2012年6月度 定例会報告『決断のプロセス(ジレンマ)を通して問題の構造を考える〜クロスロード〜』北海道支部

北海道支部2012年6月定例会報告 
『決断のプロセス(ジレンマ)を通して問題の構造を考える〜クロスロード〜』
日 時:2012年6月9日(土)13:00〜17:00
場 所:ちえりあ(札幌市生涯学習センター) 中研修室2
話題提供者:FAJ北海道支部クロスロードチーム
コーディネーター:岡田栄作(妻夫木君)、酒井麻里(まり)
参加者:32名(非会員5名)

<開催趣旨>
日常生活は決断の連続であり、その中には決断することにジレンマを要した事例も多々ある。そんな時皆はどのように考え、決断しているのであろう。
クロスロードは、阪神・淡路大震災をきっかけに、ジレンマを共有するために生まれたリスクコミュニケーションツールで、この手法は、質問に「イエス・ノー」で答えるゲーム形式の中に、ファシリテーションの要素がたくさん詰まった新しいコミュニケーションツールである。このクロスロードというツールを用い、決断の分かれ道に頭を悩まし、いろいろな意見や価値感を共有する。

<ワークの流れ>
1)オープニング(13:00〜)
・オリエンテーション
まずは、本日の話題提供者の紹介があり、クロスロードチームのぜっとさん、す〜さん、Yukaぽんが本日の進行を担当。
簡単なクロスロードについての説明の後に、本日の進行について説明があり、グループ分けをしました。

・グループ分け
グループ分けについては、す〜さんから
①あなたの性格はおじさん?
②宝くじで100万円当たった!他人に言う?
という2つの質問にYES/NO形式で答えてグループ分けを行い、5人×5島、4人×1島に分かれました。

・グループでの自己紹介
A4の紙を4つ折りにし、名前・出身地・マイブーム・最近の決断について記述し、互いに5分ぐらいで自己紹介をしました。


2)ミニレクチャー(13:20〜)
・クロスロードの生い立ち
クロスロードの生い立ちや普及状況、活用状況について、簡単なレクチャーがありました。
「クロスロード」とは、「岐路」、「分かれ道」のこと。災害対応は、ジレンマを伴う重大な決断の連続で、95年の阪神大震災の際、神戸市職員が実際に迫られた難しい判断状況を体系化すべくインタビューを実施し、その成果物として「クロスロード」が誕生し、そのキットは京大生協で販売され、「神戸編」、「市民編」などあることが紹介されました。

3)体験してみよう(13:30〜)
・ルール〜進行説明
進め方としては、
1) 出される質問に対してYESかNOを決断し、一斉にカードをオープンにすることで意見表明をする。
2) 多数派は青座布団カードを得ることができ、1人だけ違ったら金座布団カードを得ることができる。
3) 選択理由を自分の言葉で説明し、共有する時間を持つ。
ということが示されました。

・実際にクロスロードをやってみる。
神戸編、市民編、感染症編、食品安全編、子ども編と偏りなく問題が5問出題されました。各テーブルでいろいろな意見が出され、その理由も様々で、いろんな判断を共有する機会になりました。中には、金座布団狙いで、相手がしないだろうなと予測して判断をする方や裏をかいたつもりが結局多数派になってしまった方など様々でした。

4)問題を作ってみよう(14:30〜)
・あなたのクロスロードを考えよう。
自分たちの体験の中から「困った・迷った」を出し合って、グループで問題を作成しました。まず、各自の「困った・迷った」をA4に書き、次にそれをグループでシェアし、問題を決定し、それを基に問題を作成した後、クロスノート形式で模造紙に書くという作業プロセスでグループ活動を行いました。各自のグループでいろんな、困った、迷ったがでた。全体的に家族関係の話題が多かったようでした。

5)作った問題をやってみよう(15:10〜)
・各問題の構造を考えてみる。
隣のグループが作った問題を実際にやってみて、Yes/Noの理由を書き出し、問題を戻して話し合ってまとめ、他のグループを見て回るという作業を行いました。それぞれのグループの作った問題を共有でき、それぞれに楽しむことが出来たようでした。問題は作るのは意外にも難しく、問題によっては回答が片方に偏るなどの傾向もみられました。

6)クロスロードチームの実践報告(15:30〜)
児童館、フォーラム、小学校、職場、大学などでの実践報告が行われ、クロスロードが様々な場所で活用されていることが紹介されました。職場での実践報告の中には、「社員から1ヶ月前に販売したかまぼこのアレルギー表示から、卵白が漏れていたと報告を受けた。今販売している製品の表示に問題はない。この際、新聞に社告を出すのをやめる?Yes/No?」といったような問題提起がなされ、各自が思い思いの回答を提示し、議論しました。

7)クロスロードの活用方法を考えてみよう(15:45〜)
クロスロードがどんな所で使えるかをグループで考えてみました。手順としては、各自で考えてA4用紙に書き、グループでシェアしました。クロスロードの活用方法としては、教育、研修での活用方法など様々な意見が出ました。

8)おわりに(16:20〜)
最後の問題は、
「あなたは今、クロスロードを自分で使ってみたいなと感じていますか?Yes/No?」
という質問で、多くの方が使ってみたいと回答し、大盛況のまま6月定例会は終了しました。

<アンケート結果(抜粋)>
・話題提供者の進行のテンポがよかった。
・決断する際にいろんな視点があることを知った。
・職場でも使ってみたい。
・決断することは難しい。
・次回も参加したい。