第43回 その1:2007年7月14日 「本当は怖い プログラム・デザイン」〜"みる"を鍛える 「キホンキホーン」 〜関西支部

第43回関西支部定例会報告 その1

「本当は怖い プログラム・デザイン」
〜"みる"を鍛える 「キホンキホーン」 〜

日時 :2007年7月14日(土)13:00〜17:45

■場所 :大阪市立中央青年センター

■参加者:56名

■担当 :大野、岡田、谷口、小寺、西&堀(監修)

■テーマ:「本当は怖い プログラム・デザイン」

チーム1:"みる"を鍛える 「キホンキホーン」(岡田、谷口、小寺、西)

チーム2:"つくる"を磨く 「けちょんけちょーん」(大野、堀)

※今回は1つのテーマで、2つのプログラムを実行。

チーム1の「キホンキホーン」は、プログラムデザインの初心者、

チーム2の「けちょんけちょーん」は、プログラムデザインの経験者を

対象とし、参加者を募りました。

< チーム1 "みる"を鍛える 「キホンキホーン」 レポート >

(注:チーム2のレポートは別掲しています)

■概要

プログラムデザインの初心者を主な対象として、「プログラムデザイン

を見る目を鍛える」ことをねらいに行う。参加者は、まず、「プログラム

デザインとは何か」についてレクチャーを受けてから、90分間のサンプル

ワークショップを体験。その後、レクチャーの内容を参照しながら、実際に

体験したサンプルワークショップのプログラムについて「良かった点」、

「良くなかった点」を振り返り、チームごとに「プログラムデザインを作る時

気をつけるべき3点」を抽出し、全体で共有する。

■内容

◆レクチャー 〜 プログラムデザインとは何ぞや? (15分)

初めに、西さんから、そもそも「プログラムデザインとは何なのか」を

簡単にレクチャー。今回の定例会では、世田谷まちづくりセンターの定義

する「参加のデザインの3要素(プロセス、参加形態、プログラム)」のうちの

ひとつとして捉えた。西さんからは、「料理で例えるなら、<お祝いの食事会

だからコース料理にしよう>というのが<プロセスデザイン>、<コースの

初めの食前酒はシェリー酒に、前菜は魚介のカルパッチョにしよう>という

ところまで決めるのが<プログラムデザイン>」という分かりやすい例が

示された。

◆サンプルワークショップ

〜 チームビルディングのための輪つなぎワークショップ (90分)

・説明&グループ分け (10分)

サンプルワークショップのねらい(チームビルディング)と大まかな流れ

の説明の後、参加者全員がFAJの定例会参加回数順に輪になり、

端から1人ずつ「A〜E」で点呼。同じアルファベットどうし、5名または

6名のグループになった。

・自己紹介のアイスブレイク (10分)

A4サイズの紙を2回折り、次の4つを書く(描く)。グループ内で紙を

見せながら説明する(3は、なぜその部品にしたか理由も説明する)。

1.呼ばれたい名前(ニックネーム可)

2.FAJ定例参加回数

3.自分を車の部品に例えると

4.自分の似顔絵

・輪つなぎワーク 第1ラウンド (15分)

グループごとに、紙とセロテープで「輪つなぎ」を作り、長さを競った。

予想以上に長くなったので、急遽、廊下に並べて長さを比べた。

ルール:

−制限時間は5分。

−各グループ使える道具は、A3サイズの紙(枚数制限なし)、

ハサミ1つ、セロテープ1巻のみ。

−輪は2個以上つながっていなければならない。

−ワークの間、言葉を発するのは禁止。

・作戦会議 (15分)

第2ラウンドに向けて、グループごとに作戦を練った。

輪つなぎを作るためのハサミ、A3用紙、セロテープはいったん回収。

その他の紙やペンを使って、メモを取るのは任意だった。

・輪つなぎワーク 第2ラウンド (15分)

再びグループごとに「輪つなぎ」を作り、長さを競った。

第1ラウンド同様、廊下に並べて長さを比べた。

第1ラウンドで2位だったグループが優勝。5位から2位に躍進した

グループもあった。

全てのグループが、第1ラウンドに比べて、第2ラウンドの方が長い

結果だった。

ルール:

−制限時間は5分。

−各グループ使える道具は、A3サイズの紙(20枚)、

ハサミ1つ、セロテープ1巻のみ。

−輪は2個以上つながっていなければならない。

−ワークの間、相談自由(言葉を発してもよい)。

*当初、A3用紙は、第2ラウンドも「枚数制限無しの条件」で行い、

第1ラウンドと第2ラウンドの長さを比べて、差が一番大きいグループ

を優勝とすることを考えていたが、紙が足りなくなる可能性があった

ため、急遽、第2ラウンド直前に「20枚ずつ」とした。

(条件が異なるので、ラウンドごとを比べて勝敗を決めるのは止めた)

・輪つなぎワークの振り返り (25分)

グループごとに、自分たちの「作戦」のよかった点、反省点を振りかえり、

全体で共有。優勝したグループには他のグループから質問があがった。

◆サンプルワークショップについての振り返り (30分)

先ほどと同じグループごとに、まず、「サンプルワークショップが自分たちの

グループのチームビルディングに効果があったか」について、ワークショップ

の間の経験、気持ちの変化などを振り返った。

・グループ分けのときに、いきなり点呼で声を出したのはよかった。

・自己紹介のアイスブレイクがあまり効果的ではなかった。「定例の参加

回数」、「車の部品のたとえ」は、もっとワークに関連した内容に変えた

方が良い。

・「作戦会議」といわれたため、効率の良い「作戦」を話し合うことに終始

し、十分なチームビルディングの効果を得られなかった。

◆サンプルワークショップのプログラムについての振り返り (50分)

サンプルワークショップのプログラムを記載したシートを1枚ずつ配り、

グループごとに、プログラムの内容がねらいに対して適切だったか、

良かった点、改善した方が良いと思う点などを振り返った。

グループで出た意見のうち、特に重要と思うもの3つに絞り、

「○○を××すれば、良いプログラムになる」というフレーズにあてはめて

<プログラムをデザインする上での注意点>として全体で共有した。

*当初、サンプルワークショップのプログラムについての振り返った

後、プログラムデザイン全般についての「3箇条」を抽出する流れを

予定していたが、限られた時間のなかでより深い振り返りにするため、

最後まで「サンプルワークショップに基づいて話し合う」流れにした。

・目的の優先順位をしっかりすると良いプログラムになる!

・ワークの意図を後からでも伝えると良いプログラムになる!

・振り返りのアウトプットを目に見える形にすると良いプログラムになる!

・声を出すだけでなく、体を動かすと良いプログラムになる!

・・・などの注意点があげられた。

◆本日のWSの振り返りは、チーム1とチーム2合同で実施

< チーム1、チーム2全体で、本日のWS振り返り実施 >

全体の振り返りは、チーム1、チーム2合同で開催。
チーム1、チーム2の最終成果物である、「プログラムデザインの極意3ヶ
条」を前面に貼り出し、極意3ヶ条を見ながら、本日の感想についての、
パズセッションを実施。
その後、全体で本日のワークショップのプログラムデザインについて、けちょ
んけちょんにされるべく、振り返りを行った。

参加者から企画側へいくつかの質問があり意図開きを行った。

−"けちょんけちょん"について、何故3つのテーマを選んだのか?3つに
分けた理由は?
−ワークショップには幾つかのタイプがある。「気付きを深めるワーク」
「合意形成ワーク」「問題解決ワーク」。これら3つのテーマを設定、
普段取り組んでないワークのプログラムをつくることで新たな気付きがあ
ることを期待した。

そのほか、"けちょんけちょん"に参加したメンバからは、
「前提の条件設定に時間がかかった」
「プログラムデザインのやり方がメンバと違ったので合意するのに時間が
かかった。純粋に、プログラムデザインの評価を行うのであれば、事前
課題にして個人ワークにしてもよかったのでは」
などの意見があった。
また、"キホン、キホン"参加メンバからは、
「ファシリテーターがどういう役割を担っているのかがよくわかった」
「サンプルワークショップが中途半端だった。でもそのお陰で、プログラ
ムでザインを見る目が鍛えられた」
などのコメントを頂いた。


■感想

(岡田)
今回のキホンキホーンは、「定例のプログラムを練る過程で自分自身が感じた
楽しさを参加者のみなさんと共有したい」というのが私にとって一番のねらい
でした。

「プログラム・デザイン」をテーマにした定例会を担当することになって、で
は、プログラム・デザインって何だろう?
・・・そういうことだったのか〜!
と改めて(なんとなくではなく)感じることができました。
別の言い方をすると、「本やセミナーから得る知識」と、「定例で体験して得
る気づき」とが自分の中で結びつく手ごたえを初めて実感したのです(今さら
かよ〜 という声もあるかも知れませんが、実はそうなのです)。

こうなると、ワークショップに関して見るもの聞くもの、楽しくてたまらなく
なるものなんですね〜。

定例のタイトル通り、本当「に」怖いプログラム・デザイン、今回のキホンキ
ホーンのプログラムは決して万全ではありませんでしたが(みなさんにフィー
ドバックいただいたとおりです)、上記のねらいだけは達成できたのではない
かと思っています。
これも全て参加者のみなさんの熱意と知恵とあたたかさのおかげです。ありが
とうございました。

拙い進行については反省しきり・・・精進してまいります。またそのうち、プ
ログラム・デザインについて、みなさんとよりパワー・アップした新プログラ
ムに挑戦できたらな〜という夢も芽生えました。アイデアが浮かんだ方、ぜひ
ご一報くださいませ〜(^-^)


(大野)
今回は、「けちょん、けちょん」の方を企画、担当させて頂きました。
選択とは言えテーマをこちらから提供、短時間の中で、やや抽象的なテーマ
にも関わらず熱心に取り組んで頂けたと思います。

ただ、抽象的であるが故に、状況設定の合意、プログラムデザインの作り方
の合意に、時間がかかり過ぎてしまって、本来のプログラムづくりにかける
時間が充分にとれなかったとの意見がありました。

確かに短時間で完璧なものは出来ませんが、短時間であるからこそ、自分が
普段、プログラムをつくる上で何を重要視しているのかが、わかるのではな
いでしょうか?さらに、けちょん、けちょんにされることで、嫌な思いをさ
れたのかもしれませんが、自分の弱点が浮き彫りになり気付きに繋がるので
はないでしょうか。(正直、私もワークの合間に、堀さんとプログラムを作
成、青のポストイットにムッとしていました(笑))

みなさま、お疲れさまでした。今回のプログラムのデザインについて、私だっ
たらこうする、などといった意見がありましたら、どしどしくださいね!
継続してプログラムデザインについて語り合いましょう!
どうもありがとうございました。


(小寺)
"プログラムデザイン"という1つのテーマを、
「みる」と「つくる」の2つの側面から考えてみる、
というこれまでにないチャレンジングな企画でしたが、
参加者の方々の積極的な姿勢とサポートに助けられながら、
無事に終えることが出来ました。ありがとうございます<(_ _)>

今回、私にとって1番印象に残ったことは、「視点の変換」です。
ワークショップのプログラムを実施する側、つまり、
参加者ではないファシリテーター側の視点に触れる、
1つのきっかけになったことが、良い意味で、
こちらが意図しないところの気づきだったと感じました。

ワークショップを「みる」「つくる」ということをきっかけに、
何かの企画や話し合いに参加したときに少し視点を変え、
ファシリティタティブな場が増えていければいいなと感じました。

一方で、少し残念だったのが「プログラムすぎた」という点です。
ワークショップはある程度事前に準備されたプログラムに沿って、
進行されるものだとは思うのですが、参加者や場の状況に応じて、
プログラムや手法を変えていくことが疎かになってしまいました。

「プログラムデザイン」というテーマでありながらも、
プログラムを元にうまく進行するファシリテーションの、
大切さと難しさに改めて気づかされた企画となりました。

このプログラムとファシリテーションのバランスの問題も含め、
ワークの中でもっともっと参加者の皆様と深めたいような話題が、
全体振り返りを通してたくさん浮かびあがってきました。
是非また「プログラムデザイン」について、
皆さんとじっくり深められるような機会持てたらと思います。
本当にお疲れ様でした。そしてありがとうございました。

                                          
本当は怖いプログラムデザイン〜岡田・大野・小寺が担当です。                                                                                                                     今のプログラムについて振り返ってみてください。                                                                                                                                                                                                                                                                                                                         プログラムデザインのプログラムデザインはどうでしたか?