第59回 その2:2008年11月8日 社内変革ファシリテーターになろう関西支部

第59回関西支部定例会報告 その2

■日時 :2008年11月8日(土) 13:00〜17:00
■場所 :兵庫県中央労働センター
■テーマ :『社内変革ファシリテーターになろう』
■担当 :大野、岩崎、小椋(中部支部)、
■参加者:25名
■内容 
◇効果・狙い
自らの会社内、組織内の改革のためにファシリテーションを実践している人(または実践しようとしている人)が、お互いの成功体験、失敗体験を語り合い共有し合う中で、ファシリテーションを社内改革に活かし成功するためのステップを考える。
 
◇プログラムの流れ
1.チェックイン
  少人数グループで自己紹介。
  社内でファシリテーションを使おうと思ったきっかけ、動機についてグループ内で紹介。
 
2.フォーラムテーマ抽出
 ・STEP1
以下の問いに対し、全体で話し合いたいテーマを書いてもらう(個人作業)
「あなたは、社内改革や職場の活性化等のために、ファシリテーションをうまく活用できていますか?苦労していることはなんですか」
 ・STEP2
A4の紙を床に並べ、全体で話し合いたいテーマに投票する(A4の紙を
1cm動かす)
投票数の高かった上位2つのテーマを選ぶ
 
3.フォーラム(パネル形式の全体での話しあい
<フォーラムの進め方>
・第1テーマの議論に参加したい人(パネラー)を募る(8人〜12人程度)
・ダイアログのルールについて説明する
・ファシリテーターとファシリテーショングラフィッカー(記録者)を決める
・選んだテーマについてダイアログ形式でテーマについて深め合う
・20分でメンバーを交代し、数名を残し新たなメンバーを加えさらにテーマを
 深める
 
<フォーラムのテーマ>
  ・第1テーマ
   「変革したいと言っているが、本心は変えたくないトップのギアをどういれるか」
    ・トップは本当はやる気がないように見えていることが問題
    ・トップとの間にコミュニケーションギャップがあるのでは?
    ・ギャップを埋めるために、トップの人間性を知ることから初めては。価値観共
     有がまず大事
    ・理想系がもやもやして漠然としているのでは?具現化できるスタッフが必要
     など
  ・第2テーマ
   「そもそもファシリテーションで組織や社会が変革できるの」
    ・政治力とファシリテーション
    ・テーブル(対等に話し合える場)につかせるまでは、政治力も必要。変革に
     は政治力(組織間調整力、交渉力)も必要。
    ・会社組織縦のピラミッドを動かすのはリーダーシップ、横の関係(対等)で力
            を発揮するのは、ファシリテーション
     など
  
4.中部支部小椋さんによる事例紹介『元気プロジェクト』
 
 社内変革ファシリテーションの実践事例とその成果を紹介。
 某電機メーカーにおける、「元気な会社」「自律型社員」をスローガンとした会社活
   性化活動。
 現在、連戦連勝で従業員満足度を向上させ続けている・・・。
 そしてその話は、必然的に前のフォーラムでの議論のキーワード、
  「反対派のトップとの戦いをいかに戦い抜くか」
  「実際に有効なのは、ファシリテーションスキルより、政治力?」
 を引きつく格好となり、発表もその後のQ&Aも熱いものになった。
 特にその双方向の深め合いを通じて、単なる「こうすればうまくいきました」といった
   表層にとどまらず、時には痺れを切らして政治力を使ってしまう、
  「汚れちまった自分」(笑)
 とも向き合いながらの改革のバトルや葛藤が、生々しく炙り出される結果となった。
 
<質疑(一例)>
Q:反対する上役をどう説得していますか?
A:活動全体としては、従業員意識調査における従業員満足度向上、
  という数値的結果を見せることで納得してもらい、
  個別案件については、その調査に寄せられた「従業員の声」をまとめ、
  それによって説得しています。
Q:プロジェクトメンバーの人選は、自薦ですか?他薦ですか?
A:部門長推薦です。
  自薦だと、主旨とタイプの違う方が出てきてしまったり、
  逆にタイプとして向きすぎて浮いてしまったり、ということがあるので。
Q:ホームページの公開範囲は?
A:全従業員=派遣社員含めた社内全員です。
Q:反対はありませんか?
A:もちろんありますが、「問題が起きたら限定する」と思い切ってオープンにしたとこ
      ろ、現在までに問題は起きていません。
  もちろん、私のブログがしばしば炎上事件を起こしますが、
  一方では「炎上するたびアクセスが増える」という結果になっており、しめしめで
     す(笑)。
 
◇参加したみなさんからの感想・意見
・「泡」も含めて貴重な事例を生に聞けて、とても勉強になりました。
 事例を参考にさせていただきながら、いろいろアプローチしてみたいと思いました。
 今後もいろいろ情報交換できれば、嬉しいです。
・モチベーションが高い組織で仕事していきたいものですものね。
 小椋さん楽しそうだなーって感じがしました。
 組織改革を進め、どんどん会社が変わっているのでしょうか?
・ファシリテーションスキルも重要ですが、その前に人間性だと思いました。
 私も最近、社内改革慣れしてきて、政治力ばかり考えて、
 現場の人の役に立ちたい、会社をもっと好きになって欲しい
 という純粋な気持ちを失いつつあったので、小椋さんの話は新鮮でした。
・僕自身もFAJにファシリテーションに興味をいだいたきっかけが
 やっぱり社内の組織改革の必要性を痛感したことでした。
・「自律型」まず自分から変わろうと意識すること・・
 組織・社会変革はまさそくそこがキモだ!って、つくづく思います。
・成功例だけでなく、失敗や困った点をもっとお聞きしたかった・・・。
 
◇担当チームから
 
 大野:
 企業変革というテーマでどれだけ人が集まるのか盛り上がるのか心配しましたが、皆さん熱心に話し合って頂くことができてよかったです。今回2つのテーマを選びダイアログを行いましたが、ダイアログはやはり難しいなあと感じました。テーマを深めることに全員が意識しなければいけませんし、メンバーのバックグラウンドが異なる中で、どこのポイントで掘り下げれば深めることができるか探りながら進めるには、20分という時間は短すぎたのかもしれません。進行の仕方も数々の改善ポイントがあり、これも次回に活かしていきたいと思います。いずれにしても、関西に社内組織変革を日々実践している人が、沢山いることもわかりましたし、これからも継続して組織改革をテーマに定例会で議論していきたいと思います。
 
 岩崎:
   今回のテーマ担当メンバーは社内でファシリテーションを使える場自体を比較的に作りやすい立場で仕事をしています。しかし、会員の方はそのような人ばかりでないし、職場でファシリテーションを使おうとした場合いろいろとハードルがあるのではないか。それをみんなで共有し、ハードルの乗り越え方を話し合えたらいいなぁと思っておりました。昨日まで横に座っていた同僚が急にファシグラをやり始めたら、上司や先輩の反応は?今回のワークでは短い時間でしたが、話し合いの取っ掛かりはできたのかな、と感じています。引き続き深める話し合いができたらいいなぁと思っています。
 
 小椋:
   「関西はツッコミが厳しい」と以前から伺っていましたが、予想以上でした(笑)。その最大のモノが、実はとある方からの「結局、政治力じゃないの?」でしたが・・・。一方、関西のワークの一つ一つのレベルが高いのに、感心しました。おかげで、大野さん、岩崎さんとは、事前顔合わせ1回だけで何とか実施できてしまいましたし、当日の議論もとても深いものになりました。個人的に得た最大の気づきは、以下です。
 「深め合うダイアログを実現するためには、
  1.深める質問
    だけではなく、
  2.聴き役の存在感
  3.終了後のうまいまとめ
    が、必要。」
 そして、今回のまとめを試みれば、ワーク(プロセス)面では、「もやもやの前半」と「くっきりの後半」、そして「もっとの余韻」・・・。
 内容(コンテンツ)面では、
    「企業変革に特効薬はない。実践、そして戦い続けること。
     そのヒントは結果から、そのエネルギーは同志からもらう!」
 その他としては、
    「いいじゃん!たまには政治力使ったって・・・」
です。もちろん、そればっか、じゃだめですが(笑)。
 それもこれも、中部の実践と関西のコメント力とのケミストリー(化学反応)の賜物と思います。
 熱いバトル、そしてその後の「泡」、楽しかったです!

 またぜひやりましょう!!

                                        以  上