第9回: 2004年11月6日 チームのモチベーションを高めるスキル〜共感を生み出すコミュニケーション技術〜九州支部

第9回九州地区研究会議事録

■日時: 11月6日(土)13:00〜17:00
■場所: 九州心理カウンセリング学院
■テーマ: 「チームのモチベーションを高めるスキル
            〜共感を生み出すコミュニケーション技術〜」
■担当: ファシリテーター:内田奈緒子さん
       アシスタントファシリテーター :水上益満さん、熊野たまみさん
■参加者: 片山、伊東、平山、田坂、森、吉田、中尾(10人)

■研究会の流れ■

≪今回の狙い≫
ファシリテーターとしての基本的なスキル〜共感を生み出すコミュニケーション技術〜をマスターし、それぞれのフィールドや日常の中で使いこなすことにより、テクニックの向上をはかる。

今回は、
①内的世界への気づきや獲得したスキルを試す現実小社会の提供
②メンバー相互でサポートし合えるというサポートの多次元性
③他者の言動を見ることによる体験学習
④他者から見られることによる体験学習
以上の4点をグループワークを通して体験学習できる内容とした。

13:30〜
1.テーマとグランドルールの説明 【10分】
 ・ハートフルなコミュニケーションを!(心と心で話してみましょう)
 ・できる限りで自己開示!(無理やりの強制はなし)
 ・話の内容はグループ内の秘密に!(安心して話が深まるように)
 ・スキルの実践を通して心と心が通い合うことがベスト!
  (スキルにとらわれ過ぎずに)
「名前&ニックネーム」を書いた名札をつけてスタート

2.アイスブレイク
①「私の誕生日〜ジェスチャー編〜」【10分】
言葉を使わずに指や体全体で自分の誕生日を表現し、誕生日順に一列に並ぶ。並び終えたところで一番の人から誕生日を言葉で言い、その通りの順番であったか確認する。今回は、全員合格!グループ全体の凝集性を高め、非言語的表現の導入を狙いとする
<シェアリング>言葉を使わないことは、思った以上に難しい!
   ↓
1列に並んだ前より順番に二人組みになる
   ↓
②「トラストウォーク」【10分】
2人組で、片方が目をつぶり、もう片方が部屋中を誘導する。役割を交代してお互いに体験し、それぞれの気づきをフィードバックし合う。言葉は使わず非言語による身体接触から様々な気づきを得て、2人の心の距離を近くしてからロールプレイに入る
<シェアリング>いろいろな誘導の仕方があり、最初は怖かったものの、2人の一体感が得られると案外落ち着いてついていくことができた。視界がない分、音や光などの感覚に敏感になり、相手の腕から気持ちが伝わるような感じが得られたのは不思議だった。

14:00〜
3.傾聴(積極的傾聴:アクティブ・リスニング)のロールプレイ【20分】
   〜耳で聴くのではなく心で聴いてみよう〜
      「最近、楽しかったこと」(5分・5分)
<シェアリング>
・聴くことは、以外に難しい。
・途中で自分の意見を言いたくなる。
・話したいことがたくさんある時は、傾聴に徹して聴いてくれると話しやすい

4.アイスブレイク③「つながりカップル2人バージョン」
  ・・・つながりという共通点を積極的に探し、2人組になる。【5分】
  アイスブレイク④「ミラーリング」
  ・・・2人で向き合い、2人の間に鏡があるような感じで、
    片方のまねを体全体で表現する。【15分】
      〜ペーシングの導入として〜
<シェアリング>
最初は、まねをされることがはずかしかったりしたが、途中から、質問を出して答えさせようとしたり、なかなかまねのできない動きをしたりして、相互のコミュニケーションが楽しんでできるようになっていた。その中でも、まねをしてもらいやすいものを考えたりする相手への思いやりの気持ちもあった。
(やっている人たちも楽しそうだが、見ている方も結構おもしろい!)

14:40〜
5.ペーシング(コミュニケーションの歩調合わせ)【10分】
 話が一方的になる人へのミラーリングでの対処法の実践。
  体全体で発言を受けとめ、相手に返す(フィードバック)
  〜耳で聴くのではなく体で聴いてみよう〜
<シェアリング>
話の早さや、態度を合わせるだけでも、話し手に共感して聞いている姿勢が伝わり、自己開示しやすい環境づくりができ、予想以上に話がはずんだ。

6.復唱のロールプレイ【20分】
  「今、関心を持って取り組んでいること」(5分・5分)
<シェアリング>
傾聴だけの時より、聞き手も話の中に入っていける感じがあり、気持ちを共有することができ、共感が深まった感じがした。話をまとめてもらっている感じがあり、とても話しやすく会話のキャッチボールができた。

―休憩―20分
(10分の予定が、全体シェアリング状態での深まり感が生まれ延長!)

15:30〜
7.アイスブレイク③「つながりカップル4人バージョン」
   ・・・つながりという共通点を積極的に探し、4人組になる。【10分】

  アイスブレイク④「私のニックネーム」
   ・・・最初になにげなく書いてもらったニックネームの由来を話してもらう。
      ここまで自己開示できた段階で導入すると、それぞれに深い意味があり、
      その人の新たな一部を知ることができる。
     【10分】

今回のヒット!
・「レインボーさん」
日本では虹は7色と言われるが、世界各国では、2色であったり5色であったり、さまざまな見え方感じ方があるという。そこから、人もいろんな考え方や感じ方があることを大切にしたいという思いからのニックネームでした。〜グループ一同、深い内容にしばし「ふぅ〜ん。。。いい話だなあ。。。」と味わっていました。また、ここでは伝えられないような爆笑ニックネームもチラホラ!!

8.質問(開いた質問・閉じた質問)のロールプレイ【20分】
   「今までで、一番感動したこと」(5分・5分)
話し手・聞き手・観察者(オブザーバー)2人の4人組で、聞き手が開いた質問をした場合には、両手を開く合図をし、閉じた質問をした場合には両手を閉じる合図をする。話の内容に全員で参加しながら、スキルの確認をする。
<シェアリング>
開いた質問の時は、話の内容が広がり、閉じた質問の場合はまとめることができた。話し手は、聞き手が意識して質問していることは全く感じずに、話しやすかったという感想だった。また、話の内容に聞き手も入り込んでしまうと、受身的に聞いてしまい、質問のタイミングをのがしてしまった。

16:10〜
9.アイスブレイク③「つながりカップル2人バージョン」
   ・・・つながりという共通点を積極的に探し、4人組の中で2人組み
     になる。【10分】
(つながりを探すために、「・・・な人!」と自分のことを自己開示することにためらいなくゲーム感覚で楽しむことができ、その人の新たな一面を垣間見ることができる。

今回のヒット!
・鹿児島の砂蒸風呂に入ったことがある人!
・禁酒しようと試みている人!など、自分が今はまっていることや、「この人が??」と普段の会話では話さないだろうことが、次々に飛び出す。
また、早くつながりが見つかりカップルになった人が増えると、残ったグループは焦りもあって、自己開示全開状態になって面白い。また、自分たちが決めた「・・・つながり」という共通点がお互いの心理的距離を近くする効果がある。)

10.柔らかな主張(アサーション)のロールプレイ【20分】
  「私の苦手なタイプ」をそれぞれイメージし、相手役にその役を演じてもらう。

  「町内運動会の参加を断る!」(5分・5分)
<シェアリング>
嫌な役を演じたことで、嫌な人でも自分の役割などで言いたくなくても言わなければいけないこともあるのではないかという気づきがあった。断る相手に共感する物わかりのよい町内会長になってしまう人や、論理的に断る人、いろいろな断り方を試す人...など自分のパーソナリティのや対処スキルの確認ができた。

11.ファシリテーション・サイクルを使っての全体シェアリング【20分】
   「自分の現場でのファシリテーションの活用」
<シェアリング>
話し合いの時間をつくることの必要性と、その内容の充実。ファシリテーションの必要性を広めることの重要性。実際の導入場面での難しさ。組織の壁。など

17:00 終了


【全体的感想】(内田)
10人という人数の中で、数種類のアイスブレイク(ゲーム)での新しい人との組み合わせにより凝集性が高まり、最後は、全員が随分前より深い知り合いだったような一体感が生まれた。
また、共感を生み出すスキル習得のためには、お互いの理解や自己開示の深さがカギとなるため、段階的なグループの凝集性を追ったアイスブレイクを組み合わせた。体全体を動かすセッションと座った形のロールプレイを交互に組み合わせ、飽きないような流れを試みた。
また、予定の時間構成より、シェアリングが深まっているところでは時間で切らずに、一人一人とグループ全体の意見のまとまりと感情のおさまりを重視することに気を配った。
今回のスキル実践のやり方を、各ファシリテーターがそれぞれのフィールドにあったやり方で柔軟に料理し、ファシリテーションの導入やグループの凝集性を高めるために役立てて頂きたいという思いでベーシックな内容で行い、表現や流れも堀氏の著書「ファシリテーションの技術」の内容で行った。今回参加されなかった方も、本と今回の研究会の流れを参考に、新しいアイデアも加えながら実践していただけると思う。

今回は、お二人のアシスタントの方に協力していただいたので、グループの人数に合わせて柔軟に参加者側に加わっていただいたり、オブザーバーとしての全体的な感想を深めてもらうことができた。参加者の人数が多い場合は、各グループのサポートの多次元性を保つためにアシスタントの増員が必要であると思う。それとなにより参加者のいろいろな面を共有でき、グループの輪が深まった楽しい研究会であった。

(アシスタントファシリテーターからのコメント)

たいへん楽しい会でした。スキンシップと身体を動かすことは、次の一歩につながることを改めて認識いたしました。(くまの たまみ)

今回は初回参加の方もいらっしゃる中で、アットホームな雰囲気で実施できたのは、内田さんのファシリテーションのおかげです。(水上益満)


アットホームな内田さんのファシリテーション 開いた質問と閉じた質問の使い分け