第22回 その1:2005年8月20日 リプレイ企画第2弾 「ロジカルなファシリテーションが議論を救う!? 〜ロジカルな議論のプロセスを学ぼう!」関西支部

第22回関西地区研究会議事録 その1

■ 日時:2005年8月20日(土) 13:00〜17:30
■ 場所:本町 トータルサポートブレインズ
■ 題名:リプレイ企画第2弾
       「ロジカルなファシリテーションが議論を救う!?
             〜ロジカルな議論のプロセスを学ぼう!」
■ 担当:吉川、稲井、鈴木
■ 参加者:23人
■当日の流れ
(1)開始前の準備
 各自シールに FAJ 定例会参加回数とロジカル度(10段階自己
 評価)を記入し胸に貼る。

(2)グループ分け
 参加回数1−4回の方(11名)と参加回数5回以上の方(12名)に
 2分割、さらに各まとまりをランダムに2分割して、結果4グループに。
 1グループ:6名、2グループ:5名、3グループ:6名、4グループ:6名

(3)アイスブレイク(自己紹介)
  グループ内で以下の3つを順に発表。
    1)お名前 2)ご所属 3)何か1つ、 FAJ ではじめて話すこと。

(4)アクティビティ(前半の部)

■要領
・「夏バテしないようにするにはどうしたらよいか?」という命題に対して、グループとして対策案を3つ決める(時間は45分間)。
・各自の「参加回数」「ロジカル度」を掛け算して、グループで2番目に数字が大きい方がファシリテーターを務める。
・進め方は特に指示しない。グループで自由に進める。
・模造紙、ポストイット等は自由に使ってよい。

〜グループごとに議論〜

(5)振り返り
議論の進め方と内容を振り返り、表(略)にグループごとにまとめる

(6)各グループ発表、 Q&A
4グループ
・効果があって、現実性があるものということで、3つ決定。
   ?胃腸をよわめない、
   ?規則正しい生活、
   ?(土日に涼しい)会社で仕事をする
・進め方は、
   ・夏バテのイメージを自由に出しあったのち、夏バテを定義した。
   ・原因の議論に時間をかけた。
   ・具体的な対策を出した。
   ・「効果」と「現実性」の切り口でポジショニングマップを作成し
   絞り込み
・良かったのは、
   ・原因、対策、絞り込みというステップが踏めた。
   ・ 原因のところと対策のところでは、それぞれ発散・収束の
   議論ができた。
・反省点としては、
   ・原因のところの構造化が弱かった。
   ・その他、
   ・時間が無かったのでポストイットは使わなかった。
   ・イメージ出しのときに色々くだらない話なんかもしたことが
   よかった。

質問:時間が無かったからポストイットを使わなかったという説明が
    あったが、それはそうなのか?
回答1:あくまでイメージだが、ポストイットを書いてもらうと、それを
    共有するのにもう一度まとめたり書いたりしなければならず、
    時間がかかる。意見がなかなか出にくいときはポストイットも
    いいが、今回はぽんぽん出そうだったし、且つうちのグループ
    はファシリテーショングラフィックも使っていたので、どんどん
    書いてもらった。

回答2:ポストイットを使うと字が小さくなりがち。大きな字で1つの
     ものをみんなで見ながら進められたので、そこからアイデア
     も出てきたりしてやりやすかった。

3グループ
・結論は、3つに絞り込めなかった。
   ?クールアロハ(アロハ、バティック等を正装に)を推進する、
   ?自分にとって適度な運動を続ける、
   ?・・・
・進め方としては、
   ・イメージあわせをして夏バテの定義を決めた。
  ・夏バテをシステムチャート(因果ループ図)に展開できた(「夏バテ
   スパイラル」と名前を  つけた)ことが一番の成果だと思ったが、
   続けて対策を議論したときにはこの分析(夏バ  テスパイラル)結果
   から離れて議論してしまった。

2グループ
・3つの対策は、衣食住という切り口で1つずつ。
   ?クール Biz (衣)、
   ?ライフスタイルの提案(恋、早寝早起等)(住)、
   ?栄養価の高いもの・スパイシーなものを食べる(食)
・進め方は、
   ・夏バテというのは、どういうことかを出し合い、それらを
   グループ化。
   ・根っこは暑いということ。それによって、心と体に問題が出てくる。
   ・これが、原因と症状の「悪魔のサイクル」を作るという結論に
   なった。
  ・これらに対して対策を洗い出し、「天使のサイクル」として
   衣→住→食の3つで対策案を立てた。
・振り返ると、
  ・グループとして個性の強いメンバーが集まった。まとめるの
   が難しかった。
  ・ただ、こういうメンバーが集まったのなら、こういうまとめも
   グループの個性。

質問:ファシリテーターはやりやすかったか?
回答:どんどん意見が出てきたので、正直どうしていいかわからな
    かった。

1グループ
・進め方は、
  ・対策を各自書き出して分類した。あとから原因を議論した。
  ・ただし、同じ栄養面での対策でも、ある人は、栄養価のある
   ものを、ある人は、冷たい食べやすいものを、という相反する
   意見がでて苦慮した。
・良かった点は、
  ・全員参加で議論できたところと、まったくの相反する意見を大事に
   できた。
・悪かった点は、
   ・行き当たりばったりの議論になった。

質問:3つの結論は?
回答:同じ切り口でも2つの相反する対策がある。

?栄養:バランスよく食べよう。冷たい食べやすいもの食べよう、
?環境(エネルギーの使い方):冷やそう。冷やし過ぎないように、
?リラックスということで、まとめると3つの対策と考えている。

メンバーが夏バテになる人、ならない人で意見が分かれたのが原因。夏バテとはどういうものかというコンセンサスをとるのが最後になったからこうなったのだろう。

(7)休憩

(8)アクティビティ(後半の部)
・チャートの使用例説明
ツリー型(ロジック・ツリー)、マトリクス型(Tチャート、3欄Tチャート、ペイオフマトリクス、ポジショニングマップ)、サークル型(交差図)の使用例を説明

■要領
・同じテーマについて、説明をふまえ、チャートを使って再度議論する(時間は30分間)。
・先ほどと同じ対策3つになるかもしれないし、ならないかもしれない。

質問:どのチャートを使うかはどうやって決めるのか?
鈴木:自由にグループで議論して決めてください。

〜グループごとに議論〜

(9)振り返り
各グループ、前半と後半での変化を発表。
4グループ
・進め方の変化
・説明に無かった特性要因図を使って、原因の構造化を試みた。
・外的な要因、内的な要因という切り口で整理した。
・ロジックツリーで具体的な対策を深めた。
・その他、
・原因系のツリーをやろうとしたが、やりきれなかった。

質問:3つの結論は?
回答:?胃腸をよわめない、
   ?規則正しい生活、
   ?ストレスをためない(前半の議論で選んだ「(土日に涼しい)
    会社で仕事をする」は、環境要因であり、コントロール不可能
    なのではずした)

質問:議論の進み方は変わりましたか?
回答:無理にツールを使おうとして混乱したかも。ある意味、今回の
    ほうが混乱をきたしてまとまってないかも。

3グループ
・進め方の変化
   ・大きく変わった。スパイラルにこだわった。
   ・スパイラルをきっちりやって可視化した。
   ・結果、一番の原因は睡眠不足だという結論になった。 
  ・この原因を解決するために対策をロジックツリーで
   MECE に洗い出した。
   ・出てきた対策をポジショニングマップに位置付けた。
・結論は
   ・?適度なアルコール、?アロマテラピー、?室温管理して
   ちゃんと寝る
・良かった点
   ・徹底的にスパイラルを整理したことで視界がひらけて、
   すっきりした。

質問:時間の配分はうまくいった?
回答:ポジショニングのところは少しばたばたしたが、それ以外は
   うまくいった。

2グループ
・マトリックスを使った。
・軸は、できる人(参加人数)が多いか少ないか、効果が高いか低いか。
・結論は、日本国の夏バテ予防キャンペーンとして、
   ?朝早く外で体操できるよう公園で音楽を流す、
   ?スタミナがつく商品は消費税をなしにする、
   ?サマーバケーションキャンペーン(もっと休みましょう)、とした。
・今回はやりやすかった。こういうツールがあるとやっぱり違うなということ。

質問:進め方という点でどう変わったか?
回答:議論の焦点がはっきりして、具体的な対策がでてきた。

1グループ
・前半の議論が満足度が高かったのでなかなか進みにくかった。
・手法としては、ポジショニングマップを使った。
・前半の結論同様、夏バテになりやすい人・なりにくい人で分けてマップした。
・縦軸、横軸(やりやすさ、即効性)の議論をきっちりできた。反省点は特になし。
・結論は、夏バテになりやすい人として
?水分をとる、?涼しい服を着る、?冷房を入れる、夏バテになりにくい人として?水分をとる、?スタミナ料理を食べる、?お風呂に入る、とした。

質問:夏バテになりにくい人の対策、というのはやる必要があった
    のか?
回答:メンバー6名のうち、5名は夏バテ未経験、1名が夏バテ経験
    有り、ということで、

      2パターン必要かなということになって議論した。

(10)まとめ
資料(「本日のアクティビティの位置づけ」 A4 一枚)に沿って解説。今回やったアクティビティは、堀さんの「問題解決ファシリテーター」に照らすと、ファシリテーターの3つのスキル
  ・プロセスデザイン
  ・プロセスマネジメント
  ・コンフリクトマネジメント
のうち、プロセスデザインのところ。フレームワークや議論の進め方を知るという部分。ちなみに、前回( Part1 )はプロセスマネジメントという部分、ファシリテーターとして参加者に発言を促したり、対立点を明確にしたり、議論をまとめたりというあたりだった。つまり、今日やったところがすべてではないということをご理解ください。

(おまけ1)
始まるときに書いたロジカル度が、どう変化したか活動後に各自再評価(自己申告)。
各グループの平均値は下記のように変化した。
  1グループ  5.1→5.2
  2グループ  4.6→3.8
  3グループ  5.7→6.6
  4グループ  4.3→5.5

(おまけ2)
【参加者アンケート回答の主なもの(順不同)】
・途中で振り返りをすることで自分たちのプロセスを深くみつめることができよかった。
・ツールを知ることができた。
・実際に数名で意見をまとめていく経験ができた。グラフィックの効果を実感した。
・ Logical な Facilitation 訓練というよりも、アイデア発散・収束の練習という感じだった。
・「議論の進め方」というより「議論のまとめ方」を学習していたのではないか。
・ロジカルがテーマなので、今回取り扱うロジカルとはどういう意味なのか、そこをクリアにし ておかないと「なんとなく」になってしまう恐れがあるように感じた。
・メンバー全員がファシリテーション力、および論理性を強く考慮してエクササイズを行ってい るので、多くの学び・気付きを得ることができた。
・準備がとてもよく、タイムロスがなかったと思う。
・内容についてはツールを使う・使わないの差がはっきりと実感できてよかった。
・せっかくレベル別に分けたので、その差を有効に活用した学びがあれば面白かったと思う。
・全くの初心者でフレームワークを知らない場合は少し戸惑う恐れがあるかもしれない。
・ツールを使う意図の説明がもっとあってもよかったのでは?

この意見はどこでしょうね ふむふむみんながんばってるな
ロジカル通!?鈴木・稲井・吉川の三氏