第6回: 2004年8月7日 限りなく透明にちかいファシリテーター?!〜ファシリテーターの中立性を考える九州支部

第6回九州地区研究会議事録

■日時: 8月7日(土)14:00〜17:00
■場所: 日本オラクル株式会社 西部支社会議室(赤の部屋)
■テーマ: 「限りなく透明にちかいファシリテーター?!
               〜ファシリテーターの中立性を考える」
■担当: ファシリテーター:今井達也さん&加留部貴行
        プロセスデザイン:岡本浩志さん

■研究会の流れ

1.アイスブレイク(アイデンティティクライシス) 【担当:今井】
    アイスブレイク後、メンバーをA、Bの2チームにわける。

 2.ファシリテーターの中立性についてのイメージ(ワーク)
    【担当:今井】
    参加者全員に対して、「ファシリテーターの中立性」についての
    イメージ、疑問などを抽出する。
    【発問】「ファシリテーターが中立的な状態とはどのようなもの
         か?」

    ≪中立性を感じるシーン≫
      ・臆せずに物が言える状況を作り出す
      ・意見を公平に受け止めてもらえた時
      ・他の意見に対して納得できる状態
      ・選択肢が広く提供されている
      ・相乗効果を生み出す状態

    ≪ファシリテーターと中立性≫
      ・ファシリテーターにとって「中立」は前提なのか?
      ・ファシリテーターにとって「中立」はありえるのか?

    ≪そもそも論≫
      ・そもそも「中立」とは何か?
        (既に価値観が入り込んでいる言葉ではないか)
      ・何に対しての中立性なのか?
        (結果、目的、メンバー、コンテンツ…)

 3.Aチームのワーク 【担当:今井】
     テーマ:”中立とは?”について考える

    今井が以下のようなファシリテーター像のファシリテーターと
     なってAチームに対して参加者から中立について意見を抽出し
     まとめる。
     その間、BチームはAチームのファシリテーターのタイプ、メ
     ンバーの心理、会議の進行状況などについての気付きをチェッ
     クする。

    <ファシリテーター像>(今井演出内容)
       ・冷静
       ・メンバーの意向を尊重
       ・意見を引き出すのみ
       ・時間管理をせず、流れに任せる
       ・書記中心
       ・あくまでメンバーの決定の補助者

  4.Bチームのワーク 【担当:加留部】
     テーマ:”中立とは?”について考える(続き)

    加留部が以下のようなファシリテーター像のファシリテーター
     となりBチームに対して参加者から中立について意見を抽出し
     まとめる。
     その間、AチームはBチームのファシリテーターのタイプ、メ
     ンバーの心理、会議の進行状況などについての気付きをチェッ
     クする。
     
     <ファシリテーター像>(加留部演出内容)
       ・熱くなる
       ・自分の意見を通そうとする
       ・いっしょに議論する
       ・終了時間を決め、その中で決めようとする
       ・書記しない
       ・問題解決当事者的立場が色濃い

  5.AチームとBチームの違いについて
        &”ファシリテーターの中立性とは”のまとめ
                         【担当:加留部】
     加留部がメンバーから気付きを洗い出し、今井が記録

■わかったこと!

    『ファシリテーターにおいて、中立性とは柔軟性のことである』

    ファシリテーターにおいての中立性は大きく分けて以下の2つ
    の要素の幅の中から成り立つのではないかという気づきを得
    た。

    ◆参加者に対して中立→合意形成型(今井演出タイプ)
       Fの存在を感じさせず、参加者同士で意思決定する。
        ※家康タイプ=「鳴かぬなら鳴くまで待とうホトトギス」

    ◆目的(進行)に対して中立→仕切り型(加留部演出タイプ)
       Fが完全にその場を仕切り、目的を果たすために自分の
       思うように会議を進める。
        ※秀吉タイプ=「鳴かぬなら鳴かせてみようホトトギス」

    ファシリテーターは、これら2つの中立をその状況(参加者の
     タイプ、雰囲気など)において柔軟に使い分けることで会議全
     体のバンスをとっている。(参加者に任せっきりでもいけな
     いし、自分が仕切りすぎてもいけない。要はバランスが大切と
     いうこと)

    つまり、ファシリテーターにとっての中立とは置かれた状況に
     よって変動するものであって、必ずしも一定ではないというこ
     とである。
     ファシリテーターとは上記の2つの中立を軸とした、立体的な
     動きの中で常に変動しながらプロセスの進行をしていると考
     えられる。