第57回 その2:2008年9月13日 小さなアクションからはじめるファシリテーション関西支部

第57回関西支部定例会報告 その2

■ 日 時:2008年9月13日(土) 13:00〜16:30

■ 場 所:キャンパスプラザ京都 第三演習室

■ 参加者:14名

■ テーマ2:小さなアクションからはじめるファシリテーション

      〜動中の工夫、静中の工夫に勝ること百千億倍(白陰禅師)〜

■ 担 当:河田、土居

■ サポート:鈴木

■ 目 的:事例研究を通し、「小さな」アクションの大切さについて考え、

    感じてもらう

■ ゴール:参加者一人ひとりが置かれた状況から、実践のための日常的アク

      ションを導き出す

■ 概 要:事例研究を通して、ファシリテーションがどのように活用できる

      か、じっくり考える

■ 全体の流れ

  13:00【オリエンテーション】

  ・自己紹介(参加者・担当円座で)

  ・ワーク説明

  13:20【事例説明・質疑応答】

  ・体験者(担当:河田)から事例説明

  ・参加者、体験者の質疑応答

  14:20【グループ討議】

  ・紹介事例について感じたことを話し合う

  15:00【テーマ出し】

  ・深掘りしたいテーマを各自設定する

  ・共通の思いを持った人でグループを作る

  15:20【グループ討議】

  ・共有できるテーマを設定する

  ・設定したテーマにしたがって事例分析

  16:35【グループ発表】

  ・グループでの分析結果を発表

  16:45【Fの気づき資料配布】

■ 内容

 【オリエンテーション】

  ・円座で座り、簡単な自己紹介

  ・ワーク説明

  ① 事例研究のため、河田さんから、ご自身の体験されたファシリテーショ

    ン実践事例を話していただきます

  ② 十分な時間をとっているので、話の途中でも質問等していただいて結構

    です

 ⇒<ファシリテーターの反省Part1>

  ① プログラムの全体目的を伝えなかった

  ② 全体プログラムの説明をしていなかった

 【事例説明・質疑応答】

  ・事例説明

  ① Good Job Point制度の概要説明

  ② 関係者の変化の説明

  ・質疑応答

  ① Good Jobの評価点はどうやって決めるのか

    →評価点の客観性に関する質問で議論が活発化

  ② Good Jobの評価について、フィードバックはおこなったか

    →次に、問題解決のやり方に関する質問でも議論が活発化

  ③ Good Jobとしてあげられた事例が知りたい

    →それらは、本来業務ではないのではないか

    →さらに、雑業務の「掟」化に関する質問で議論が白熱化し、

     全体で40分を予定していたが、「背景の把握」、「事例に

     関する事実の受け入れ」がなかなか進まず、時間を延長。

     60分を費やす。

 ⇒<ファシリテーターの反省Part2>

 ① 事例について、「ここで、少なくとも伝えきっておくべきポイント」が

    絞りこまれておらず、情報伝達が散漫になり、必須情報の伝達に時間が

    かかった

  ② 加えて、プログラム目的が提示されていなかったため、何が必須情報で、

    何が付帯情報なのか参加者が判断できず混乱

  ③ ファシリテーター自身についてもGood Job Pointの事例から、「何を最

    終的に学ぶか」目的は明確にしていたものの、様々な視点、意義に目が

    くらみ、介入による適切な誘導ができなかった

 【グループ討議】

    ・4名1組にグループ分け

    ・紹介事例について、感じたことを話し合い

      →完全に議論の方向性がバラバラに拡散

     全体で20分を予定していたが、議論に熱がこもっており、止めるに止

     められなくなり時間超過、40分を費やす

 ⇒<ファシリテーターの反省Part3>

    ① 議論への介入を躊躇し、目的からそれた議論が深まっていくのを看過した

    ② 目的が事前に伝えられていないため、参加者が完全に各自の興味の対象

    に議論が集中、全体の収束が不可能な状態にまで拡散してしまった

 【テーマ出し】

  ・「自ら抱えている課題を解決していくために、河田さんの事例を参考に 

   討議したいテーマ」を考えてもらう

    →前段で完全に議論が拡散しており、既に議論が熱を帯びていたため、

     この時点での方向修正は不可能な状態になっていた

  ・テーマをA4の紙に参加者それぞれ記入してもらう

  ・似たテーマを持つ人でグループを作ってもらう

    →テーマが拡散しすぎているため、グループをつくるにはテーマを総括

     的、概念的に広げざるを得ず、結果1グループ6人と人数的にも多く

     なり収束困難な状況になってしまった

  ⇒<ファシリテーターの反省Part4、そして調整へ>

   ① 修正不能、収束困難な状況に今さら気づき、呆然自失!

    プログラム調整のための有効な施策立案が遅れ、無策のままグループ化

   ② 空井さんの「そらあかんやろ!」の一言でようやく目が覚め、目的・ 

    ゴールの再設定、プログラム修正、議論への積極介入を決意

  【グループ討議】

   ・共有できるテーマを再設定してもらう

   →共有できるテーマ設定ということで、1つのグループは総括的な

     テーマにすることで収束をはかったが、もう1つのグループは、

     それを潔しとせず、テーマをあえて絞らない道を選択

  ・設定したテーマに従って事例分析

    →1つのグループは、総括的分析を体系的に実施、一方、テーマを

     絞らなかったグループは、ひたすら議論を続け、各自の気づきを

     追求

 ⇒<ファシリテーターの調整>

   ① まだこの時点では、落とし所が見極められておらず、流動的に対応す

     るため、各グループの流れを観察

   ② テーマを絞らない道を選んだグループの議論が、同じ問題を繰り返し

     議論していることに気づき、このグループに介入を集中する

   ③ 時間を細かく区切り、あえてタイマーのアラームを鳴らし、時間意識

     を喚起

   ④ ゴールを「個人の気づき」に変更

   ⑤ 途中経過として、各グループの議論をもう一方のグループに伝えても

    らい収束を意識してもらう

 【グループ発表】

  ・グループでの分析結果を発表

    →総括的分析を行ったグループは、空井さんのアドバイスもあり、見事

     に構造化された分析結果を披露、ルール、ツール、ロール分析の強力

     さに驚く一方、テーマを絞らず、個人の気づきを追求したグループも、

     グループとしてまとめるまでには至らなかったものの、各個人がそれ

     ぞれ気づきをまとめており、その内容は、それぞれかなり近いものに

     まで到達、収束の兆しが見えていた。

     また、視点が斬新で且つ事例の隠れた側面にアプローチされており、

     参加者の満足感も深かったとのこと。

 【ファシリテーターの気づき資料配布】

  ・ファシリテーターの気づき資料配布

■ 感想(河田)

  まず、プログラムの最初で、参加された方々が事例をどのように感じ、どう

  いう視点、切り口でワークに臨もうとするのか、その傾向をある程度掴んで

  おこうと思ったのですが、本番前の準備段階でミスしていたことに当日きづ

  き、冷静さを欠いた事が最後まで影響したという感じでした。

  その後、プログラムが予定通り進行しないことへ焦りは感じていましたが、

  参加されたメンバーの方々から色々な形、方向で、炎(エネルギー)が出て

  いたことは嬉しく感じていました。

  しかし、ワークが全部終わったあとで、もっと恥ずかしい自分に気がつきま

  した。ワーク冒頭で、私自身の頭のネジが飛んでうろたえてしまったのです

  が、それが、パートナーの土居さんに伝染していました。

  その後、場のテンションを維持することに心を砕いてくれていたのに、つら

  い時間を過ごさせていたことに気づかないままでした。ファシリテーション

  以前の問題でした。年長者として恥ずかしい限りです。反省しています。

  さすがに少し落ち込みました。けれど、ワークの後で色々な方から熱い、心

  を揺さぶられるコメントをいただき、一方で深く落ち込みながら、他方で涙

  が出るほど感動している。そんな不思議な数日間を過ごしました。

  その数日間を経て、だれもが、どんな切り口からでも、ファシリテーション

  というジャンルのアートに取り組む事が出来るという思いがよりいっそう強

  くなりました。

■ 感想(土居)

  私のファシリテーションのまずさが原因で、事例の良さを生かしきれなかっ

  たという思いが強いです。

  特に、ファシリテーターとして基本的なことができていなかったと痛感しま

  した。

  一方で勝手な話しですが、なかなか得がたい本当に良い経験になったとも感

  じています。

  ただ、多くの方々に迷惑がかかるので、次回は決して同じ失敗を繰り返さな

  いようにしたいと考えています。

  最後に、このようなダメファシリテーターにも係わらず、暖かいお言葉をか

  けていただいた参加者の皆様、プログラム作成に強力サポートしてくださっ

  た鈴木さん、当日崩れ落ちそうだった私に、強力サポートしてくださった空

  井さん、そして、何より私をパートナーに選び、本当に多くのことを学ばせ

  てくださった河田さんに深く感謝いたします。