の研究の一環として、討論型世論調査(DP)の手法研究に5年前から取り組んでいます。DPのグループワークでは、徹底して非介入的なファシリテーションが求められ、それはこの手法の大きな特徴なのですが、現場で運用する上では、その良さと同時に、この種の非介入的な会議進行の方法を日本社会で実践する難しさにも直面してきました。
 今回の定例会では、こうしたある意味で特殊なファシリテーションのスタイルを、参加の場づくりの経験豊富なFAJの皆様に体験していただき、さまざまな角度から意見交換することができました。今後、日本におけるDP活用の可能性についてさらに研究を進める上で貴重な経験となりました。
 今回の定例会のプログラムは、「DPという参加型プログラムを体験するプログラム」という入れ子構造になっており、もともと話が少しややこしかったうえに、初めての試みでしたので、こちらからの説明や時間配分などに行き届かないところもあったかと思います。今後、この経験を生かして、今回試みたような「参加型プログラムを体験するプログラム」をさらに開発・試行していければと考えています。
 最後になりますが、今回中心となって企画を進めてくださった橋詰敦樹さん、只石めぐみさん、本宮大輔さんを始め、FAJ北海道支部の皆様、その他参加者・関係者の皆様に改めてお礼申し上げます。
<もっくん(本宮大輔)>
 2011年11月に北海道大学で行われた討論型世論調査のフィードバックを行えたことは非常に嬉しいです。私がファシリテーションを志した理由の1つに代表制民主主義の疲弊を受けての新しい民主主義の創造にチャレンジしたいという気持ちがあって、その一端を皆さんと共有できて、感激に絶えません。
【参加者アンケート(抜粋)】
・討論型世論調査の目的が「自分の意見を固める」と三上先生が話されているのを聞いて納得できる部分がありました。
・面白かったです。自分の在り方について考えました。
・討論によって意見が変わっていくのを実感できました。
・非介入的な会議進行について、もう少し考えてみたい。
・場を参加者にゆだねること、沈黙を大切にすること、実践に生かしたいと思います。
・グループの相互作用が見れて面白かった。
・今回の定例会のインフォメーションが固かったかも・・・。「モデレーターを体験しよう」など、何をするのか解りやすくインフォメーションしていただけるとありがたいです。
・このような大学での定例会も面白いです。
・三上先生ありがとうございました