第53回 その1:2008年5月10日 「ファシリテーション」ってなあに関西支部

第53回関西支部定例会報告 その1

日時:2008年5月10日(土)13:00〜16:30

■ 場所:大阪府立女性総合センター(ドーンセンター)

■ テーマ1:「ファシリテーション」ってなあに

■ 担当:西 筒井 河田

■ 参加者:32名

■ 目 標:

本を読んだり、話を聞いてもなんだかよくわからない。

「ファシリテーション」って、なんだろう。

いろいろ勉強して経験もしたけれど、もうひとつ腑に落ちない。

と思っている人に、ファシリテーションを実感してもらう。

■全体の流れ

13:00【オリエンテーション】

   ・テーマの解説〜進行説明

   ・グループ分け

13:20【セッション1】

  テーマを決めよう

   ・日頃の会議や話し合いなどコミュニケーションについて

    抱えている「悩み」「困ったこと」の中から

    後半に解決策を話しあうためのテーマを見つける

  ふりかえり

   ・話し合いをふりかえる

    「良くなかったこと」「足らなかったもの」は何かを考える

14:45【休  憩】

15:00【セッション2】

  解決策を考えよう

   ・セッション1で出されたテーマについて解決策を考える

  ふりかえり

   ・もう一度、話し合いをふりかえる

16:15【全体のまとめとふりかえり】

■概要

【オリエンテーション】

 ・テーマの解説〜進行説明

 ・バースデーサークルを使って大きな輪を作りグループ分け

 (初級者の方とベテランでできるだけ均等になるよう振り分け)→4グループ

【セッション1】

 ●テーマを決める話し合いとその観察

 ・観察者とそれ以外に別れ、観察者以外で話し合う。

 ・日頃の話し合いなどコミュニケーションに関してで抱えている

 「悩み」「困ったこと」の中から後半の話し合いのためのテーマをひとつ決定する。

 ・模造紙、ポストイットなどは自由に使ってよい。進め方も自由。

 ・各グループから3人の観察者を選ぶ(観察者A=2人 観察者B=1人)

 ・スタッフから観察者の心得を説明

   介入しない 内容に入込まない 感情を交えない 気持ちまで見つめる

  観察者A...話し合いを進めた良い発言や態度を記録する

  観察者B...Aよりさらにテーブルを離れ、場を変化させたものを見つける

 ●ふりかえり

 ・話し合いをふりかえる。

 ・参加者が各自、話し合いの様子を「ふりかえりシート」に記入

  =「良くなかったこと」「足らなかったもの」はなんだったのかを考える。

 ・まず参加者が各自のふり返りを発表し、次に観察者からの報告を聞く。

 ・グループ内で質疑や意見交換を行って、ふりかえりを深める。

 ・全体で気づきを共有するために、全体進行役が参加者や観察者に発言を促す。

 ●話し合いに必要な機能

 ・話し合いに必要ないろいろな役割について解説(資料)

 ・参加者ひとりひとりがどういう役割を果たしたか何が足らなかったかを考える。

【休  憩】

【セッション2】

 ●解決策を考える話し合いとその観察

 ・セッション1で出されたテーマについてグループで解決策を考える。

 ・セッション1と同様に3人の観察者を置いて話し合いを観察する。

  (人は入れ替える)

 ●ふりかえり

 ・セッション1と同様に話し合いをふりかえる。

【全体のまとめとふりかえり】

 ・まず各自が二つのセッションをふり返り、感じたことをシートに記入

 ・各グループ内でふりかえりを発表し、意見交換してふりかえりを深める

■このワークのねらいと事後評価 〜参加者の「ふりかえりシート」から〜

2005年の関西フォーラムで登場してから4度目になるプログラムです。

このワークの目標は、以下の3点です。

①スキルとして説明できないスキルを実際の話し合いで感じてもらうこと

  本を読んだり説明を聞くだけではなかなか身につかないファシリテーション

  を実際に話し合いを深く見つめることで実感してほしい。

  特に、場を変化させるもの(=何気ない発言や態度、そしてその裏にある

  参加者の感情や人間関係など、説明の難しいもの)を感じてもらうこと。

②「ファシリテーション」=「ファシリテーターだけの技術」ではないということ

  一人の参加者の発言や態度が場に影響するということ、すなわち

  ファシリテーションがファシリテーターだけのスキルではなく

  一人一人が参加者として場づくりにかかわれるということを知ってもらう。

③ふりかえりの大切さ

  日頃の話し合いの中でも多くの発見や気づきはあるのだが、実は見過ごされ

  消えてしまっていることが多い。ふりかえりを行うことで多くの気づきが

  あることを知ってもらいたい。

④観察者視点の重要性

  観察者の立場に立つと、話し合いに参加していては見えないものが見えてきます。

  場に何が起こっているかを知るためには、この観察者の視点が必要です。

  観察者を体験される方だけでなく、そこからもたらされる意外な情報で

  参加者の方にもその重要性を感じていもらいたい。

<<全体的に>>>

全体としてはいろいろな点から場作りの大切さを感じられた方が多かったようです。

・座る場所。ポジショニングも非常に重要。

・座る位置の大切さ

・なにげない行動、考えが場に影響しているとわかった。

・言葉以外の場への影響がいかに大きいか。

・表情は伝染する。笑顔で反せば笑顔が返ってくる。しかめっつらも同じ。

・模造紙などによる発言の見える化

・アイデア出しの時にFがはじけたアイデアを出すのは大事

・少しの工夫で話し合いの盛り上がり方が大きく変わる。

<<ファシリテーションのある会議>>

今回は初参加の方やファシリテーションを知って間もない方も多く、

ファシリテーションのある会議のイメージについて気づきを書かれた方もたくさんおられました。

これは各グループに入られたベテラン?会員のみなさんの力によるところが大きいと思います。

・司会者がしっかり進めれば、30分でもたくさんの意見が出てまとめていくことができる。

・頭の中でファシリテーションをイメージしていたこととそうじゃないなー

 もっと深いなーと気づいた。

・実体験することで、ファシリテーションのイメージが少し具体化できた。

・ファシリテーターの重要性、また自分の身近にファシリテーターがいないこと...。

・ポストイットって面白いな

<<ファシリテーターのためのヒント>>

今回はファシリテーターにとってのヒントとなるような気づきが多く見受けられました。

・ポストイットを使うとやっぱり目が見れなくなる

・場の中にゆだねる感覚。

・場を作ろうとする意識。

・気づこうとする気持ち(を学んだ)

・話し合いの場はどんどん変化していく。またきっかけもある。

・話し合いは「言葉が飛び交う」のが必ずしもよいとは言えない。言葉の飛び交いとその後の

考慮と結論へのプロセスが大切。

・進行のスムーズさと参加者の満足度は一致しない。短時間での両立は難しい。

・盛り上がっていないころが×ではないこと。

・短時間で話し合いを深めるのは難しい。

・話し合いの当事者ではなかなか見えにくいものがある。

・気持ちの動きを見る力と場をイメージすること(自分に足らない)

・発言していない人への気使い

・話の少ない人には、話を振るのではなくて、その人に向かって話すこと。

<<観察からの気づき>>

観察者からの報告で今回も多くの気づきがあったようです。

・同じものを見ていても人それぞれ意見が異なるということ。

・オブザーバーの視点から学ぶものは多い。

・ファシリテーターはまとめ作業で非常に緊張、集中していて他の参加者のとの差が見えた。

・ひとつの事象にも2面性がある。発言がなくても決して悪いことではない。

・笑顔、うなずき、リアクションの重要性→「聞いているよ」と伝えることが重要

・話し合いに集中すると役割(ファシリテーター)を忘れてしまう。

・自分のことを言われると「見ていてくれている」という気持ちになりうれしかった。

<<観察者視点について>>

ねらいのひとつであった観察者視点そのものについても、多くのふり返りがありました。

・観察者の立場で参加すると普段参加していて気づかない色んな面が見えた

・「観察」の難しさ必要性を実感できた

・「観察者B」の視線が大切

・観察者の視点で会議の場を冷静に見つめる目が必要

・参加者と観察者で見えるもの、気づくものが違う

→そのときに感じた気づきをシェアできてよかった

・観察者Aをしていて、話し合いに巻き込まれそうだった。

周りを見るという事が難しいことを気づいた。

<<その他>>

今回もたくさんのエールや改善のヒントをいただきました。

・観察者を2人置いたのは効果的

・シンプルなプログラムに見えて案外気づきが大きい。

・色んな異なった観点から気づきがあった。

・自分で行った司会進行に対していろいろな角度から意見、感想をもらって

非常に貴重な体験ができた。

・自分と違う立場、環境のひとと学びあう機会をこれからも大切にしたい。

・立場の違う人との話し合いは気づきが多く刺激になる。

・セッション2で深屈りの話し合いができなかったこと。

・時間が足りない

・もっと話を深めたかった

 

またプログラムに改良を加え、次回に備えたいと思います。

参加者のみなさん、本当にありがとうございました。m(__)m